表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/288

191話 アルブラ動乱53


「先に進む道は一つしかないわけだし……」


 扇状になっている地形、その先に公都へ繋がる渓谷への道が。扇状の要となる部分には大きな岩がいくつかあり、その一つにミルザム(モモさん)が立っている。


 ちなみにモモさんがいる所以外にも岩は複数あり、中にはPAの三倍ぐらいはありそうな大きなものも。また、その形状も様々であり、斜め突き刺さったようになっている岩なんかは、余程切れ味の良いもので切断されたのか綺麗な断面を晒していた。



『一応見た限りでは、ホバー移動時に干渉しそうな障害物は無さそうだから、たぶんマイナス補正はかからないとは思う。

 ただ、ここから見えない場所に、さっきみたいな凸凹した部分があるかもしれない。同じようなことにならないよう、注意は必要だけど……』


「どうするかが問題はなのよね」

 結局、公都に行くには扇状になった地形の要部分、ようはモモさんがいる場所を通らなければたどり着かない。しかし、あそこに行くには


『地雷がネックになるってこと。見えないっていうのは流石に厄介すぎるでしょ?』

 モモさん曰く、ミルザムの能力で作られた地雷がこの辺り一面に埋めてあるらしい。


『実際、さっき地面が爆発したのだってそう。

 ハマルが踏まなかったのに爆発したということは、ミルザムからの遠隔操作で自由に爆発させられる、厄介な機能を持っているってことだと思う』


 この平原にどれだけ埋設されているかはわからない。勿論、この発言自体がブラフの可能性だと言うことも無くはない。

 たぶんモモさんがアルブラを出たのは数時間前のはずだから、そんな短時間で百や二百も地雷を埋めるなんてことはむずかしいとは思う。でも、


『流石にそれを試すだけの勇気は無いわね』

 威力があったのは目の前で確認済み。あ、後ろか。どっちにしろ勝ちが低い賭けをするわけにはいかない。


『踏めばそれそうなりのダメージを受ける事になり、例えそれが即死級のではなかったとしても、足を失う程の損傷を受けた後にミルザム(モモさん)とイーブンな戦いを続けられるとは到底思えないし』

 もっと簡潔的に言えば、そんな状態ともなれば確実に負ける事となるだろうし、その先にある【死】はどうやっても防ぎようが無いと思う。


『勇敢に進むなんてモモさんは言ってたけど、どう考えても“無謀な自殺行為”でしょ?』

 そうなると地雷を踏まずに移動する方法をとるしかないけど……



『ハマルはジャンプ性能が低いというか、外装も含めた装備一式が重すぎて跳ぶのに時間はかかるし、跳んだとしてもそこからホバリングしながらて移動するというのもチョットね』


 重たい機体を一生懸命バランスを取りながら移動する。それは【大きな的がフワフワと浮いている】という、どう考えても『撃ってください』と言わんばかりの状態であり、そんな情景(シーン)を思い浮かべたことで思わず苦笑してしまう。



『うん、とりあえず他の手を考えよう』

 楽しくない情景(シーン)をのほほんと浮かべている余裕なんてなかったわけで。


 例えば地面を攻撃して地雷を爆破しながら進む……時間が足りないし、やってる最中なんてモモさんから見たら“格好の的”になっているだろうからあり得ない。


 ミルザムが隠れたり、他にも武器を置いてあるであろう岩を全部壊してから撃ち合う……これも時間が足りないし、地雷がある状態は変わらないからダメ。


『回り込んで行くというのもこの地形からはどうやっても無理よね』

 万事休す……認めたく無いけど、今のわたしの手札ではこの状況を好転させられそうなものは見つからない。



『こんな時ハルなら、マチュアさんなら……』

 この場にいない二人。わたしよりも色々な状況をくぐり抜けてきた二人なら、その経験から最適解を出せるかもしれないと思うと、その悔しさに唇を噛む。


 ・

 ・

 ・


『出来ることをする、出来ないことはしない。その場で思いついた奇策なんて、成功すると思っちゃダメよ?

 もしどうしても奇策に頼るしかない状況に追い込まれたのなら、奇策に奇策を重ねなさいな。一つが破られても、二つ三つとあれば少しは打破できる可能性も出るかもね。

 あ。でも、お色気とかはほどほどにね』


『まぁ舞台が違っていようが、せめて一度は経験したことでやるべきだな。下手な鉄砲は数撃っても当たらないし、運良く当たっても大した効果なんか出ないものさ。

 ああ、あと経験したからって、むやみに脱ぐなよ?』


 ・

 ・

 ・


「あっれ、なんかイラっとしたぞ?」

 二人と戦いとか“役立ちそうな話”をしていたのを思い出しただけなんだけどなぁ……


 ま、まぁとりあえずそれは横に置いておこう。



『うーん、“せめて一度は経験したことで”って言われても……』

 そんなことをハルは言っていたけど、PAで戦ったのはバンダナとの戦いとシリュウのベガ戦ぐらい。それにバンダナ戦はPHYシステムの力と言うか、暴走に助けられたようなものだから経験からなんてあって無いようなもの。

 シリュウとの戦いも飛んできた相手に上から蹴られるわ、こっちの攻撃がキレイに避けられまくるわ、最後は目くらましを受けてまんまと逃げられたから、悔しい思いをしたことぐらいしか残ってないし。


 しかもPHYシステムはトム店長がバズーカを装備させる為にハマルから外しているから、ここにはもう無く、シリュウのベガは飛ぶとかいう絶対に真似出来ない行動だから参考にすらならない。



『他にあるとしたら……』

 あとはPAではない、普通の戦闘からっていう話になるけど、タウラスさんやラルさんとの戦いから流用出来そうなものなんて、そうそうあるわけ……




 脱ぐ 奇策 飛ぶ 目くらまし……




『!』


「もしかしたら、出来るかもしれない……」

 頭の中に並んだ過去の出来事を思い出すことで、その中にあったキーワードを結ぶ事により、一つの考えが浮かぶ。


 たぶん誰に言っても一笑に付されるか、馬鹿にされるのが関の山。でも、こんな八方塞がりの状態を飛び越える事が出来るのであれば、


「やるしかないじゃないの!」



 ヴゥン!



 色々と考え過ぎて熱暴走しかけた頭をリセットする為に、ハマルのペダルを踏み込む!


「覚悟を決めたかしら?」

「ええ」

 そう答えながらもう一度辺りを見渡す。


『距離、岩、位置……バズーカのクールタイムも回復したから、まずは』



 ドン! ドン! ドン!



 あくまで【それをやった場合】に想定される軌道から割り出した位置となる、平原の中央部分に向けて数発撃ち込む! すると、



 ドッ、ボンッ! ボボンッ!



 さっきよりも派手な爆発音とともに爆炎と土煙が遥か上空まで舞い上がると、そのまま辺り一面にも広がっていき、わたしとモモさんがいる平原一帯を飲み込んでいく。


「今!」



 ゴォォォン!



『この爆炎と土煙(カーテン)が少しでも相手の視界を奪っているうちに!』

 わたしは意を決するとペダルを思いっきり踏み込むと、目標物(アレ)に向かって走り出すのだった。




はい、今日も無事にアップできました。


書きたいことが色々あって、それらをおかしくならないようにまとめながら書いていくのって、難しいなぁ〜と思う今日この頃。


書き始めてかなり経つのに、こういった所はなかなか成長しないもので(´・ω・`)


それではまた次回を来週の月曜、7月22日に掲載出来るように頑張りますので、引き続きよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ