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163話 アルブラ動乱24(主人公視点ではありません)


「……シリュウさん」

「なんだいモモ?」

 ん? さっきの展開から黙ったままだったモモが口を開いたけど……お願いだから変なこと言わないでよ。


「シリュウさんの言うこともわかりました。でも、一つだけ教えて下さい。

 シリュウさんが【自爆】を使わざるを得ない状況に追い込んだ相手は()()()ですか?」

「ん? ……ああ、まぁそうだけど。ただ、結果としてはリアにということよりも、あの場にい居たもの全てに対して【自爆】を使った方が良い結果を得られる、そう考えてのことだからね」


 リア……やっぱり例のハマル乗りの異邦人(プレイヤー)のことだ。

 アイツがシリュウに勝てたというか、シリュウが【自爆】スキルを使わざるを得ないような状態に追い込まれたというのが意外だとは思うけど……

 ま、シリュウの話だとかなり限られた状態というか、複合的な目的で【自爆】を使うべきと判断したみたいだから仕方が無かったみたいだし。


「……」

「モ、モモさん?」

 というか、なんだかモモの表情めっちゃ怖いし!? すっごく嫌な予感が……



「わかりました……姉さん、持ち場を変わりましょう」

「え? いやいやいや、退屈な作業もこの後の戦闘があるから耐えられたのに、そのご褒美みたいな美味しいところを」


「変 わ り ま し ょ う」

「あ、はい……」

 うわー、モモの迫力に押し切られてしまった。うーん、姉としての威厳ががが。

 ……ま、良いけどさ。それよりも



「シリュウが【自爆】スキル使ったんだから、アイツだって暫くはリタイアしているんじゃないの?」

 どう考えても一度は死んでるはず。

 そしたら通常の状態に戻るのに少しは時間もかかるから、そう簡単には出て来ないだろうし。あと、死んだことによる経験値ロストの補填に【通常狩り】に行っちゃう可能性もあるだろうしさ。


『はぁ、それほどまでにシリュウが【自爆】を使った仇を取りたいっていうことなんだろうけど』



「アイツは絶対に来るわ。私の()がそう言っているから」

 はは、我が妹ながら恐ろしい子です……



「シリュウさん、姉さん。私はその時に備えて自分のPAのメンテナンスに入るのでこれで失礼します」

「無理はするなよ」

「大丈夫です。それでは」


 ・

 ・

 ・


「本当に良かったのかい?」

「仕方ないわよ、ああなったモモなんて私にも止められないし」

 それにあそこまでやる気なモモの意思は汲んであげたいしね。


 あと、モモの勘は実のところ無視できない。PAWにおける【巫女】という職業からなのかはわからないけど、モモが自信をもって話す勘についての話題は当たる事が多い。

『……それは良くも悪くもだけどね』



「ま、アルブラが保有している戦力で最も危険と思われるPA乗りについては、さっきやった【自爆】で致命傷かそれに近いダメージを与えているから出てこれないはずだから」

「最も危険なPA使い? そんな奴いたっけ?」

 まさかリア(アイツ)のことじゃないわよね??


「ん? 前にミーティングで話してあったはずだが……(タイプ):シャウラの使い手、ロイズという名前に覚えは?」

「……ごめん、完全に忘れてる」

「おいおい、一般兵ならまだしも幹部クラスなら一度話しておいた件は覚えておいて欲しいな」

「うぅ、本当にごめん」

 我ながら全然覚えていないというのが情けない……



「まぁ、良いよ。(タイプ):シャウラの特性は攻撃を避け続けることで攻撃力が上がる特殊なバフを持っているのは?」

「うん、それは知っているけど」


「今回モモが残ることになった殿しんがり部隊の主な目的はアルブラから出てくるであろう公都への援軍の阻止、もしくはその到着を遅らせることだ。そうなった場合、最も恐れるのは相手にこちらを上回る戦力が存在することだ」

「それはわかるけど……(タイプ):シャウラ一機でそこまで変わるものなの?」

 そりゃ強いのはわかるけど、シャウラがいたからって……


「問題はシャウラが持つ特殊なバフだよ。

 普通の戦場であればどうとでもなる。だが、撤退戦における殿であれ、対アルブラ軍への援軍遅延行為の戦闘であれ、限られた状態における行動となれば、自ずとこちらの戦闘方法は限定される。それは相手にとって読みやすい状況を作ることとになり、結果『相手のバフ効果を上げやすくするような事になりかねない』と俺は考えている。


 例えば遠くからの威嚇射撃一つとっても、それを避けてバフの効果を上げるのなんかはベテランPA乗りなら造作なくやってしまうだろう。

 バフの効果を伴った一撃が盾で防御できるレベルで収まるのであれば問題ないが、上がりきったバフが付いたシャウラの攻撃ともなれば、その機体としての強さも相まって生半可な攻撃では収まりきらない。下手をすればそれを防ぐ手段が存在しなくなるレベルだ。

 そうなった場合、どれだけ頑丈な盾を持とうが一撃で粉砕されるし、耐久力の高い柵を造成して行軍を妨げようとしても簡単で破壊されかねないだろう。


 ま、簡単に例えるなら『冒険者がPAの攻撃を受けるレベルぐらいを想定すればいい』と言えばわかるだろ?」

「うっ……それは確かにキツイ」

 思わず自分で想像したけど、どう考えてもミンチな結果しか思いつかない。



「そういうわけで戦力として計りきれなくなる可能性が高いシャウラの使い手を戦力外に出来たのは大きいし、リアの件も含めて考えれば、それらの為に俺のレベルを一つ消費したとしても十二分にお釣りが出るさ」

「そういうことならまぁ……詳細を話したらモモも納得してくれるかも。

 それにさっきも言ったけど、私はモモの意思を優先させたいし、その気持ちを汲んであげたいからね」

 私が改めてそう言うとシリュウも軽く頷く。


「わかった、サクラがそう言うなら任せるしかないかな。じゃ、とりあえずこっちも次の準備に取り掛かろうか。時間に余裕は無いからな、少しでも早くここを発ちたい。

 せっかく裏から手を回してまで奴らにやらせておいた【PAの能力向上システム】が完成しなかったのは残念だけど、途中経過として受けた報告書と資料は手元にある。ここから開発を再開させればある程度近しいものはできると思う」

「そうね。こっちもシリュウに言われた通り、開発に携わった人達については既に確保済み。丁重かつ厳重に移動させているわ。

 あとはどこか研究ができるような場所を確保させすれば、システムの開発を継続してもらえれるはず。そうすればシリュウが望む結果は得られるんじゃないの?」

 どんな結果になるかは私も知らないけど、PAが強化されるのであれば、その効果には素直に期待したいし。



「ま、そんな訳で他にコレと言って問題も無ければ次のステージに進むことにするよ。他は大丈夫だよね?」


 問題……問題、何かあったような気がするけど……あ。



「……シリュウ、一つだけ予定外のことが起きてる」

「それは面倒なレベルかい?」

 そう答えてきたシリュウに対し、私は軽く頷く。


「『【死撒剛腕(テンペスト)】が職場放棄、ここから出ていったわ」

「はぁぁっ!?」

 うっわ、普段聞くことがないレベルの驚き方してるし。



「いや、それは想定外すぎるぞ! どうして止められなかった!」

「無茶言わないでよ! 私とモモ二人掛かりどころかココの予備選力全部使っても止められるかどうか。それに残存戦力一斉(そんなこと)したら、間違いなく騒ぎになってこの隠れ家がバレるわよ?」


「んん……すまん、確かにそうだな。だがこれは色々と修正する必要があるな……」

 シリュウはそう言うと数秒悩んでから手元にある紙に何やら書き記していく。 


「ふむ……とりあえずこの布陣で対応すれば何とかなるか。

 そういうことだったらサクラとモモの持ち場が変わったのは正解かもしれないな」

「そう? なら良かったけど」

 もう修正出来たんだ、さっすがシリュウだわ。



「……サクラ、俺と一緒に工作部隊として乗り込み、【死撒剛腕(テンペスト)】の代わりに派手に暴れてもらうぞ」

「んふ、そんな依頼だったらお安い御用よ。むしろ喜んでやらせてもらうわ」



 よしっ、とりあえず楽しめそうな予感がしてきた!



というわけで、今週からいつもの更新に戻ります。

またストックが貯まれば……連日アップとかしたいですね!


さて、先日誤字報告をたくさんたくさんいただきました。

本当に感謝です、ありがとうございます<(_ _)>


自分としては直したりチェックしたつもりなのが「全然ダメじゃん!」と

言われるような修正個所の山に、正直頭を垂れるしかない始末……


もう少し日本語上手く読み・書き・チェックが出来るように頑張りたいな~


というか頑張ります! ……たぶん、きっと。



ことのほか年末年始に見ていただた方が多かったことは素直に嬉しく、

これをパワーに少しでも書く速度が速くなるよう頑張りたいと思いますので

よろしければ引き続きお願い致します。


次回は1/14(祝)の予定です、よろしくお願いします!

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