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64話 免罪符

ひ、表現がうまく文字にできない(´;ω;`)

 

「全て……ですか」

 いまいちモルフィス様の言われていることが理解できない。

 

「ああ、全てに於いて君は非常に腹立たしい」


 うーん、会ってそうそうここまで言われることは今まで無かったけど、モルフィス様から漂うこの感じはあからさまに嫌悪や怒気に近しいもの。

 それに話を聞く限り、違和感というか何かが気になる……なんだろう?

 

「なに、この場所にいる限り時間は無限だ。君にもわかるように説明をしてあげよう。

 今現在、この場所には我々が関与可能な世界に存在する全ての魂が水晶という形になって並んでいる。

 青い水晶は君らを含めた異邦人の魂を。やや赤みを帯びた水晶はこの世界に住まう民の魂を象っている」

 

 

 パキン

 

 

「えっ……割れた?」

 視界の片隅に存在した赤い水晶の一つが小さな音をたてひび割れると、そのまま細かな粒子となって消えていく。

 

 ん? 今の粒子になって消えるのって、どこかで見たことがあるような……

 確かあれは魔物を倒した時の……って、まさか!?

 

「そう、この世界の民には魂への加護がかけられない。よって死した状態で時間が経ってしまうと【完全なる死】へ移行し、魂を象った水晶も粒子化して塵に変わる。

 ああ、ちなみに魔物には魂という概念が基本存在せぬから、死によって即粒子化し塵になるのだよ。

 粒子化する過程は違えど、どちらの散り際も美しいと思わないかね?」

 

「……」

 話をしている間にも、また一つ遠くで赤い水晶が粒子化していく様を見てしまい、モルフィス様の問い掛けに反応ができない。

 

 その様子に気を良くしたのか、モルフィス様は更に話しを続ける。

 

 

「また君達異邦人は魂に加護がかけられており、死して粒子化しても再び生を受け、何度でも立ち上がることができる。例えそれが死より厳しいものが立ちはだかっていようともね。

 その何度でも立ち上がる様もまた、切なく素晴らしいものだとワシは思う」

 

 あぁ、なんとなくわかった気がする。

 ディメール様やフレリアさんとは感じる違和感の正体が。


 

「ディメール様とフレリアさんは、わたしを含めた冒険者(異邦人)と直接触れることでこの世界に関与し、その変わる様を直に見ているけど、モルフィス様は一切の関与をせずに間接的に見ているだけ。言わば全ての観測者……」

 

「そうだ、ワシには悠久の時において魂を【見ること】と【管理すること】しか出来ぬ身よ。全てを知る権利があったとしても、直に触れる力は無い」


 だからわたしに対して嫌悪に近い感覚があるんだ。わたしがお願いしたいことは、モルフィス様から見たらその観測対象から外して欲しいと言うのと同じ。

 

「その通り、君が望む【この世界での一度きりの生】とは、この世界における魂の形が青い水晶とも赤い水晶とも異なる別の存在になることであり、ワシが管理できない対象になること。

 即ち、それはワシの存在意義を否定すると同意だと言うのだよ」

 

 

 【この世界での一度きりの生】


 即ち一度死んでしまえば、仕様として再び生を受けられないし、如何なる復活魔法・儀式に対しても適応されないこの世界における完全な死。

 

 それこそがディメール様に相談したこと。

 それは『この世界(PAW)でのわたしの命を異邦人としての扱いではなく、この世界の人達と同じ扱いに変えて欲しい』ということ。

 

 この世界で異邦人と言われるわたし達は、加護があるから死ぬことがあってもそれは仮初めのものであり、街や中継地(ベース)で記録を残しておけばその場所で生き返ることが出来る。この世界の人達のように完全な死とはならない。

 

 『わたし達はゲームの中で仮の生活をしているのだから何があっても本当の死にならないというのはわかるけど、この世界(PAW)で生きている人達は当たり前だけど死んでしまったらそれで終わり。儀式や魔法で生き返る事ができるなんてほとんどないはず……

 もしあったなら、すべての街や村が人であふれかえっているはず』


 

 そんな人達と戦い、敵だからと言って殺す。

まだ短い期間とはいえ、この世界に触れて温かいモノを感じた【今のわたし】には、たぶん出来ないと思う。

 だからせめて、この世界における自分の存在をこの世界の人達と同じようにすることが出来れば……

 

「ですが、」

 言いかけた所でモルフィス様は掌をこちらに向け言葉を遮る。

 

「まだワシの話は終わってはおらんよ。君は少々急ぎすぎるようだな」

「すみません……」

 

「君がどのような思いでその考えに至ったのかを知るつもりは無いがおおよその検討はつく。だが、君にとってそれはこの世界における最大限の事であったとしても、ただの自己満足でしかない。

 もう少しストレートに言うなら、君はただ『殺しをしても後ろめたくないよう【免罪符】が欲しいだけ』なのだよ」


 

「……」

「図星すぎて何も言えないかね」

 モルフィス様はニヤリと笑いながらこちらを見ている。

 

「はい……ですが、それはいけないことですか?」

「ほう」

 目を細め、なにやら伺うような表情をしながらわたしを見ている……言うなら今しかない。

 




いつも読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m


とりあえず着々と話を進めております。悩みながらも書くというのは楽しくもあり、辛くもあり、手が止まると『こっちの方がよかったかな』とか悩みまくっている感じです。


下書きもなんとか目標まで届きましたが、全体の流れとか無理な流れにしていないか、そして誤字脱字は……と見直すと、気がつけば深夜二時とか……


悩めば悩むほど書くのは遅くなりますが、その分楽しくなればハゲんでいます。



さて、最後はいつもな感じで。


新規で読んでいただいた皆様、話が遅くてすみません。コツコツ書くタイプなものですので、暖かい目で読んでいただければ幸いです。


継続して読んでいただいた皆様、誤字脱字のコメントありがとうございます。なかなか足らない書き手なもので、気を付けてはいるもののなかなか無くならずすみません。

しばらく日常話がなくなりますがどうなるか……生暖かい目で見ながらツッコミあればいつでもよろしくお願いいたします。



評価も久々にいただき、大変感謝です!

ブックマークも日々増えていて大変うれしい次第です!

随時ブックマークや評価はいただけますので、よろしければお願いいたします~m(_ _)m


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