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15話 お婆とレア素材

いつも読んで頂いてありがとうございます!


また評価とブックマークも大変感謝です(*´ ˘ `*)




ああ、ディアボロステーキ……たべたい。

※1/16 文頭部おかしいところを修正しました


 

「で、料理の味付けでも盗みに来たのかい?」

 ニヤニヤと笑うお婆さんの一言。

 盗みに来たわけではないが、知りたいと思ったことは事実な訳で。

 

「いえ、実は……」

 

  ・

  ・

  ・

 

 わたしはお婆さんにこの店へ来た理由を素直に話した。これだけの料理を出せる人に嘘はつけません。

 

「なるほどねぇ、ウチのことはハバスから聞いたのかい。目の付け所は悪かないがね」

「では!」

 

「がっつくんじゃないよ」

 なかなか手厳しいです。

 

 

「ついて来な」

 そう言うとお婆さんは部屋の奥へ。

 慌ててついて行くと、そこはさっきまでとは別のお店じゃないかと思ってしまうほど、大きくて明るい台所だった。

 

 調理器具も様々なものがあり、中には現実(リアル)でも見たことが無いような変わった器具まである。

 

「お前さんが言うニンニクとトウガラシとはこれに似たものじゃないかい?」

 

 そう言ってお婆さんが出したのはスイカぐらい大きく真っ白なニンニクと、バナナみたいに房状になった真っ赤な唐辛子。

 

「……たぶん、そうだと思います」

 ちょっと外見は違うけど、なんとなくアレで合ってる気がする。

 

「この白いのがサイクロンボアからドロップする【クレイジーニンニク】、こっちの赤いのがレッドコカトリスからドロップする【ゴーストトウガラシ】。

 まぁ、どっちもレア素材だよ」

 

 クレイジーにゴースト……それにレア素材って!?

 

 

「さて、この二つの群生地はまだわかっていない。わからない以上、得る為には各々の魔物と戦って入手する必要がある。

 ちなみに推奨レベルは40になっとるが……お前さんにそやつらを倒せるかね?」

 

 レベル1の魔物すら互角と言われているのにレベル40魔物なんて瞬殺ですよ、わたしが。

 

「まぁ、そんな訳だから諦めるんだね」

 確かに今のわたしには魔物を倒して入手することは

 無理だけど……だったら

 

「分けていただくことは」

「一つ10Gなら考えるよ」

 

 足下見られた!?

 いや、それぐらいが流通価格かな、魔物のレベル高いし。それに『考える』であって『売る』じゃないから、その価格で売ってもらえるかも定かではない。

 

 

「じゃあお前さん、このお婆とひとつ賭けをしないかい?」

 わたしが思案することが予測済みだったのか、向こうから提案が。

 

「なに話は簡単だよ、このお婆に【美味い】と言わしめる料理を一品作ってごらんよ。ただし、チャンスは一回限りだよ『下手な弓矢も数打ちゃ当たる』なんてくだらないからねぇ」

 

 たった一回の機会で、このお婆さんを納得させられるだけの料理を作る……可能かもしれない、だけど

 

「なに、今すぐここで作れとは言わないよ、あんたがやりたい時で構わないさ」

「……わかりました、少しだけ時間を下さい。必ず挑戦させて頂きます!」

 

 

 もっと時間が欲しい。この世界の味も素材もまだまったくわかっていない。そんな状態でこの人(お婆さん)にわたしの料理を出せないし、出して納得させられるなんて思いもしない。

 

「わたしの名前はコーデリアと言います、お婆さんのお名前を教えて頂けませんか」

「べリアだよ、異邦人のお嬢ちゃん」

 

 うーん、異邦人って見た目ですぐわかっちゃうのかなぁ、まぁ別にいいけどさ。

 

「また来ます!」

 わたしはお婆さんと挑戦の約束をしてからお店を後にした。

 

 

―――◇―――◇―――

 

 

「悪くない目をしていたねぇ」

 

 この店に異邦人が来るなんて二人目だったから、ついつい本気を出して作っちまったよ。

 

 キレイに完食された皿を見て思わず笑みが零れる。

 しかも自分と同じ料理人で、それなりに腕もたちそうだ。

 

「あれで辛いだけ言う雑魚なら即叩き出したんだがね」

 

 自慢の一品、双頭孔雀の地獄焼き(ディアボロ)を初めて食べて、即完敗と言えるだけの味がわかる異邦人。

 レベル1で神官服を着ている、謎の娘がこのお婆にどんな料理を出すのか……

 

「ふふ、楽しみじゃないか」

 

 

―――◇―――◇―――

 

 

「遅くなりました!」

 べリアさんの所を出てから冒険者関連の様々な道具が置いてあるお店に行き、雑貨と普段着、替えの下着などを買ってから神殿へ戻ったけど、ついついどんな料理でベリアさんに挑むかを考えてたら、買い物もスローペースに。

 

 食材はダレスさんに借りた特別製の鞄のお蔭で買ったままの状態を保っている。

 魔力を流すことで鞄の中の時間が止まる仕様らしく、お使いには持ってこいな鞄だった。

 

「時間はあるから焦らなくていいわよ〜」

 マチュアさんが紅茶片手にこちらを見て声をかけてくれた。机に広げているのは新聞かな?

 

「あら、気になる?」

「はい。昔の新聞でもいいので夜にでも貸して頂けますか?」

「全然いいわよ、あとで借りに来て」

 

 

 そんな会話をしてから調理場へ行き、買った食材からすぐに使わない物を保存庫にしまう。

 ついでに誰も来ないことを確認してから神官服から作業服ツナギへ。さすがに神官服で料理するわけにはいかないしね。

「今度お買い物行く時にはエプロンも買っておこう」

 

 さて、

 

『夕食はお肉料理のリクエストが多かったし』

 買ってきた豚肉をちょっと厚めにスライスし、軽く叩いてから香草を肉の間に挟んで保存庫へ。

 ジャガイモは皮を剥き、水を入れた鍋の中に入れ火をかけてっと。

 

 トマトはヘタだけ取ってザクザクっと。

 

 タマネギはみじん切りにして、オリーブオイルを引いたフライパンへ投入!

 ちょっとしなってきた所へザクザクトマトを流し込んでマッシャー代わりの厚手のお玉で、ゴリゴリ潰しながらいい感じに煮立ったところで火を止め、香草を入れて熱冷まし放置。

 

 ジャガイモは火が通ったのを確認してからザルに入れ、ボウルへ移す。

 さっきのお玉でこっちも潰して塩・コショウと牛乳を入れ、ガッツリ混ぜてからこれまた放置!

 時計を見ると……

 

「ヤバッ、もうすぐ五時!」

 

 手を洗い、お湯で濡らしたタオルで体を拭いてから、再び神官服に着替え治療室へ。

 五分前行動に慣れていたはずなのに、つい料理に熱が入ってしまった……反省です。

 


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