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216話 王者達の協奏曲 4


 ボン!



 爆発した衝撃とともにディスプレイは一瞬だけ真っ赤になると、間髪入れずに全ての映像が消えて真っ黒な状態に。そして、



 ガシュン……



 訓練用デバイス(シミュレータ)にかかっていたロックが外れる。



「……何をされたの!?」

 戦闘が終わって即リプレイを見てみると、ハルを撃とうとしたわたしに対し、茂みの中に隠れるように設置されていたハルの(タイプ)シリウスのメイン武器である狙撃銃(スナイパーライフル)が、射撃線上に入ったわたしを背後から見事に撃ち抜いていた。


「えっ? えっ? ハルの武器ってあんな使い方もできるの!?」

 想像してもみなかった、ハルと離れた位置に置かれた狙撃銃(スナイパーライフル)による攻撃。そうそうこんな攻め方を使うような場面とかは無いと思うけど、何だかちょっと納得がいかないというか……



遠隔操作(あれ)はズルくない? っていうかリモコン操作??」

「いや、別段遠隔操作(あれ)はズルくないぞ?」

 思ったようなリアクションをわたしが取ったことで、してやったりと笑うハル。


遠隔操作(あれ)はパーツを入手して、PAのメイン基板部分へ設定すれば誰にでも出来るぞ。それこそリアの機体(ハマル)であってもな。

 ま、どういう状況で遠隔操作(リモート)を使うかは色々考えなきゃいけないが、機体自体を遠隔操作(リモート)することも出来るし、一定の動きを先行入力しておくことで自動操作(オート)をすることも出来る」

「いや、確かに色々と出来る引き出しを作る事自体はアリだとは思うわ。でもゴメン、今のわたしにはそこまで余裕ないから」


 ……既にこれまでの戦闘訓練で、ハルの行動や攻め方を覚えるだけでも頭の中はパンパンの状態なんですけど?



 こんな感じで偶に思いも寄らない攻撃をされることもあったけど、基本的にはハルが自分の中で培ってきた戦術パターンをランダム状態で使って攻めて来ていた。


「“自分がどうするか”、なんてことを考えるのはリアには早すぎる、そんなことよりも“何があって、何が出来るか”を考えろ。

 いま自分がいる位置を、時を、状態を、そして相手のことも含め全てを考え、把握して動くんだ」

「は、はい」


 ハルの教え方、というよりやり方は本当にシンプルでとにかく戦いの数をこなす感じ。しかもこちらが戦い方を変えると、それに合わせてハルもしっかりと受け方を変えて対応してくるものだから、ただただわたしの負けだけが増えていく結果に。



 そして負けを重ねていくことで、わたしの方が戦闘ごとに色々なことを考えてしまい、開始直後の初動すら遅れ始める状態に。もちろん、それはハルにもしっかりとバレていたようで、


「動く前に悩むな、そんな時間は相手に隙を与える時間ですらない。考えて把握したものから相手の動きや行動を予測して動け。

 もし、その中で納まらない動きを相手がするのであれば、それをキチンと自分の中に取り込んでから次の行動へ移るんだ。

 だが、そこに時間をかけるなよ」


 と、キッチリ指摘をいただきました。



「ちなみにその時間って」

「数秒でも命取りだと覚えておいてくれ。一秒でも怖いと俺は思うから、実質はコンマ数秒ぐらいと考えてもらえれば良いかと思う」

「コンマ数秒って……」

「正直、コンマ数秒なんて考える時間は無いに等しいから、とにかく実践とかで学んだものをいつでも並べておき、何かを思った際にすぐ選択して動けるようにってところだな」


「が、がんばる」

 とりあえず今のわたしにはそう答えることしか出来ない。



 その後もハルとは戦闘訓練を何度も何度も繰り返す。

 もちろん勝つことなんて当然あるわけもなく、それどころかハルの指示通りにイマイチの状態で戦ったり、それこそ状態異常のままでも戦闘訓練を繰り返したこともあり、わたしの負け数だけがドンドン累積していくことに。


 ぶっちゃけ何戦やったか覚えていない。リザルトを見る気力というか、全て負けの結果を正気で見ていられるほどの精神力も無い状態。それがどれぐらいかといえば……



 モミモミ



「リアが揉み放題なのは嬉しいはずなのに、こうも反応が無いとさすがにつまらないかも」


 と、ロキシーからのスキンシップという名のセクハラを受けても反応する気力が欠片も無いレベルに到達し、何もする気が起きないグッタリとした状態に。


 ……というか、揉んでいるほうが“つまらない”とかどういうことですかねぇ。



「これだけ揉んでも運営から警告が無いなんて……リアも私を受け入れて」

「無いから……」

「はやっ!」

「っていうか、運営はこの状態をどう見ているのよ」


 たぶん、わたし自身がロキシーに反応しないものだから、運営的にはスキンシップ(その行動)をわたしが肯定していると捉えているような気がする。


『ハラスメントに厳しいはずの運営チェックにわたしの反応が無いからといって、ロキシーの行動が引っかかってないってどうよ?』

 これは新しい(?)発見かもしれない……全然嬉しくないけど。



 ちなみに当のロキシーからは、


「うーん、反応が無いからツマラナイ」

 などと、“超意味不明な感想”を貰うことに。なお、その時のわたしの状態があまりに酷かったようで、


『目の死んだ鮮度の悪いリアのお造り、もしくは“たれリア”』


 などという、何とも言えない評価をいただきましたとさ。




 ……元気になったら、あとでしっかりとお返ししてあげるから覚えておくように!



いつも読んでいただいてありがとうございます。


というわけで、久々の週二話アップでした。ま、一話あたりが短いですからね……

ちなみに次回は通常通りの1/20(月)にアップする予定です。


本当は年末年始の休みとかに、こうやって多めにアップしたかったのですが

なかなか難しいものです(´・ω・`)


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