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24話 予測されるもの

アクセス数がすっごく増えて嬉しい限りです!

びっくりするほどの増え方で、素直に驚いています。ありがとうございます!



戦争……、うっ頭が(スケール感とか出す気なくても長くなるのは……)


「う~ん、今日も濃い一日だった……」

 ゲーム(PAW)から戻り、ベッドの上で軽く背筋を伸ばしてから飲み物を取りに冷蔵庫へ。


「何気に朝から忙しかったし、修練というか特訓というか理解しきれてないけど大変なことはしてたし……ん?」

 コップについだ麦茶を飲みながら机に目を移すと、携帯端末(ポータブルデバイス)の着信ランプが煩く点滅している。


『あの点滅具合だと不在着信が十件以上!?』

 慌てて携帯端末を開くとメールが五通と着信が二十件も。……全部要さんからだし。

あ、また着信きた。



「も、もしもし!?」

『や~っと出たわね』

 いやいやいや、いまログアウトしたばかりなんですが。


『時間が時間だから早めに話をしておきたかったのよ、ログアウトしたとかしてないとか置いておきなさい』

「ど、どうしたんですか? そんなに急いで。まさか急にイベントで事件でも起きたとか!?」

要さんにしては珍しく、要領がはっきりしない電話だ。


『まぁ、イベントの件はいいとして、阿里沙はアレが誰だかわかって師事してもらってるの?』

 アレ?もしかしてマチュアさんのことかな?


「いえ、とりあえず一緒に働く素敵な神官さんということしか認識できてませんよ」

『……そんなことだと思ったわ』

 わたしの返答は想定内でしたか。


『あの人、以前に帝国の十指に数えられた笑う人形(ラフィング・ドール)マチュアって超有名人だし』

「ラフィング……? 笑う人形?」

 まぁニコニコした人なのは確かだけど、十指ってかなり凄い気が。


『阿里沙の考える【凄い】がどれくらいかわからないけど、戦場であの顔見たら「覚悟する暇なくあの世行き」と言われてたらしいわ。

 何でも十年前に戦場に出てから行方不明って話だったけど、まさか王国の初期村(シーレフ)にいたとはね』


 なんか、すごーくこれから先が不安になりそうなお話で。もう職業に【門下生】って登録されてるからどうにもなりませんが。ただ、


「実際、今日初めて修行みたいなものをした時には凄かったけど、いつもは気さくなお姉さんですよ」

『うん、まぁその辺りは阿里沙にしかわからないから何とも言えないけど、困ったらきちんと言いなさいよね!』


 こっちのお姉さんもわざわざわたしの事が心配で、電話やメールで何度も連絡してくれる優しい人です。



『あともう一つ』

「はい?」

 さっきまでと声のトーンが違う。こういう時の要さんは何かを掴んだ、嫌な事や危険な事に敏感になった時。


『早くレベル11まで上げなさい、あとPAも入手して操作できるようにしておくこと』

「レベルを上げてPAを操作って、わたしの今の状態から考えたら数ヵ月先だよね、そんな事は要さんが一番よく知って」

『知ってるわ、それでも急げるなら出来るだけ急いで欲しいの。今日もその為に神殿に行って阿里沙を誘おうとしたんだから』


「……何が起きるんですか?」

 ついさっき、ゲームの中でマチュアさんと話した中で引っ掛かったキーワードがチラチラ浮かぶ。


『たぶん数ヵ月以内に戦争が始まるわ、一年前とは比べ物にならない大規模な戦争がね』



―――◇―――◇―――



「阿里沙暗いわね~どったの」

「あ、うん……」


 次の日、那緒は朝練が休みらしく、久々に一緒の登校。

 ちなみに要さんは『夏の運動部の予算決めよ』と普通より一時間早く登校している。


『この話はまだ私の周りにしか話してないわ。絶対とは言わないけど、調べた限りかなり確率は高いと思う。那緒にも話してあるけど、周りにPAWしてるプレイヤーがいないとも限らないから、話すなら慎重にね』


 要さんから言われた一言。


『たかがゲームのはずなのに』

 そう頭で思っていてもつい気にしてしまう。考えなくていいなら、考えないのに……


「那緒はPAWでどんなことしてるのかな~って」

「本当に阿里沙を暗くする要因が私だった!?」

 こういう時は那緒の緩さに助けられる。


「ま、それは冗談として。PAWってやることありすぎるから大変だな~ってね」

「普通にやってたら阿里沙みたいな苦行にはならないと思います!」

 く、苦行って。


「おかげで職業二つ目よ、モリモリヤワー」

「棒台詞ですよ姉さん、てか職業二つ目って!?」

「あ、うん。【門下生】だって。これで戦えるようになれれば良いけど……先は遠そうよね」

『そういう問題じゃないんだけど』と那緒が溢してる……突っ込みはいいか。


「要さんからも言われたから、とりあえず色々しておこうと思うけど那緒はメインなにしてるの?」

「私はレベリングだね、基本とPAと。やっと向こうの人(NPC)並みまでは戦えるようになったけど、まだまだ先は長いっすよ」


 なんでもプレイヤーとNPCでは同じレベルでも強さが違っているらしく、同レベルの戦いではほぼ勝つのは難しいとのこと。

『PAWの中で生活している時間が影響してる?』とも言われているけど、基本的にログイン時間に規制があるから試しようがないわけで。


「阿里沙も早くレベリングできるといいね~その時は勿論付き合うからね……お弁当一回で」

「無償じゃないの!?」

「おいしいお弁当とレベリングのお手伝いで五十歩百歩でしょ?」

「いや、それを言うなら『持ちつ持たれつ』だよ」

 もう少し栄養を考える方に供給しなさい。


「ま、お弁当が二つに増えても手間はあまり変わらないから。その時はよろしくね」



―――◇―――◇―――



 放課後、少しだけ料研に顔を出してから帰宅し、洗濯物の取り込みなどいつも通りの事をしてからログイン。

 ……なんだかんだで毎日ログインしてるということは図らずもハマっているということだよね、う~ん。


「ログインしたタイミングが朝の六時というのは色々な意味で動きやすいからいいよね」

 窓から外を見れば、ほんのりと白けてきている。


『さて、今日も二日分のデータを統合インストールっと』

 二回目になると少しは慣れて……


「ううっ……」

 昨日統合(インストール)した時とは比べ物にならない程、大量の情報が頭に入り込み、思わず吐きそうに。

 スピードも一番遅いのに設定してあるにも関わらず、こんなにキツくなる理由は……あった。


『朝練、昼練、夜練って修練こんなにしてるし!?』

 しかも殺気に慣れるだけじゃなく、基礎体力向上とかバランス感覚に型とかいっぱいだし……


「ん?」


 ちょっと待って、二日間これをしていると言うことは……もしかして今日もじゃない?



 コンコン



「リア~そろそろ朝練するわよ」

「は、はい!」


【がんばれ! がんばれ! わたしも二日間がんばったんだから】

 あ……なんか幻聴が……





ブックマークありがとうございます。

評価ありがとうございます。


仕事半歩でコマみたいにくるくる回っていますが、負けないように頑張ってアップつづけます!

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