66話 見習いから
「ダレスさん、今よろしいでしょうか」
「どうしました?」
朝の修練が終わってから、部屋で書類の整理をしていたダレスさんの元を訪れた。
「先日聞かれていた今後の件について自分の中で決まりましたので、そのご報告を」
「そうですか、では」
「はい、ここに残るつもりでしたが自分に何ができるかを見つめ直してみたいので、ロイズさん、マチュアさんと一緒に水上都市アルブラへ行こうと思います」
シーレフに残るのが、きっと一番ゲームを楽しむことはできると思う。だけど自分が楽しんでいる間に、辛い思いをする人がいるなら少しでもそれが無くなるように非力でも手伝いたい。
ただし、わたしはまだ強くない。手伝うどころか足手まといにしかならないのは明白だから、もっと自分を鍛えるためにもマチュアさん達に同行することを選んだ。
マチュアさんも賛成してくれたし、ロイズさんもPAに関することを個人的に教えてくれることになったので、PAの操作スキルさえ覚えることができれば、少しずつでも上達できる……と思う。
「なるほど、残念ですがリアさんが良いと思える道を進むのが一番です。ハバスも酒のあてが無くなって悲しむと思いますよ。まぁ、もし何かあればいつでもここに戻ってくると良いでしょう」
「お心遣いありがとうございます」
わたしが見習いとはいえ、こうやって神官として働かせてもらったからこそ、色々な出会いがあったわけだし。本当にダレスさんには足を向けて寝れない。
「では一足早い餞別ですが」
ピロリン
《職業:神官見習いが上位職業の神官になりました》
「ええっ!?」
見習いだった職業が正規の神官に!?
大したことなんて出来てないのに……
「いやいや、リアさんが短い間とはいえ神官としての務めを果たしてくれたのは皆知ってます。なにより資格がないものが見習いから正規の神官にはなりません。
豊穣神ディメール様が、きちんとリアさんの働きを見ていたということです。
あ、それと正式な神官職とはいえ王家からは束縛を受けることがないよう手は回してあるから安心すると良いですよ」
「あ、ありがとうございます……」
うぅ、なんだか目が潤んで仕方がない。
そんな事を思っていると、ダレスさんが懐からいつものお財布を取り出す……この流れは
「皆が揃っているのも数日。リアさん、出来れば皆の送別会を盛大にしようと思うのだが」
「お任せ下さい!」
張りきって今までの集大成を作っちゃいます!
『ふふふ、抜かりはないわ』
そうなることを予想して、既に昨日現実世界のわたしが外から、ゲームの中のわたしに準備の依頼が出してあったり。
まぁ、素材の準備からある程度下ごしらえまではしてあるけど、まだちょっとアレコレやることが残っているので……
「というわけで、ハルもお手伝いよろしく!」
「おう、リアの旨い飯が食えるなら喜んで!」
とりあえずアシスタント一名は確保。実はもう一名いるけど……
「リアさん、私も手伝う」
「うん、ちょっと今すぐはないから待機で」
「はい」
先の話の通り、一番星を脱退したロキシーさんが通いで神殿に来てたりします。
ちなみにわたしのような神官見習いではなく、本当に雑用係になっているけど本人は満足そう。ただ、ハルとは違ってゲームでもリアルでも料理スキルが無いので、もっぱら雑用や味見役。
雑用だけじゃ申し訳ないということで、わたし同様マチュアさんが格闘を少しだけ教えているけど、マチュアさん曰く『筋は悪くないけど、自分とは違う動き方が身についているから、リアほど上達しないかな』と漏らしていたけど、どうなるかはちょっと興味があったりします。
なお、この二名もわたしと一緒にアルブラへ行くとのこと。まぁ、もともとハルは首長国へ帰る予定もあったことからその途中に寄り道的な意味もあるけど、
「私もアルブラへ行っても良い?」
と、ロキシーさんは完全に追従モードです。
本人が希望するなら無下に断るのもなんだけど、わたしと一緒に行っても面白いことはないと思うんだけどなぁ……
「だいぶ準備も出来たし、雑用で悪いけどロキシーさんはベリルさんを呼んできてもらえるかな」
「了解」
今日の大送別会にはベリルさんも来てもらうことに。というか、あの料理以来ベリルさんも神殿で一緒に食事したり、その豊富な知識を使ってわたしに料理を教えてくれたりしてます。
特に魔物肉の種類や調理法、あとこちら独特の調味料など知らない知識をたくさん教えてもらえたことからか、料理スキルの熟練度も一気にアップして、目標の30を越えて35に到達!
ちなみに30を越えたことで、料理に使える生活魔法をゲットできました。
一つは《炎操》。その名の通り火を出しますが、威力を上げると高さ一メートルを超えるような火炎が出せます。とりあえずはブリュレなど料理の表面を焦がしたい時に使っています。
もう一つは《水操》。こっちも名前の通り水が出せるけど、火と違って氷が出せるのが素晴らしいです。あと手も冷やせる(自分は冷たく感じない)から、熱を伝えたくない料理をする時にも活躍するナイススキル!
この辺りの魔法も駆使して色々な料理のレパートリーが増やせているのは自分的にゲームが楽しめていると思っているので、この先変な事が極力起きないことを祈るばかり……
「リアちゃん!」
「あれっ、おばちゃんどうしたの?」
懇意にしている雑貨屋のおばちゃんが息を切らせてやって来た。
「最近ここに来ている色の白い子がウチの前で絡まれてるわよ!」
「ロキシーさんが!?」
この世界、そう簡単には平和な日常を楽しませてくれないようで……
いつも読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
昨日は超多忙でお昼を食べる暇すらなく、気がつけば夕方でした。
活動報告だけじゃなかに、スマホに触る時間もなかったのは久々でしたね(´・ω・`)
さて話は今のところこんな感じで。
自分なりに難しいテーマで読まれる方によって解釈が変わるかな〜と。
テレビゲームならあまり気にしないというか作業なので何かを感じることはないのですが、コミュニケーションがあるゲームだと、そう簡単に割り切れるのかな、と。
どうなんでしょうね〜
はい。あとは、いつもの感じで。
新規で読んで頂いている皆様方、迷走大好きな書き手ですが、自分なりに考える所は考えているので平常的に迷走していますが、これからもよろしければお願い致します。
継続して読んで頂いている皆様方、皆様が読んで頂いたのでここまで来れました。まだまだ話しは続きますが、引き続きよろしくお願い致します。
ブックマークと評価大変感謝しております。
累計も大台を超え、続けて書くことができるエネルギーになっています。
これを支えにこれからも頑張っていきます。
引き続き、ブックマークや評価、よろしければレビューなどもお願い致します┏〇))




