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51話 初対戦


「ルールは闘技場の円から出たら負け、相手が降参の意思を表明するか、体力がなくなったら勝負あり。あとはなんでもありでいいかしら」

「ええ、問題ないです」

「……はい」



 結局わたしの意見はまったく取り入れられず、三人で訓練室へ。


「ここの神殿は戦闘系の神を祭っているわけでもないのに訓練施設があるんですね」

「そうねぇ、十二柱を祀る神殿ともなれば戦いとは無関係とはいかないものよ」


 そうなんですねぇ、それにしてもどうしてわたしはここにいるのでしょうか……


「あら、リアは納得いかないみたいね」

「納得がいかないというより、この流れについていけてないというか……」

「ま、世の中そんなものよ」


 まぁ、確かに世の中には納得がいかないことがいっぱいあって、今まで生きてきた中でもそれなりに経験してきてるけどさ。


「なに、今のあなたなら彼と戦うことで私がこの対戦を組んだ意味がわかるわよ」

「マチュアさんのことは信じてますが……」


 戦ったら意味がわかるってなんだろう?

 第一、今まで戦ったのはマチュアさんとの修練を兼ねた対戦とか、この前の依頼(クエスト)ぐらいだし。

 さらに言えば依頼(クエスト)で最後に戦った強化種トロールなんて、結局最後の最後に詰めの甘さで負けてるし……



『はぁ、とにかくやるしかない状況だからやりますけどね』

 ハルさんもわたしと戦った後に控えている、マチュアさんとの対戦が目的だし。


『……あれっ、なんかムカついてきた』


 そもそもハルさんがわたしに変なことさえしなければ投げることも無かったし、スカートの中を見られることも無かったわけで。


 ……うん、負けてもいいから一発引っぱたかないと気がすまなくなってきた!



「じゃあ、お互い線の上に立って」

 マチュアさんの号令の元、二人とも円の内部に引かれた線の上に立つ。


 ハルさんは最初に会ったまま、なにも変わらない姿であの大剣を手にした状態。対するわたしはマチュアさんから貰った装備一式にプラスして、今は棍を手に持っている。


「お互い準備okね」

 マチュアさんの問いかけで二人は軽く頷く。


「じゃあ行くわよ……5・4・3・2・1……ゼロ!」



「いきます!」

「いくぜ!」


 互いにマチュアの掛け声から一気に間合いを詰めようとダッシュする。が、


「あんたのせいで!」

 わたしは手にしていた棍をハルさんに向かっておもいっきり投げつける!


「な!?」



ガッ



 意表を突かれたハルさんは大剣で棍を受けるしかなく、そこに少しだけ取りつく間ができる!


「そこっ!」


 勿論、わたしも棍を投げつけてからボーッとしている訳もなく、一気に至近距離まで間合いを積めるとガードされること前提で肘を叩き込み、そこから反転して背後へ回り込む。


 だが、相手もマチュアさんが強いと見たハルさんだけあって難なく肘打ちをガードすると、わたしとは逆に向かって移動し、近すぎる間合いをリセットしようとする。


『だけどそこまでは織り込み済み!』

 黙って見ているわけもなく、反転した位置からショートダッシュして間を詰めると、その勢いを殺さずに彼の足元へ向かってスライディングをする!



 ズガッ



「しまった!」

 キレイに足元へヒットしたスライディングによってバランスを崩して倒れるハルさん。間髪を容れず彼の足を間接技で固めると、外れないようにわたしの体を彼の上に倒し、ギリギリ届く首に腕を回して締め付ける!


「くっ……」

 マチュアさん直伝、一度食らいついたら逃がさないスタイルです!


「降参して下さい」

 わたしの言葉にハルさんは反応せず、全身に力を込めて外そうと抵抗し続ける。


『だったら……このまま絞め落とすまで』

 わたしも腕に力を込めて決して離さないようにしていた。だけど、



 ゾクッ



「!?」

 ハルさんから感じた強烈な殺気に思わず反応し、かけていた技を外して間合いを取る。


『……って、しまった! いくら強烈な殺気だったからって、技を外してまで逃げたのは失敗じゃないの!?』


「リア、初見にしては今の良い判断よ」

「え?」

「これからが彼の本気。気を抜いたら一瞬で飲み込まれて負けるわよ」


 そう促されてハルさんを注視する。ゆっくりと立ち上がったハルさんは、さっきまでとは異なる容姿になっていた。


 やや褐色気味だった肌を覆い隠すように、髪と同じシルバーの毛を全身から生やし、顔も人のそれと異なるものに。それはまるで……


「狼……」

「彼は獣人よ、たぶんリアは初めて見るからわからなかったみたいだけどね」

「じゃあ、さっきの強烈な殺気は」

「獣人が、人から本来の姿へ獣化(フォームチェンジ)する際の気の高まりよ。あれを至近距離で受けたら、リアの身が保たなかったはず」


 結果的に退いていたのは正解っぽいけど、ちょっとコレどうしようって言うぐらいヤバそうなんですが……



 パン!



「悪い、腑抜けてた! ここからは全力で行かせてもらう!」

 ハルさんは顔を手で掃いてく気合いを入れ直すと、大剣を肩に置き、やや半身で腰を落とし低い姿勢を取る。



『……隙なんてまったくないどころか、どうすべきかの攻め手すら見えない!?』

 それこそマチュアさんと対峙した時に近い感覚で、何をしても返されるビジョンしかない。


『これは……無理だ』

 鋭い眼光で睨み付けられるだけで、胃がギリギリと軋み、肌が粟立つ。


『なんとか一手出したいと思うのに……何もせずに負けるのなんてイヤなのに……』

 だけど圧倒的に感じる力の差に体が震え、手も足も思うように動かない。



「……降参……します」

 今のわたしにはそう言うのが精一杯。悔しいけど、この差を気合いや根性では埋めきれない、相手にすらならない。


「ま、これはしょうがないわね。英断も時によって必要よ。さて、ハルくんが連戦できるなら私はこのまま対戦可能だけど……どうする?」

 マチュアさんはわたしの背中をポンポンと叩き、ハルさんに声をかける。


「いえ、今の対戦は俺の勝ちとも言い切れません、強いて言うなら負けと言っても過言ではないです」

「え、でもわたしが勝てないと思って降参しているから……」


 てっきり、ハルさんはマチュアさんての対戦を即断する思っていたけど、その答えはわたしにとって意外なものだった。


『結果は明らかなのに何故?』

 ハルさんの言葉は、いまいちわたしにとって釈然としないものだった。



いつも読んで頂いてありがとうございますm(_ _)m


昨日から引き続き、本日もアクセスが凄くて最初見たとき「なんかやらかした!?」と見直しました。


う〜ん、新しいキャラのおかげか、それともヒロインが少し大変な事になったからか……


おかげさまで、ブックマークや評価もたくさんして頂きましたので、【日間で15位】と初めてそんな上にきました、本当にありがとうございます(*_ _)



さて、男性キャラは実はこれが初めてということもあり、言葉遣いがおかしくならないように気をつけています……主にヒロインの。


見直すと誤字脱字もですが、変なスペースも発見することも……色々ミス多いなぁ(´・ω・`)


でも、こうやって皆さんに読んで頂けると話しも湧きますので、アップできるように頑張ります!



はい、ではいつものですみません。

新規で読んで頂きました皆さま、今回はいかがだったしょうか? 読みづらい点などございましたら、いつでもツッコミお願い致します。


継続して読んで頂いている皆様、いつもありがとうございます。誤字脱字も含めて、何かございましたらコメントなど頂けると幸いです。


コメントから評価、ブックマークもありがとうございます。書き手としては、こうやってたくさん頂けるのが励みになります。

引き続きよろしければ読んで頂けますよう、よろしくお願い致します┏〇))




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