213話 王者達の協奏曲 1
はい、まだ完全なプロットはできていませんがとりあえず形にはなったので新しい章を開始しました!
まだまだ拙い書き物ではありますが、よろしくおねがいいたします<(_ _)>
カン! カン! カン!
「こんな感じかな」
目の前に鎮座するPAの装甲を軽く叩き、キッチリと嵌ったことを確認する。
「トム店長、一体補修作業完了しました」
「おっ、割と早かったじゃねぇか」
「……なんだかんだで二十体目ですからね」
「あぁん? 良いじゃねぇか、タダでPAの補修スキルを伸ばせるチャンスだぞ。スキルポイント使わねぇでスキル取得出来るなんざ、テメェらから見たら垂涎モノだろうが」
「それはそうですが、流石にキツイですよ……イロイロと」
あの騒動から五日、わたしはトム店長の店から一歩も出ることなく、店舗に併設されている工房にて、依頼の入ったPAやPAPの修理や改修作業などに携わっていた。
「テメェが疲れているのはオレだけのせいじゃねぇだろうが?」
「……それは、まぁ否定しませんが」
《お前が欲しい!》
今思い出すだけでも脂汗というのかわからない、正体不明の感覚に苛まれる告白事件。あんなハタ迷惑な放送のせいもあり、トム店長だけでなくマチュアさんやロキシーからも、
「「注目度最大のあなたが、そんなフラフラと表に出てどうするの!」」
という大変厳しいお言葉をいただいたこともあり、結局、店舗の周辺どころか建物の外へ出ることすら禁止状態になっていた。
もちろん、みんながわたしのことを大事に思ってのことだということは認識しているので、それに異を唱えることなく、素直にその言葉に従って店舗のに引き籠っている。
実際、ロキシーが情報収集を兼ねたお使いなどでアルブラの中を歩いていると、街の人だけでなく他の異邦人からも「あの放送にあったコーデリアという人を探している」と聞かれるどころか、「お前がコーデリアか?」という風に問われることもあったらしい。
とにかく街の中では“あの皇子がプロポーズしたコーデリアはどこだ”といった感じで犯人捜しのようになっているとのこと。それを聞いたマチュアさんは、
「話かけられるぐらいなら可愛いもので、下手したら誘拐されるぐらいの想定をするべき!」
とか本気で話しており、わたしの事を心配するあまりにトム店長と交渉して店舗の中の空き部屋に間借りして住んでるし。あ、一緒にロイズさんも来ています。
さすがに色々とあった神殿を残った中でも高位となる二人が抜けるのはマズいのではないかと聞いてみたが、「そんなことで潰れるような神殿ならとっくに潰れている」と意に介さない状態でした。
『……はぁ、さすがにこんな感じじゃ外を出歩くなんて無理よねぇ』
わたしどうこうよりも周りの人にかかっている迷惑や影響をこれ以上大きくしかねない為、出来る限り店舗の中で過ごすことしか出来ないわけで。
とはいえ、建物の中で一日中じっとしているのは性に合わないし、何より退屈だったこともあったので、みんなの意見を参考にして、店舗の中にいる時間を利用して様々な面から自分を鍛える事にした。
んで、
『みんなが協力的なのは、ひじょーに有難いけどさ……』
作業場にも貼られたスケジュール表。そこには一日分の行動予定がビッチリと書き込まれており、それを見る度に軽く目眩がしそうになる。
■リアがログインした時の予定
朝:朝食作成、その後PAの修復・改修作業
昼:昼食作成、昼食後魔法に関する座学と実践
夕:夕食作成、その後PA・PAPの構造・仕組みに関する講習と、PAでの戦闘訓練
夜:夕食後、格闘修練及び戦闘訓練
……うん、おなかいっぱいというか限界超えてそうなレベルなんですが。
PAの構造や改修などについてはトム店長が、実際に店に運ばれてくるPAやPAPを実験台……もとい、修理などをしながら細かな部分まで教えてくれた。ただ、
「結局はどれだけイジるかで変わるから、オメェはとにかく手を動かしながら覚えろ」
という実にトム店長らしい教え方になっていることもあり、次から次へと運ばれてくるPAやPAPに対してトム店長の話を聞きながら修復や改修作業を行い、技術と知識を身に着けていっている感じ。
特にここ最近は臨国の影響もあってかPAやPAPの整備や強化を依頼していくる人も多く、トム店長としても『使えるものなら何でも使う』の精神で、片っ端から依頼を受けてはわたしと一緒に工房に籠っている。おかげで練習台……じゃなかった、実際の機体を使って実技を学ぶにはうってつけの状態とも言えた。
魔法についてはマチュアさんとロイズさんが主体となりながら、ロキシーも一緒に覚えたり、逆にPAWでの一般的な魔法の内容についてを教えてくれたりしている。
まぁ、あくまで魔法の内容と言っても、どの属性と魔法が合っているということや、魔物との相性が良いとか悪いとか広い感じでの知識というのがメインに。
『というか、魔法とかって使いたいとは思っていたけど、属性やそれに合わせて相性なんかもあるなんて思っていなかったら……結構大変かも』
【魔力が高ければ相性とか無視して攻撃したりもするけどね。火に強いサラマンダーを業火で焼きつくような変態魔力を持った大魔導士とかもいるわけだし】
『うーん、イマイチ想像つかない』
【あなたのお友達の魔法使いなら似たようなことできると思うわよ?】
お友達?
『そっか、そういえばルナさんも高レベルな魔法使いだったっけ……』
会う機会があれば実際にどんなことが出来るか聞いてみたいかも。対戦は……ちょっと遠慮しておきますが。
PAの戦闘訓練については、街の中にある専用の施設が使えればベストなんだけど、“そこに行くのも危ないだろう”という皆の意見もあり、工房の地下にあるコックピット型の訓練用デバイスで模擬戦などをやることに。
とにかくPAの使い方と戦闘に慣れるということを主体に、PAを扱う技量が高いハルとロイズさんが交代で相手をしてくれている。
シミュレータはコックピットをそのまま剥き出しにした感じで、実際のPAと異なるのは台座の部分に宝珠をセットする箇所があるところぐらい。そこへ自分の宝珠を入れることで、レバーやべダルといった内部的な物から、装備している武装なども自分がPAに乗った時と同じ状態になってくれる親切設計。
わたしとしてはこんな便利なものがあるなら、ハルと訓練で使った練習場ではなく、最初から訓練用デバイスで操作とか訓練した方が良かったのではないかとボヤくと、間髪入れずに
「基本の操作になれることしかできないですよ、しかも応用的なものは身に付きづらいですし」
「シミュレータにはPAが動いた時の加速や各種動作時にかかるGが無いから、理想の動きと現実の結果にギャップが高くなっちまう。だから慣れすぎるとかえって成長を阻害するんだ」
と、ロイズさんやハルから忠告を受けた。なのであくまでシミュレータは戦闘時の考え方や操作を自分の中に構築することを目的とし、時間内での二本先取という戦闘を繰り返してやっているのだけど……
「勝てない」
いや、勝てないというのは語弊があるかな。より正確には“完敗”と言ったほうが正しい表現だと思う。それぐらいレベルが違うということを改めて体感したのだった。
あ、次は(気合があれば)ショートで早めにアップを目指します!
前みたいに毎日アップまでは無理ですけどねぇ……
頭の中にある塊を文章に加工するのは楽しいですよね。
……時間が無いのが難点ですが(´・ω・`)




