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222話 王者達の協奏曲 10

こちらの内容を書く際に“203話 アルブラ動乱65”の内容を一部変更しました。


「最初は“陰”と“陽”の面どちらも使えるのがデフォであり、そこから特異者のみ一方しか伸びない(片方は消える)」に変更しています。

※元はどちらかのみでした。


「前に……ヴェルフ(あの馬鹿)神代(かみよ)映証(えいしょう)で馬鹿丸出しの話をした後、私がリアに話したことを覚えてる?」

「えーっと、精神障壁マインドプロテクション心魂障壁(ソウルプロテクション)を教えてもらった時のことでしょうか?」

 ソファーに座ったマチュアさんから話を振られ、とりあえず思い浮かんだもので答えてみる。


「ええ、そうね。それを教えた理由と、使わざろう得ない状況について説明ね」

「はい、しっかりと覚えています。マチュアさんがあそこまで取り乱したのなんてあの時だけでしたし、何よりわたしとしても衝撃的な一日でしたから……」

 そう話しながらあの時のことを思い出す。



 ・

 ・

 ・



「リア、ヴェルフ(アイツ)にいつ会った? いつ見られたの?」

 トム店長とロキシーの事情聴取が終わったあと、マチュアさんから『二人だけで話をしたい』言われたわたしはマチュアさんと自分の部屋へ。そしてソファーに並んで座ると、マチュアさんは間髪入れずにわたしに聴き始める。


「え、えーっと……確か、アルブラでPAPが暴走する前だったので、アルブラ(ここ)に着いてから三週間を過ぎた頃だったはずです」

 まだあれから二週間 (現実世界だと五日)ぐらいしか経っていないのに、随分と昔の話に思えてしまう。



「そう、じゃあ死撒剛腕(テンペスト)と戦う前に見られたってことよね? だったら最悪な状態は免れていると思うから、とりあえずだけど良かったとしましょうか」

 マチュアさんはわたしの返答にホッと息をつきながらそう答える。


『最悪な状態じゃない?』

 どういうことだろう? というか、ラルさんと闘う前とか何が関係しているのかな?

 それに“何をもって最悪”なのかもわからないし……とりあえずその辺りはマチュアさんに聞いてみないことにはわからないか。


「ああ、ごめんなさい。順を追って話さないとわからないわよね。

 とりあえず私が最も危惧していたのは、ヴェルフ(アイツ)がどの時点でのリアを“見ていたか”だったの。でも、いまリアから聞いた時にしか ヴェルフ(アイツ)に“見られていない”のであれば、今からでもヴェルフ(アイツ)に“見られなくする”手段を取ることが出来るわ。

 ま、多少突貫工事っぽい覚え方になってしまうことから、リアにはちょっとキツイ思いをしてもらうことになるけど」

「でも、それさえ出来れば」

「ほぼ、ヴェルフ(アイツ)はリアのことを見られなくなるはずだから、多少は安心出来ると思うわ。もっとも、ヴェルフ(アイツ)がリアのことを欲しいと言った以上、油断することは出来ないけどね」


 ヴェルフさんって神出鬼没な所があるから気は抜けない……でも、


「それで……マチュアさんが言う“最悪な状態”から回避できるなら、頑張って覚えてみせます!」

 大変な修練なら今まで沢山してきた。自分自身の身を守るため、そしてそれでマチュアさんの心配事が少しでも無くなるなら、何としても覚えてみせる。



「じゃあ、ちょっとMPが枯渇するまで魔法かけ続けてもらうことになるから」

「え?」

「そうね……汚れても良いように、リアのトレードマークでもある作業服(ツナギ)に着替えてもらおうかしら」

「え、えーっと、作業服(ツナギ)を着るのが汚れても良いようにっていうのはわかりますが、マチュアさんの言う“汚れ”って一体?」

 MPを完全に枯渇するまでっていうことと、作業服(ツナギ)が汚れることの関係性がイマイチわからない。


「じゃ、実際にそうなってみた方が説明するより早いから、早速やってみましょうか」

「あ……はい」



 どう考えても拒否出来ないような状況を回避できるような手段なんか無く、わたしはマチュアさんの指示に従って作業服(ツナギ)に着替えると、店の地下にある特殊な部屋へ。その部屋にはPAなどに付いたものを含め、色々な汚物を流せるように格子状に組まれた大きな溝蓋が床一面に設置してあった。

 一応、部屋に臭いが籠もらないよう、空気の通路となる導管が設置してあるものの、ちょっと暗めに設定された照明のせいもあり、どんよりとした重たい空気が充満していた。



「じゃあ、この魔法書に書かれている二つの魔法を唱えてみて」

 そう言ってマチュアさんは鞄の中から二冊の魔法書を取り出す。


「えーっと、【精神障壁マインドプロテクション】と【心魂障壁(ソウルプロテクション)】っていう魔法なんですね。

 ……あ、でもこの二つの魔法って『習得レベルが二十以上』って書いてありますよ? わたしはまだ二十まで到達していないので使えないかと」


 基本的に魔法を覚えるにはレベルが上がることで自然と習得パターンか、既に覚えている魔法が一定レベルになることで派生して覚えるパターンが殆ど。レベルが上がることで覚えるタイプ魔法はスキルポイントを使わずに覚えられるから良いけど、基礎的な魔法だったりすることが多いので、やや使用度が低いものになる。

 それに比べ派生して覚えるタイプの魔法は威力が高かったり、汎用性が高いものが多いことから、より多く覚えたくなるものの、覚えた時にはその資格を得られただけの状態であり、実際に使えるようにするためにはスキルポイントを使用して習得することが必要となる。


 また、賢者や法王など高ランクの職業に就いている人から教えてもらうという手段もあるらしいけど、そうやって覚えられる人というのはそれなりにコネを持っていることが前提になるので、そのルートで覚えられるのも極僅かな人いしかいないと聞いたことがある。


 それらに比べ魔法書を使って覚えるというのは敷居は低く、その魔法を覚えることにスキルポイントを使わないことから一部の冒険者には需要があるとは言われている。ただし、魔法書に書き残せるような魔法ということになるので、自然と低ランクの魔法となることが多いし、魔法書自体が高額なこともあってか、進んで覚える人はあまり多くない。

 

 そもそも習得レベルに満たないとその魔法書に書かれた魔法は覚えられない(覚えようとしても失敗する)というのは有名な話だと思ったのだけど……


『マチュアさんならわたしのレベルだって知っているはずよね? っていうことは』

 否定的ではなく、勧められたという事実から出る答えは……



「……もしかして魔法書に書かれた魔法って、習得レベルに到達していなくても使えるのですか?」

「ええ、そうよ。ただ、正確に言うならそれは“使える”っていうだけ。見た目には失敗しているようにも見えるし、その他にも色々と問題があるのだけど……ま、何事も体験ということでいきましょうか」

「はい……」

 うーん、今の話の内容だと、不安しか感じないのですが?


『でも、とにかくやってみるしかないか』

 マチュアさんから教えられた過去の内容を思い出してみても、わたしにとってマイナスになったことは無かった。だから、



 《精神障壁マインドプロテクション



 精神障壁マインドプロテクションを唱えた瞬間、フワッとした感覚と共に自分に見えないベールがかかったような感じがする。


『これは……え?』

 だけど、そんな気持ちも一瞬だけ。すぐに頭の中が熱くなったかと思った瞬間、強烈な頭痛と吐き気に襲われ、




「うぷっ、げほっ!」

 そのまま床に座り込むのが早いか、わたしは胃の中にあったものを嘔吐していた。



前回、アップ時間間違えてました(゜∀。)


久々にうっかりミスしてます、すみませんm(_ _)m




いつも読んでいただいてありがとうございます!


今回も無事にアップできました!



次回も予定通り3月2日にアップ出来るよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたしますm(_ _)m


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