4話 上手にできました?
未だ大地に足がつかない……
※1/15 文頭部おかしいところを修正しました
※1/21 誤字・脱字修正しました
基本的な三種類のスキル。
PAWの世界で冒険するには欠かせない!
【戦闘スキル】
主に冒険時使用するスキル。攻撃から防御、回復など様々なスキルがあります。イケイケなら攻撃系が、痛いのが嫌いなら回復系がおすすめ!
【PAスキル】
PA操縦時に影響を与えるスキル。攻撃はもちろん、特殊な攻撃である狙撃や非戦闘ながら状況に応じて重宝する偵察など、自分のスタイルにあったスキルを取得しよう!
【生活スキル】
冒険だけがPAWじゃない!普段のライフをより充実させよう! 農業や工芸、詩人に猟師のほか戦闘以外にもPAWの中で取得できる生活スキルは色々。しかもPAWで得られた知識と技術は現実の世界へ実体験の経験値としてフィードバック!
はい、公式に載ってたそのままです。
一応、ここで入手できるスキルも通常にプレイしていれば、様々な経験により覚えられるものばかりなので取り逃したりすることはないみたい。
ただし、初回ログイン・プレイヤー作成時だけの限定特典として、初期選択で取得したスキルにボーナススキルがついている。
戦闘スキルの火魔法なら、攻撃魔法を使うことでアクティブスキルとして自身の火力アップのスキルが、PAスキルの射撃は立ち止まった状態なら命中率に精密射撃のパッシブスキルが発動する。
だからスキルを選ぶ上では、少しだけでも先を見据えて取得するのが望ましいのだけど。
『一般的に人気のあるものは攻撃に適したスキルとなりますが、わたしがリアさんにおすすめするとしたら……』
「……こ、これですか!?」
表示されたスキル内容は想定外の内容で思わず驚く。
戦闘スキル:白魔法(回復系)
PAスキル:リペア(回復系)
生活スキル:料理
う、う~ん……
生活スキルの【料理】については取得しようと思っていたので、そこは問題ないかな。
PAWの世界に興味を持ったのも料理絡みだし。
でも他の二つがどちらも回復タイプなスキルってどうなんだろう?
確かに痛いのは嫌いだから回復スキルはありかな~と思っていたけど、PAスキルも回復というか修理なんだよね……
正直メカとかマシンには弱い自信があるから、PAが壊れたり問題が発生したりした時には助かりそうだけど、そもそもPAがボロボロな状態になるまで戦ったりする自分の未来が見えない。
あ、でも一応スキルの特典は見ておこうかな?
戦闘スキル:魔力増加(パッシブ)
使用した魔法の威力が上がる。
PAスキル:精密操作(パッシブ)
細かい作業をする際の成功率向上。
生活スキル:見極め(パッシブ)
新鮮さなど、価値を鑑定できる。
クロススキルボーナス:???(アクティブ)
取得するまで内容は確認できない。
※スキルポイントマイナス10
「あの~聞いたことがないボーナスがありますが」
一応まとめサイトは一通り目を通しておいたけど、その際には見た記憶がない『クロススキル』という謎のボーナスが。
しかも内容がわからないと言う予想外のオマケつきだし。
スキルポイントマイナス10というのはスキル取得の時にかかるのポイントの事かな?
『はい、白魔法・リペア・料理を初期スキルで取得した方だけが手に入れられるボーナススキルです。ただし書いてある通り内容については教えられないの、ごめんなさい』
『……ん~これは悩むかも』
ちなみに那緒が勧めてくれたのはPAスキルの射撃と攻撃スキルの風魔法。
射撃については射的を遊んだ時に的に掠りもせず、命中率が壊滅的だったのを那緒が覚えていたようで『射撃トルベシ』と。
風魔法は戦闘だけじゃなく補助も万能らしく『移動の時とか色々ラクだよ~』と勧められてた。
う~ん……悩むけど、こうやってフレリアさんがお勧めしてくれるのだから、きっと使えるスキルセットなんだよね、たぶん。
まぁ、ダメな時はまた考えよう!
「では、せっかくフレリアさんがわたしのために選んでくれたので、そのスキル構成でお願いします!」
『はい、承知しました!』
ニコニコと笑うフレリアさんが再びタクトを振ると、赤・青・黄色と水晶のような玉が空から降りてくると、そのままわたしの中に吸い込まれていく。
『無事スキルはリアさんの一部となり、定着したのを確認しました。クロススキルは王国に着いたら確認してみて下さいね』
そっかまだ確認できないのか。ちょっと残念のような楽しみのような?
『では、これからリアさんをアステリナ王国に送ります。着くまでの時間の中で容姿についても私が自信を持ってセットしておきますのでご安心下さい』
そう言ってタクトの先を私に向けると静かに詠唱を始める。それはこれまでのやわらかな声とは違う、まるで身に縛るような、力ある不可視なベールに包まれる感覚。
『コーデリア・フォレストニアよ、汝の魂をアステリナの地へ導かん! 我は願う、そなたが破運の慟哭を聞くことを』
詠唱が止まった瞬間、タクト先端が一閃すると、そこから生まれた光の矢がわたしを貫く!
ドン!
「ぐはっ」
腹部に感じた痛みと、そこから全身に走る衝撃で息が止まる。
『な……に、……これ……は……』
鋭い痛みが体を駆け抜けると、ゆっくりと意識が薄れ視界が霞んでいく。
『また、どこかでお会いできたら、その時に……』
フレリアさんが呟いたその言葉を最後に、わたしは自分の意識を完全に手放していた。
―――◇―――◇―――
「貴様が最初から祝福を与えるとは珍しいな、戦神フレリア」
リアさんが光の粒子となって消えた向こうから、凛とした声がする。
深紅の鎧で完全武装し、手には自らよりも大きな剣を持つ女性……
「あなたがここに来る方が珍しいのでは?炎神アテニス」
彼女は『違いない』と言うと獰猛な笑みを浮かべる。
対等であり、強敵であり、共闘する仲間。だが決して隙は見せない、それがお互い暗黙の了解。
私は彼女の刺すような視線を受け流し、会話を続けた。