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26話 豊穣神ディメール

妾わらわワラワラ……。「のじゃ語」ってどこかにないですか


『何故わたしだけにディメール様のお声が聞こえるのでしょうか?神との繋がり、その深さであればロイズさんの方が聞こえても不思議は無いと思うのですが』


 一番最初に思った疑問はそれ。

 神の声が聞こえるほどの【何か】をこの世界でした記憶がない。


『ふむ、こうやって妾の声が聞こえる理由か。それは貴様の【徳】や【力】では無いし、ましてや【隠れた能力】などという物でも無いぞ』

『それはよく知っています』

 自分が特別優れた者ではないことぐらいわかってる。だからこそ、わたしは止まらないし止まれない。


『ほぅ、皮肉を受けるのを美徳とするか』

『神様の言葉を皮肉と感じられる程、自らを過信しておりませんので』

『つまらぬ娘よ。そのつまらなさがフレリアの琴線に触れたかの』


 ディメール様はそう言ってカカッと笑い、

『貴様一人改めて明日の夜に来るがよい、いやそちらの世界に合わせたら三日後かの、予定を空けておけ』

 そう言い残し、気配といっしょに消えたようで。



「リアさん、どうかしたのかい?」

「あ、いえ何も……」

 時計を見るとこの部屋に入ってから一分も過ぎてない、どうやら数秒の出来事だったみたい。


「体調が悪いようなら、日を改めようか?」

「大丈夫ですよ、どんなPAになるのか考え込んでいただけなので」


 事前にネットで調べた限りでは、四割近い確率でバランスが良く使いやすいPAの代表格である(タイプ):アルタイルか、より攻撃に片寄った(タイプ):フォーマルハウトに。


 三割近い確立で装備したキャノン砲での中距離攻撃が得意な(タイプ):ミザールと防御に定評がある(タイプ):デネブ、支援系でありながら直接攻撃が強い(タイプ):スピカになっていた。


 残り三割でその他のPAが出てくるけどレアという扱いよりも、クセが強く扱いづらいPAと呼ばれていて、モノによっては操作スキルが高くないと前進することすら苦難に値すると書かれていた。


 普通がいいです、普通が。

 なまじレアモノが出ても扱いきれない代物じゃ、悲しみが増すだけですから……



「では、リアさんの宝珠(タリスマン)を床に描いた魔方陣の中心に置いてもらえるかな」

「はい」


 普段はネックレスにしている宝珠(タリスマン)を外し魔方陣の中心に置くと、その横にロイズさんが自分の宝珠(タリスマン)を置く。


 わたしの宝珠(タリスマン)はまだ祝福をしていないので、薄いグレーの状態。それに対しロイズさんの宝珠(タリスマン)はオレンジ色に光っている。

 

「オレンジ色という事はレアPAの一つ、特殊戦闘の(タイプ):シャウラですよね」

「よく知っているね、ちょっと玄人っぽいけど僕には合っているんだ」


 (タイプ):シャウラは剣など近接戦闘用の武器を複数所持するPAで、相手の攻撃を避け続けることで攻撃力が上がる特殊なバフを標準スキルで持っている。

 ちなみに射撃銃器を一切持つ事ができず、射撃武器がメインとなるPA戦ではかなりのデメリットになるので、やはり使いづらいPAに分類される。


「俺も最初このPAに馴れるまでは大変だったよ、でも授かったのは自分に合っているからだったと使い続けてわかったからね」

「そこに達するまでが長そうで、わたしには耐えられるかどうか……」


 勿論、自分のPAとして来てくれた以上は頑張りますけどね。


宝珠(タリスマン)は元々龍玉と言われていて、『龍の力を溜め込んだ宝玉』とも呼ばれている。『龍は龍の力を呼び起こす』と昔から伝承されていることから、こうやって祝福を受けた宝珠(タリスマン)を触媒として、龍の力を新たな宝珠(タリスマン)に授けるのさ」


 なるほど、PAに龍の要素があるから、龍の神殿で祝福を受ける流れになっているんだ。この辺りも初心者講習(チュートリアル)受けることが出来たら教えてくれたんだろうなぁ……


「じゃ、始めるよ」

「はい、お願いします」


「龍の神よ、汝の力をここに」

 ロイズさんが詠唱を始めると魔方陣から煙のようなものが出始め、部屋の天井近くまで上がると帯状に集束していき一本の輪になる。



『ほほぅ、楽しそうなことをしておるのぅ』

『ディメール様!?』


 しまった! さっきのやりとりから、いなくなったと勘違いしてたけど、そんなわけないじゃん!


『妾がいるのにそんな面白そうな事をするとは、貴様らも大概よな……カカッ』



 ギィン



『!』


 いきなりディメール様の声が聞こえたかと思ったら帯状だったものが霧散し、再び集束していくがさっきまでとは形が違う。この形は


『美しいものよのぅ、いつまでも表裏が異なったことに気がつかぬなど、人の営みと同じと思わぬかえ?』


『ちょっ、ええっ!』

 メビウスになった輪が集束し、一つの光の玉となりわたしの宝珠(タリスマン)へ。


 赤・青・黄色に輝いた後、最終的には一色に落ち着いた。この色は……


 ・

 ・

 ・


「あーなんだ、まぁ……すまん」

「いえいえ、こればっかりはロイズさんのせいじゃないですよ、こればっかりは……」


 ディメール様のことを忘れていたのわたしだし、そもそもロイズさんに宝珠(タリスマン)の祝福をお願いしたのもわたし。


 ロイズさんが『輪が一度戻ってからちょっと捻れた輪になったのは予想外だったよ。ディメール様がイタズラしたかな』とディメール様のことを感じていないはずなのに正解を導きだしてたけど『その通りです!』なんて答えられる訳ないじゃないですか……



 わたしの手元にある宝珠(タリスマン)

 その色は紫色。普通から遠く離れたレアPAで、宝珠(タリスマン)に色が灯ったタイミングで一瞬『この(PA)なんだっけ』と思ったほど覚えがなかったぐらい。


「まさかこれが来るとはね、操作や射撃は教えられる部分は教えるから」

「はい、是非お願いします……」


 紫色に光る宝珠(タリスマン)、それは(タイプ):ハマル、別名ホバー型強襲PA、もう一つの別名が走る徹甲弾。相手の喉元に食らいつく事を目的としたPAで、最速・強固な装甲を持つ反面、複雑な操作性と強力な推進力から発生する(重力加速度)は戦闘機並みと言われている。



 ……無理じゃない? さすがにコレは。




順調にストック化している内容も修正が入ってます。

……順調?


でも読んでいただいている方へ、少しでも読みやすい内容にできればと考えています。

引き続きよろしくお願い致します。

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