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75話 それは既に


※18/10/05 報酬額を修正しました。

一万ゴールド→千ゴールド

 

「まぁ、わたしの場合やれそうならチャレンジするし、ダメならやらないだけかな~」

 

「ああ、それが良いと思う」

 ハルもそう言ってるし、気楽に見てみよっと。

 

『えーっと、わたしに出された特別クエストは』

 とにかく確認しないと……って、


 

「なに、これ……」

「どうしたリア!?」

「リアさん大丈夫?」

 ハルとロキシーさんが心配そうな顔でこちらを見ているけど、言葉がすぐに出ない。


 

「わたしの特別クエスト【どのような戦いにも応じ続けること】って一体何よ……これがクエストなの? しかも何もしていないのに、もう【クエスト受諾】になってる!?」

「なんだそれ……【どのような戦い】って意味がわかんねぇ」

 なんだか嫌な予感がするけど……

 

「何かの拍子でクエスト受諾したってことは……ないよな」

 さすがに初めて見る画面で、何も考えなしでクエストの開始ボタンを押すはずが……ないと思う。

 

「リアさんの特別製とか。試練GOGOみたいな」

「えー……」

 言葉で返しながら、ロキシーさんが言ったその一言が妙に気になった。

 

 

『確かに以前からおかしな点が無かったわけではないけど、これもその一環だったら趣味が悪すぎる』

 でもチュートリアルが無かったのは、フレリアさんの仕込んだクロススキルによるポイントマイナスが要因だし。

 

 トロールがいきなり襲ってきたのは……もしかしたらロキシーさんが言うところの【特別製】だったのかもしれない。

 だけど今回のは賛否をする前に、すでに受諾してスタートしてしまっているのが問題。

 

「期間は今日から……ちょうどアルブラに着くまでね。とりあえず街じゃなかったのが幸いしたかも」

「そうだな、街だったらこの前みたいに対戦指定されたら受け続けなきゃいけないからな」


 

『とにかくアルブラへ着くまでひっそりとして行こう』

 と言うのがわたし達の見解になった。



『クエスト報酬が【エリクサー】って言うのは正直惜しいけど、命には変えられないしね』

 やっぱり他のゲームと同じ、高価格な治療薬なのかな? ま、なんにせよ三回も対戦とかで勝つのも厳しいし、場合によっては何十回と戦わないといけないなんて……ちょっとね。

 


 ちなみにハルの特別クエストは【レベル上位者との対戦で十連勝】という内容。

 見た瞬間に『これ絶対に無理だろ!』と叫んでいた。報酬は【獅子の大剣】という武器らしい。

 

 ロキシーさんは【大型召還との契約】で『お金があれば……千ゴールドぐらい』と暗い表情。ちなみに報酬は【三頭犬の召還】というもの。

 ……えっ、三頭犬ってケルベロスな気がするのですが。凄く強いようなイメージがあるけど、獲得できないものはしょうがないかな。

 

 何にせよ、今回の所は皆スルーの方向です。わたしさえ何も無ければ……

 

 

―――◇―――◇―――

 

 

「おっ、今回の特別クエストなかなかだな」

「何が出た?」

「『仲間と協力して大型魔物を倒せ』って内容だから一人じゃなくても良いっぽいわ」

「でも大型魔物なんて何十人レベルじゃね?」

「あ、そうか」

 

 とある酒場で複数の冒険者が、神から出された特別クエストについて盛んに話し合っていた。

 そんな中、

 

 

「ははっ、俺にもツキが回ってきたぞ」

「レブさんは何が出たんですか」

「『リベンジマッチ三回、勝利内容問わず』だってよ。しかも大人数になっても良くて、援軍可能な条件だぜ?

 まぁ、報酬は千ゴールド山分けと少しセコいような気もするが、できない内容じゃないよな」



 公式が認める特別クエストで、しかも人数不問とは言い換えれば『好きにやれ』って事だろ。 何か言われようが『公式から出てるのに文句言われる筋合いはない』って返せる訳だし。


 

「三回の内、一回の相手は確定だな」

 忌々しい記憶に残るあの対戦。思いっきり恥をかかされたお礼をしないといけないよな……

 

「よしっ、サクっと二回終わらせた後、暇な奴は手伝ってくれないか?」

「イイっすよ、相手は?」


「ああ、あのクソ女神官のプレイヤーだ!」

 

 

―――◇―――◇―――

 

 

「へくちっ」

「寒い?」

 

「んーん、なんだか少し寒気がしただけ」

 もうすぐログアウトする午後十一時。眠る(落ちる)前にちょっとした話をしていた時に、少しゾクっとしたのは、夜の森のせいかな。

 

「次にログインする時はゲーニスって言う街道沿いにある村で、山に囲まれた自然豊かな所か」

「なんだか嬉しそう、やっぱりそれは」

「そ、勿論料理の素材が気になっちゃう」

 

 シーレフから三日ほどしか離れていないとはいえ、環境が変われば色々変わるし。

 山間なら、シーレフで見なかった山菜やキノコ類があるかもしれないし、素材として使えそうな初魔物も出るかもしれない。

 

「リアさんの趣味良いですよね、リアルとゲームどちらでも楽しめてるのが見ているだけでもわかります。私もお料理できたら……」

「じゃあ、やってみる?」

「えっ」

 わたしの問いかけが予定外だったのか、ロキシーさんが数秒固まる。

 

「で、でも以前お手伝いした時に……」

「最初は誰だってそんなものよ?」

 卵を割ったら殻が入るとか、火の加減が難しくて焦げちゃうなんて普通だし。

 

「良いの?」

「勿論!」

 そんな話をしていると、横から手がそっと上がる。

 

「私も習いたいな〜……」

「じゃあ、二人ともアルブラ着いたら少しずつ教えますね。今までみたいな量を作らなくなるから、きっと教える時間も取れると思いますから」

 

 うん、なんだか楽しみが増えてきました。

 あ、勿論わたし自身もマチュアさんから格闘を習うのが、おざなりにならないようにしないとね!


 

 楽しみと言えば、ダレスさんから頂いた魔法書も楽しみすぎて今回の道中でひたすら読んでいたけど、思った以上に大変で、まだは何も覚えられていません。

 目的地アルブラに着くまでに一番基礎の魔法ぐらい覚えられたら嬉しいけど、さすがにそこまで甘くはなさそうかな……


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