18話 イレギュラークイーン
タイトル一つ、つけるのも頭がまわらない……
※1/16 文頭部おかしいところを修正しました
※1/21 誤字・脱字修正しました
※2/12 誤字脱字修正しました
「ま、座って」
お昼休みになり、那緒を含めた回りの友達とお弁当を食べた後、約束通り生徒会室へ。
要さんは生徒会室で雑務をこなしながらお昼を食べていた。
「どこから話す?」
「もち最初っからで!」
途中の購買で買ったロシアパンを頬張りながら、那緒がリクエストをする。
『あっれ、さっきお弁当食べたよね!?』
「ん~時間も限られてるから、最初のあたりはダイジェスト的になるけど……」
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「……という感じかな。VRMMOがこんなに疲れるものとは思わなかったよ。……って、どうしたのよ二人ともそんな顔して」
二人は呆れたような、困ったようななんとも言えない表情でこちらを見ている。
「常識破りの女」
「あ~やっぱりそれだよね」
「お願いだから、そんな恥ずかしい中二病名ヤメテー!」
ただでさえ、料研副部長っていう恥ずかしいあだ名が定着しそうで困っているのに。
「だって、阿里沙……かなりイレギュラーなことしてるのよ?」
「えっ、イレギュラーって?」
そう聞くと、二人はお互いに顔を合わせ、
「職業は?」
「レベル21からの専用クエストクリア後でしか入手できないはずで~す」
「しかも」
「施設系で就職はNPCの友好度が90以上ないとできませ~ん」
「そして神官服は?」
「一般には販売してない特殊装備で~す」
「チュートリアルもできてないし、私ですら知らないクロススキルもあったわよね。さて、反論は?」
「ありません……」
「私達とはスタートから違ってたとはいえ、色々と面白い成長よねぇ、まだレベル1なの?」
「たぶん1だと思いますが……」
とりあえず携帯端末を取り出して確認してみよっと。
「……あ、レベル2になってます!」
「どれどれ」「見たい見たい~」
わたしの携帯端末を二人も覗きレベルが上がっていることと、表示される行動ログから確かに神殿で働いているのを確認する。
「ていうか、ログがヒール系とキュア系それにポーションの使用。あと料理で埋まっているのが凄いわ」
「ヒール系?」
ログを見返すと、ヒールが普通のヒールの他にミドルヒールがたまに書いてある。
「なに見てたのよ阿里沙」
「いえ、どうせ魔法は回復と毒の治療だと思っててあまり見ずに、わたしの分身が何の料理を作ってたか気になってそっちを見てました」
ちなみに作っていたのはチキンステーキとキャベツのスープか。まだPAWでは作っていないけど、前に作った料理の応用で作れるレベルだから出来たのかな?
「でもこのログから見ると、神殿で使った魔法スキルと料理スキルだけで経験値を稼いでレベルアップしたのよね、一体どれだけ唱えてるんだか」
要さんの一言が気になり、白魔法などスキルを確認してみると
「白魔法の熟練度が10になってます」
「うわっ、戦闘なしでスキルの熟練度を上げるって大概なものよ。よかったら全ステータスも見せて」
わたしも気になったので一緒に見てみる。
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名前:コーデリア・フォレストニア
職業:神官見習い
レベル:2(能力値に+2できます)
種族:ヒューマン
筋力:5
器用:16
敏捷:10
知力:16
魔力:12
生命力:10
精神力:12
運 :5
HP:220/220
MP:270/300
所有スキルポイント:-9
戦闘スキル:白魔法(LV10) 魔力増加(LV5)
PAスキル:リペア(LV1) 精密操作(LV2)
生活スキル:料理(LV10) 見極め(LV2)
クロススキル:速度の加護(1.1)
魔法:ヒール ミドルヒール キュアポイズン プロテクション
装備:加護を受けた神官服 ワンド PA用宝珠
所持G:0G 8500S
所有PA:
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お〜なんだか他にもステータスの数字が上がっている。
「基本レベルが上がることでステータスも上がっていくけど、スキルの熟練度が上がることでもステータスを上昇させるわ」
「なるほど」
確かに【精密操作】や【見極め】のスキル熟練度も上がっているけど、確かこれらってパッシブスキルだったよね……何して上がったんだろ。
そんな時、
「あれっ、阿里沙~まだPA登録してないの?」
「……あ、忙しくて忘れてた」
ステータス画面のPA欄が空白なのを指さし、那緒が突っ込んできた。
「要っち、どこで登録するんだっけ?」
「本来ならチュートリアルの最後で神殿に行って、持ってるPA用宝珠に神の息吹っていう祝福をかけてもらうと登録できる流れなんだけど、チュートリアルが無いのよね……ま、でも阿里沙ならなんとかなるでしょ」
「いやいや、二人で話終わらせないで下さいよ」
他人事だと思って。
神殿って、今わたしがいる所だよねぇ……ログインしたらダレスさんに聞いてみよう。
それから三人でゲームの中での話、特に街のまわりで魔物が活性化している事などを話した。要さんは「たぶんイベントだと思うけど、何がトリガーで、どうすることでクリアになるのかの情報が足りないわ」と愚痴っている。
ただ、わたしが
「毒に蝕まれた魔物が増えてて治療も大変だし、魔物の肉も流通しないから困ってる」
と言うと、それを聞いて何かが閃いたのか、自分の携帯端末からメールを打ち、情報収集活動に入っていった。
「さて、そろそろお昼休みも終わるから、続きはゲームの中でね。さっきのイベントの事もわかり次第教えるわ」
「「はい」」
要さんと別れた後教室に戻り、午後の授業へ。
危うく授業中に眠りそうになったのは先生にバレていないはず!
放課後は那緒が陸上部へ、わたしは料理研究部へ向かう。例の課題、べリアさんが認めてくれるようなスゴいものを考えなくっちゃね。
なかなかの難題です。