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152話 アルブラ動乱13



「さて、この大きな建物の中を既に半分以上確認した訳だがワ○ソン君?」

 神殿内を探索して約一時間。グーデルさんを先頭にファナさんとリュウ、そしてわたしの四人が怪しい人やモノが無いか調べています。



「いや、俺ワト○ンじゃねーし」

「でも言いたいことはわかるよね?」

「んー……まぁ、半分ぐらい?」


 いや、半分じゃなくってさぁ……


「ここまで調べたけど全く怪しい人や資料どころか、そんな雰囲気すら皆無じゃないの!

 どーするのコレ? もうグーデルさんなんて勝ったも同然というか、『変な疑いかけやがって! この恨み晴らさずしておくべきか』みたいな顔してるじゃない!」

 自分に降りかかってこないとはいえ、あの顔を見ているだけでゾッとする。


 ……えーっと、わたしには何も来ないよね??



「いや、まぁ別に……俺は頼まれただけだし」

「それはそうだろうけどさぁ、これ絶対後で目の敵のようにグチグチ、ネチネチと言われ続けるよ? もう正直言ってそんなの想像するだけで胃の辺りがシクシクしてくるじゃないの!

 ……どうしてわたしがゲームの中でこんな思いをしなくちゃいけないのよ」

「んー……まぁ、リアの性分としか?」

「あははは」


 そう、よーくわかったわ。


「よしっ! リュウを殴ってこのストレスは解消しても問題はないわよね? ね?」

「ちょっ、俺に当るな! だから本職に殴られたら怪我じゃ済まないんだって!?

 俺なんてココに入る前に武器とか預けてあるから、今のリアに太刀打ち出来ないって、ちょっと待てって!」



 そうなんだよねぇ……

 とりあえず神殿内部の探索ということもあり、武器などは神殿の職員さん達に全部取り上げられています。もし、これで神殿内にダラスさんを襲った犯人がいようものなら、かなりの確率で太刀打ちできなくなるような気がしたから、リュウはグーデルさんに抗議したけどサクっと却下。


 流石にリュウも『何があるかわからないところで武器の携帯が出来ないのはキツイ』と文句を言っていたけど、グーデルさんの『神殿内で刃傷沙汰なんて起こるはずがないし、絶対に起こさせない』という一点張りに最後は折れた感じになってた。

 よって、


「大丈夫大丈夫、わたしのワンパンなんてたかが知れてるし? ね?」

「防具も無しで戦闘神官(モンク)のワンパンなんざ喰らったら最悪強制戻り(デッドマーク)じゃねーか!?」

 ……ちっ。


 ・

 ・

 ・


『はぁ、それにしてもこの神殿大きすぎでしょ』


 メテオス神殿。わたしが暮らしていたシーレフのディメール神殿に比べて軽く三倍以上は大きな建築物であり、領主の建物よりも高さのある神殿がメインとなっているものの、それ以外にも神殿に繋がっている建物の中には地上五階・地下二階という、わたしの中における神殿という固定概念から外れているような建物も存在していたり。

 しかも、建物内の装飾なども全然豪華な感じで、それらは煌びやかというよりかは年代を感じながらも、しっかりとした重厚感があるというか……

 とにかく下手に触れるのも怖いと思ってしまうものばかりで、わたしとしては何があってもノーチェック・ノータッチを貫いていたり。


「なんだかさっきから動きがヘンじゃね?」

「いやぁ、だってディメール神殿(わたしがいた所)と比べて色々と違うし」

 下手なことできないっていうか……ねぇ。


「当たり前だ。王都に近いとはいえ、あくまで片田舎にある神殿なぞと比べられてはこちらが心外だ。神殿も質素であれば、そこにいたものも質素。

 別に豪華であれとは言わないが、祭る神に対してそれ相応の神殿を持つべきことは崇める神に対しての礼儀。それができない神殿や神官は結局のところ、そこの神も含め色々と知れているということだ」


 ……はあ?


「えーっと、それはディメール神殿……ひいては『ディメール様のことを侮蔑している』と捕らえられても仕方がないような言い方に聞こえましたが?」

「ふんっ、誰もそんなことは言っておらんだろうが。貴様の被害妄想でそう思ったとしても私は与り知らぬ」


「」

 わたしのことを何と言おうが構わないけど、ディメール神殿にいた皆のことや、ディメール様のことを変なふうに捕らえられても仕方ないような言動は流石にムカっと来るわけで。



『リア、押さえろ』

『押さえてますよ~、大丈夫ですよ~ファナさん』

 やだなぁ、ファナさんったら。


『か、顔が。あと何か禍々しいようなオーラが俺にも見えるぞ』

『ん~? そもそもわたしがここに連れて来られなければ、こんな不快な気持ちになることもなかったわけだし……ねぇ、リュウ?』

『わかった、わかったからとにかく落ち着け』


 んー、つい言われたことが色々と引っ掛かっていたものだから、押さえつけていたつもりのモノが色々と出ちゃっいるのかしらん?



「と、とにかくだ、ここまで調べて何もなかったのだからこの先にも何もないのは明白。

 もちろん、全てを調べたいという話に対してこちらとしては拒否しない。だが、その分お前らを含め【革新派】の奴らにはあとで十二分に知らしめてもらうからな」


「どーぞどーぞ。というか、確かに大半を調べてあとは建物の地下ぐらいだけどとはいえ案外そこが……いや、まぁいいか。なぁ、リア?」

「えっ、どうしてそこでわたしに同意を求めるワケ!?」

 リュウの同意を求める言い方だとわたしも何かあるみたいじゃないの!



 っていうか、


『……さっきのグーデルさんの言い方だとわたしまでカウントされていたような?』

 飛び火というか、延焼と言うか、貰い事故というか……本当に勘弁して欲しいものです。じゃないと、こっちまでイライラっとした思いが出て来ちゃうんですけどね!




次回も予定通り11/5(月)にアップできそうです。

よろしくお願いいたします。


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