17話 帰ってきた現実世界
いつも読んで頂いてありがとうございます。
ブックマークとレビューも感謝です<(_ _)>
長かった一日が終わりましたが……戦闘とか一切していないし!?
あとゲーム内の時間を漢数字、現実の時間を数字の24時間表示にしてます。
気をつけているつもりですが、おかしかったらスミマセン。
※1/16 文頭部おかしいところを修正しました
※2/12 誤字脱字修正しました
「お、お邪魔します」
二階にある一室をわたし専用の部屋にしてくれたようで、自由に出入りする為の鍵をいただきました。
なぜか緊張したので思わず『お邪魔します』と言ってしまった……これから自分の部屋になるのに。
部屋は誰も使っていなかったわりにはキレイで、棚やタンスも自由に使っていいと言われたので所持していた衣服を鞄から出しタンスへ。
収納ついでに市場で買った部屋着にも着替え、やっと一息つけた感じ。
「結構真っ暗になるんだ……」
換気目的から開けた窓から見える街は街灯なども無いことから、酒場など夜遅くまで営業しているお店の灯ぐらい。
わたし達の世界と比べ、夜が更けるのが早く感じるのは電気がないからなんだろうな。
いくら魔法が便利に使えるとはいえ、街一つを明るく照らすのは難しいだろうし。
「そんなに高くなかったけど、この部屋着も着心地が良いわね」
着替えた服が思ったよりも良かったのは嬉しい限りです。
さて、さっき獲得した【職業】を見てみようかな?
点滅しているアイコンをクリックっと。
【職業:神官見習い】
神殿で働くことができる職業。また、ログアウト時には設定された内容を自動生活で実行することが出来る。なお、自動生活状態では神殿から出ることは出来ない。
なるほど、これが職業ね。
あ、関連機能で自動生活についても説明が書いてある。なになに……
【自動生活】
獲得した職業やクラス、また取得しているスキルによって、ログアウト中でもそれまでに蓄積された行動内容をAIが適正処理し、自動的に生活・活動するモードです。
また、PAWに登録した携帯機器からもオートモードの状況を確認できます。
おー、これは結構便利と言うか、使いやすい機能です。『ログアウトした時ってどうなるのかな~』とは思っていたけど、これならリアルで生活時にも治療で皆を補助できそう。
行動は常識範囲内に限られるけど、調べた限りわたしは【料理スキル】を持っている事で、治療の他に料理も問題なく出来るみたい。
とりあえず今のうちに行動内容を設定しておこう。
「もうすぐ十時か、現実だと……うわっ、もう23時過ぎてる!?」
やばっ、明日のお弁当の準備もまだしてない!
視界にログアウトボタンを表示させクリック。
10・9・8・7……
『ログアウトの間よろしくね、こっちのわたし』
目の前でカウントダウンしていく数字を見ながら軽く目を閉じ、ログアウトに備えた。
・
・
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ピピッ、ピピッ……
ログアウト時に鳴るように設定したアラートが、自分を現実世界に帰ってきた事を告げる。
「あ~、帰ってこれた……けど、からだ重っ」
約五時間ぶっ通しでVRの世界へログインし続ける事なんて初めてだったから、向こうとこちらとのズレみたいなものが。
これが噂のVR酔い?
「う~ん、体が気持ち悪いしシャワー浴びよ……」
現実世界で感じたダルさと、シャツがジトッとするほど汗をかいたのが気になりシャワーを浴びるとだんだん頭が冴えてきて……
「あっ、宿題まだやってない!お弁当の準備も!」
色々と済んでいないことを思い出したわたしは、倒すべき課題達と対峙することにした……
―――◇―――◇―――
「で、寝不足で朝からテンション低いのね」
「はぃ……」
一緒に登校する要さんは、呆れた目でわたしを見るとそう溢す。
なんとかお弁当の準備も宿題もできたけど、結局寝たのは夜中の2時過ぎ……
さすがに体というか、頭がイマイチ起きていない感じがする。
「まったく、仕方がないわね」
クスクスと笑う要さんは本当にキレイで羨ましい。
日本人とフランス人のハーフの彼女はゲームの中の黒目・黒髪とはまったく違う、薄いグリーンの瞳に明るいナチュラルブロンドの髪をしており、ゲーム以上にお人形さんのような印象を受ける。
「ま、寝不足だけとも思えないけどね、柄にもなくVRを五時間ぶっ通しでやったのも影響あるでしょ?」
「そうですね、確かにここまで長い時間連続ログインしたことありませんでした」
こうやって話すことで、わたしの頭を覚してくれる要さんは凄いと思う。
「それだけ長くログインしてたなら楽しい話も聞けそうね、あれからどうなったのか興味津々よ」
「あんまり楽しい話は無いですよ」
実際にレベルは上がらず、ひたすら治療してただけだし。あ、でも
「そうそう、要さんに貰ったお野菜役に立ちましたよ、アレどこで買ったんですか?市場で買うより大きくてモノも良かったですよ」
現実で同じレベルの物を買おうものなら、お財布にかなりのダメージを与えそうな代物だったな。
「あれは魔物からのドロップよ、プラントオークをまとめて狩った時にゴロゴロって出たわ」
魔物からのドロップ……という事は
「適正レベルは」
「20以上よ、残念だけど阿里沙が戦えそうになるには数ヶ月先ね」
やっぱりかぁ……残念。
「アレならまだ狩る機会あるから、また手に入ったらあげるわ」
「ゴチになります!」
―――◇―――◇―――
学校に着くと要さんは生徒会室に、わたしは自分の教室へ。しばらくすると朝練が終わった那緒がやってきた。
「おはー」
「おはよ那緒。要さんがお昼食べたら、二人とも生徒会室に来るようにって」
「はいはーい」
那緒はそう返事をすると、自分の席にカバンを置く流れで横の席に座り「昨日はどうだった?」と聞いてきた。
「それも要さんの所で話すよ」
「え~」
ちょっとつまらなそうな顔をするけど、わたしが「同じ話したくないからね」と言うと渋々とだけど納得してくれた。
「そういえば那緒はレベルいくつなの?」
「31!」
おぅ……
なかなか彼女達と同じ領域へは行けそうもありません……
よろしければ引き続き生ぬるい目でお願いします。