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43話 追い詰められた先に

逆襲逆襲!

 

「あ……」

 

 かすっただけと思ったけれど実際には大ダメージになっているようで、立つことすら維持できず、その場に膝をついてしゃがみこむ。

 

『ヤバっ! これは……ちょっとまずいかも……』

 急激に血を失った事が要因なのか、貧血に近い症状で立ち上がる事が出来ない。

 


『痛み自体は大したことはないのに』

 足に力を入れても踏ん張りが効かず、逆に視界がボヤけて……あ、HPが一割以下に。

 

 そんな時、近くに白い幻影が現れるとわたしの傷を治してくれる。多分ロキシーさんの魔法なんだろうけど、減ったHPについては回復が出来てはいるが、未だに足元がおぼつかない状況から、傷以外のダメージまでは回復しきれていない事を認識させる。

 

『動け……動け、動け!』

 一生懸命頭から体に指示を出すけど、一向に体は動く気配がない。

 

 このままだと確実に強化種トロールに蹂躙される。

 気持ちが焦りに。焦りが頭の回転を低下させる悪循環に……そんな時、

 

 

『惜しいのぅ、なかなかに面白い戦いが観られて愉しかったのにのぅ』

 あれっ、この声はディメール様?

 

『おお、妾のことをきちんと覚えておったか、うい奴よのぅ』

 あ、どもです。

 

『して、今の状況を鑑みると……終わりかえ?』

 いえ、終わりにはしたくないのですが如何せん体が動かないものでして……

 

『ふむ、まぁ人とは脆い生き物故に仕方あるまいて。傷は癒せても失った血が足らず、体の制御力が最低になっておるのだろうて』

 なんとかなりませんか?

 

『ならぬの。貴様が上位の回復魔法でも使えれば別だが。《リカバリーボディ》は覚えておるかえ?』

 あー…、無いですね。

 

『じゃあ無理じゃの』

 ですよねー…はぁ、なにか良い手ないですか?ないですよねー

 

『あるぞ』

 あるんですか!?

 

『ただし、』

 お願いします!

 

『じゃが、』

 大丈夫です、サクっとお願いします!

 

『じゃから』

 問題ありません! 問題あるかもしれませんが、問題ありません!

 とにかく時間が……時間が無いんです!

 

『……はぁ、貴様も話を聞かん奴よのぅ。まぁ良い、そこまで言うのであれば己の責任でやってみるのも一興か』

 では、

 

『貴様に施した祝福、その所持効果として身につけるにある【大地共鳴】のスキルを使うが良い。その先は貴様次第よ』

 

 確かスキル効果は大地とリンクすると書いてあったけど、何がどうなるという書き方ではなかった。どんな効果になるかはわかってないけど、とにかく今はこれに頼ってみるしかない!

 

 

《大地共鳴》

 偉大なる大地よ、力を貸して!

 

【スキル効果により、能力を大地と共有します。残り共有時間5分59秒、58秒……】

 

 

「リアさん!」

「まだ立てるの!?だったら早くそこから逃げて!」

 二人の声が聞こえるけど、まだ頭がぼーっとした状態で正常な返答が考えられず、とりあえず手を降って答える。

 

「大丈夫だよ、まだやれるから」

 とりあえず立てるぐらいには回復出来たっぽいけど、本当に回復したのかどうかは怪しい気がする。それに、あのカウントダウンしているのも微妙にイヤな予感がするしなぁ……ま、仕方ないけど。

 

「オマエ、ナンダ?」

「只の神官見習いよ」

 

 強化種トロールは少し首を傾げると、

 

「ワカラナイ、ダカラ、コロス」

 と言うが早いか、こちらに向かって勢いよく走り出すと勢いごと拳を振り下ろす。

 

「ちょっ」

 避ける間もなかったことから、反射的に両腕でガードを試みる……無駄だろうけど。

 

 

 ガシッ!

 

 

「痛ッ!!」

 両腕から踵まで激しい痛みが体を走り抜け、あまりの痛みに頭がパンクしそうになるけど、なんとかギリギリのところで凌ぐ。

 

 ……凌ぐ?

 

「うそっ、まだ生きてる!?」

 どう考えても即死級のダメージを受けたはずなのに、どうして?

 

 視界の端に表示されるHPは、さっきロキシーさんに回復してもらってから全く減っていない。

 

『ん? 減ってるけど表示がおかしい!』

 HPのバー、その下に表記されている数値が通常時から三桁ほど増えている。

 

『残りHPが約140,000で、受けたダメージはどうやら2,000弱ぐらい……数値がバグってる? ……いや、違う』

 

 もしこの数値が大地とリンクした結果だと考えれば、そのでたらめな数値がスキルを通じて繋がった恩恵、その効果だと納得ができる。

 

 ……ただ、あくまで一時的な効果だとは考えられるから、余裕ができるようなものでもない。

 

「ナゼ、ツブレナイ!」

 

 

 ガッ、ガッ、ガッ、ガッ……

 

 

 強化種トロールは自らの攻撃が成果にならないことを(いぶか)しむと、とにかく結果を求めて代わる代わる左右の拳で殴り続ける。

 

『痛い痛い痛い!』

 見ることはできないけどHP以外の能力値も上がっていることは推測できるのに、痛覚だけは以前と変わらず、殴られる度に目眩がするほどの痛みが全身に響き渡る。

 

『このままじゃあと数分後には時間切れで即死することには変わりないけど、反攻の糸口なんて持ってないし……』

 

 このまま強化種トロールの猛攻を受けまくるしかないとかどんなマゾよ……って、そう言えば格闘にダメージに関連した闘技があったような……あった!

 

『この技でどれだけコイツにダメージ与えられるかわかんないけど、ギリギリまで耐えて返せば』

 

 チャンスは一度。

 しかも時間は一分少々しかない……だったら

 

「全然効かないわよ、このデカブツ!」

「キサマ!」

 

 わたしの安い挑発に乗った強化種トロールは両手を組むと、わたしごと地面を裂くような強力な一撃を放つ!

 

 

 ドンッ!

 

 

『イッタイィィ!』

 今までとは比べ物にならない一撃に、思わず涙が出そうになる……なんとか我慢したけど!

 

 今の一撃すら耐えるとは思っていなかった強化種トロールは驚いた表情でこちらを見ている……それは特大の隙であり、わたしの攻撃が届く範囲にヤツがいるってこと!

 

 

《闘気練精》

【被ダメージ、135,000を攻撃力に変換します】

 

「今までの攻撃、返して上げる!」

 

 そう言いながら数歩間合いを詰めると、強化種トロールの腹部におもいっきり拳を放った!



いつも読んでいただいてありがとうございます!


日々アップできた際には活動報告も書いたりもしています。


設定的な話や、ちょっとした自分のコメントを書いていますが、こちらにも同じように書いていければと考えています。


皆様に読んで頂くならこちらに書いた方が良いかな〜とも考えています。


なかなかに難しいものですね(´・ω・`)

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― 新着の感想 ―
[一言] ゲームだからいくらでも無茶できる。 まぁ痛覚設定100%でやってるのはヤバイが…
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