7話 それでもわたしは
※1/15 文頭部おかしいところを修正しました
しかし、『どうする?』と聞れて、これほど『どうしよう』と思ったのはちょっと記憶にないかも。
でもな~これでプレイヤーメイクからし直すのも悔しいというか、ムカつくというか、負けた気持ちになるのが嫌だ。
ま、ただの天の邪鬼と言われたらそれまでですが。
『とりあえず……これでやれるだけやってみます。暫くルナさんやニーナと一緒に冒険とかは出来ないと思いますが』
わたしの返答は思った通りだったのか、ルナさんは軽く溜め息をつくと
『あー……とりあえず一つだけ、なんとかなるかもしれない手を思い出したわ』
ルナさん何か思い出したたようです。
でも、なんだかとても判断に困っているような表情をしている。
『とりあえず戦闘スキルについてはどうにもならないけど、PAスキルなら習得できるかもしれないわ。ただ、今のリアと同じような状態でやった人を聞いたことがないから確実じゃないのよね、それで覚えられるかどうかが』
『な、なんですか、その微妙そうな取得方法は』
正直ちょっと煮え切らない言い方に不安を覚えつつも、現状を打破できる手段があるなら何でもやってみたいというのが今の気持ちです。
『PAはこの世界に自分の分身を作成した際に、自分専用としてカスタマイズされたものをこの世界の神様から譲渡されると言われているわ』
うん、それは事前にまとめサイトで読んだ記憶がある。
『でも譲渡されたプレイヤーの一割ぐらいは、今のリアみたいにPAの操縦スキルも射撃スキルも持っていないのよ、選ぶのは自由だからね』
あはは、私と同じよう人もいてちょっと安心したかも。
『で、そんなプレイヤーの救済処置として存在するシステムというか、仕組みがあるのよ』
『なるほど……でも、ルナさんがこうやって思い出さないといけないぐらいのシステムということは、いろいろと問題があるということなんですよね?』
渋い顔をしながら話すルナさんにわたしは問い返した。
『ま、ね。簡単に言うなら私が知る限りでは、誰もそのルートでスキル入手出来ていないわ。
で、諦めてお使いクエストを百回以上もやって、なんとか戦闘スキルを覚えていたはずよ』
『誰も達成できてない出す救済システムっていったい!?』
う~ん、よほど嫌になりそうな事があるのか。
それとも根本的に問題がありそうなのか……でもチャンスがあるならやってみないとね。
『ルナさん、それ詳しく教えてもらってもいいですか?』
わたしの返答にルナさんは再びため息をつくと『わかったわ』と言って説明を始めてくれた。
内容はシンプルで何らかの戦闘に関するスキルが取得できるクエストをこなして得ることができるらしい。
ただ、内容は人それぞれだし、噂じゃ人体実験紛いのことをしないといけないものもあったとか無かったとか……
なんだかおもいっきり不安になってきた。
『とりあえずどうなるかは判らないけど、自分がやりたいようにできるのもVRMMOの良い所よ』
うん、なんだかこの一言で退路絶たれたかも!?
『実際、リアが手に入れたクロススキルについて私は聞いたことがないし、今は微妙なスキルだけど、この先化けるかもね?』
是非とも化けていただきたい!
『ま、頑張んなさい。それに』
一通り説明をしたあと、ルナさんはそう言うと、もう一度わたしをまじまじと見る。
『確かにこれだけ丁寧に容姿を作り込んだらやり直すのも勿体無いもの。リアは元々素材が良いとはいえ、プレイヤーメイクで更に良くなっているのは羨ましいわね』
ルナさんは感心したようにわたしを見てるけど、そんな作り込みをした記憶ないし。
『作り込みって、わたしは何もしてな……いや、正確にはフレリアさんにお任せでセットしてもらってた。話の流れでお願いしてたから、どうなってるかサッパリですよ?』
『はぁ!?』
その返答にルナさんは驚いた顔をする。
『ちょっと待って、もしかして自分の容姿確認してないの!?』
『そんな余裕ないですよ~……というか自分がどんな容姿か気になってきた……』
さっきまでとは一転、少し呆れたような表情でルナさんはカバンから鏡を取りだし、わたしに向けた。
『……誰っ!』
『いや、お約束かも知れないけど、それリアだからね』
そう言われても納得がいかないわたしは自分の頬をつねったり髪の毛を触る。
勿論、鏡の中の人物も同じ行動をするわけで……
少し青みがかったシルバープロンドの髪は腰に届く程に長く、癖っ毛なしのストレート。サファイアブルーの瞳は宝石のように輝き、抜けるような白い肌と淡いピンク色の唇が見事にマッチしている。
これで耳が長ければ物語に出てくるエルフと言っても通じそうなレベル。
『『ないわ~』』
思わず二人声を揃えて呟く。ルナさんはわたしがやったお任せ作成(作フレリア)に。わたしは出来上がっていた容姿の想定外さに。
『まぁ、そう言うことなら色々注意しなさいね。私達の場合、年齢でハラスメント行為がされないように守られてはいるけど、隙間を突いてバカなことする奴はいるから気を付けなさい。困ったら運営にコールすること』
『こっちの世界も大変ですね』
わたしのボヤきにルナさんも『まったくよ』と頷き返す。
その後、ルナさんはわたしにこちらの世界での基本的なルールやマナーをレクチャーしてくれた。
特にまとめサイトには載っていなかった女性目線で必須な情報はありがたく、装備品を着替える際に女性ならお店の試着室が借りれることなどは素直に『なるほど』と感心させられた。
『あとは』
ルナさんがそう言うとピロンと音がなり、
《ルナ・ストーンゲートさんからフレンド申請が来ています。承認しますか》とメッセージが出る。
『承認して』と言われ承認ボタンを押すと、続いて《トレード申請がきてます》とメッセージが。
『とりあえず少しだけどリアの役に立ちそうなアイテムを渡しておくから』
ルナさんはそう言うと自分の鞄からいくつかのアイテムを取り出し始めた。