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23話 新たな職業?

国の呼び方って調べてみるといろいろあり過ぎて、その付けられた経緯とか見ていくとハマります。


「いま、と言っても今日からだけど、格闘を習えることになったんだけど、その人から『許可するまで魔物も含めた戦闘禁止』ってルール決められててね」

「はぁ? なにそんな事決められてるのよ! ……いいわ、私がその人に許可貰ってきてあげる!」


 いや、それやめた方が……



「あら、なにか大きな声がしたから来てみたけど、呼ばれたかしら?」


 その人(マチュアさん)キター!

 なにそれ、なんか気配察知とかあったりするの!?


貴女(あなた)が、」

 ルナさんが声のした方(マチュアさん)を見ながら声をかけて数秒、沈黙が流れる。


「あははっ~、この人ちょーヤバいじゃん!」

 ニーナが笑いながら凄く失礼な事言ってるんですが!?

 ていうか、ルナさんもさっきから硬直してるみたいにピクリとも動かないし……あ、動いた。


「……わかったわ、今日のところは帰るけど諦めないから。ニーナ、出直すわよ」

「ほいっ」


「んふ、いつでもどうぞ。リアのお友達なら歓迎するわよ」

 心なしかルナさんの顔色青いような。まぁ、普通に歩いているから大丈夫かな?



 ルナさん達が帰ったあと、わたしとマチュアさんは居間でお茶をする事に。

 この世界(PAW)のお茶は茶葉を天日干ししたものを軽く煎って飲むタイプで、急須なども無く茶葉がちょっと気になることから、市場で買った目の粗い布切れを二重に縫って専用の茶漉しに。


「あら、これだと茶葉が気にならなくなるわね」

「洗えば何回でも使えますし」

 ふぅ、お茶するとゲーム(PAW)でも現実(リアル)でも落ち着きます。


「さて、リアはさっきの返答で納得してる?」

「マチュアさんの決定した事についてですか?」

 わたしの返答にマチュアさんは「ええ」と頷く。

 ああ、つい質問に質問で答えちゃった。



 『許可するまで魔物や人と命を懸けた戦闘をしない』



 それがマチュアさんから格闘を習う上での唯一の約束事。

 人との練習を目的とした対戦なら好きにしていいと言われているけど、絶対に負ける戦いをするほどマゾじゃないし。


「この世界に来て戦うことが日常にあるのは理解していますが、戦わなくてもいいのであればしないだけです」

 ゲームだから戦うのがありなら、ゲームだから戦う以外を求めたって悪くないよね!?


「そうね、それも選択よね」

 マチュアさんはお茶にミルクを入れ、かき混ぜながら答えている。


「でも時が来たら……多分戦わなくてはいけない時が来るわよ」

「戦わなくてはいけない時、ですか」

 なんだろう、わかるようでわからない。


「この世界はね、常に戦いから逃げられないの。地図を見たことあるでしょ? 大陸の中心に存在する帝国……ガルディン帝国が覇を唱え続ける限りね」


 そっか、【戦い】と言われて魔物との戦いしか考えてなかったけど、国と国とが争っていたんだっけ。




 一番大きな国であり、大陸統一を目指す【ガルディン帝国】


 その南に位置し、反帝国の中心国家の一つがここ、【アステリナ王国】


 王国の東、海岸線を握る反帝国で最も国力が豊かな【ブランシア共和国】


 帝国の北方、厳寒な地を縦横無尽に駆ける屈強な民族が主体の【キャスシア連合】


 帝国の西部に広がる砂漠と繋がり、多種多様な種族が自由を謳歌する【ダズル首長国】


 王国の西、元は王国と一つだったが兄弟戦争で袂を分けた、【エルングラ公国】


 小さいながらも帝国の海洋進出を邪魔する、共和国の北に位置する【神国ファラム】




 帝国以外は【反帝国】で同盟を結び、互いに不可侵とはしているけど、国の思惑なんて一個人は知るよしもないし。


「戦争が始まるのですか」

「最近だと一年前に起きたばかりだけど、いつ起きてもおかしくない、もう起きないなんて保証はないからね」


 一年前、帝国が王国の領域を侵攻。同盟に基づき共和国と神国が帝国に攻めた事から首長国と連合も挙兵。


 このタイミングで帝国が王国の領土から撤退したことで大きな被害は出なかったものの、『帝国は覇を諦めない』と同盟国同士で一致し、今後も継続的に協力体制を続けると署名したらしい。


「戦争は不幸しか生まないけど、人は決して戦うことを止めないから……」


 マチュアさんの呟きに言葉を返せない。

『だってわたしはこの世界の当事者ではないのだから』


「あ、ごめんね辛気臭い話になっちゃって」

「いえ、わたしはこの世界にまだ詳しくないので、色々な話が聞けるのは貴重ですよ」


 それは本心。

 ゲーム(PAW)開始前に読んだのはあくまでゲームの知識であって、PAWの世界や生きる人達の常識や歴史ではない。例えAIが考えた世界であっても、その想いは本物だと思いたい。


『AIなのか怪しい、偽りの世界と思いきれないと感じることもあるけどね』



「だから、というのも変ですがマチュアさんの言ってる事を信じます。大して才能も無いから教えるのも大変だと思うし、逆に迷惑かけることになるかもしれませんけど……」


 マチュアさんはわたしの言葉に少し驚いたような表情をしてから、いつも以上に優しい顔でにこやかに


「リアが私の事を信じてくれるなら、必ずあなたに私の格闘術をすべて教えてあげるわ。例え時間がかかってもね」

「はい、ありがとうございます!」



 ピロリン♪



《【職業ジョブ:緋蒼流格闘術の門下生】を獲得しました》



 え?


 なんか獲得したと思ったら格闘術の門下生って出てる。というか門下生が職業ジョブってあってるの?


 慌ててステータス画面を見ると、職業ジョブの欄に【神官見習い】と【緋蒼流格闘術の門下生】って並記してある。

 中身を見ると神官見習い同様、ログアウト時にもオートで訓練しているらしいけど、こっちのわたしは大丈夫なんだろうか……


 ただ、格闘を習うスタートラインに立ったようで、夜の比較的平穏な時間ともこれでサヨナラになるのかな……残念。


「じゃあ明日からもビシビシ鍛えていくからヨロシクね!」

「はぃ……」


 凄く元気なマチュアさんを見て、ほんの少し『失敗したかも』と思ったのは後の祭のようです。




ブックマーク、評価、いつも本当にありがとうございます!


ということでブクマ100突破記念で一日二話アップしました。

少しは楽しんでいただければ幸いです<(_ _)>

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