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146話 アルブラ動乱10


「ありえない!」


 わたしが説明し終わるとグーデルさんが即座に否定する。


「そうね~普通だったら信じられないというのが、この場にいるほとんどの人達は思うのだけど……せめてその写真がもう少しハッキリとしたモノだったらね~」

 ティグさんも否定的なんだ……う~ん。


「私はリアが嘘を言っているとは思いません。

 リアがこの件について嘘を言って得することはありませんし、そもそも単機で数多くのPAPを葬っていた彼女に巧妙な偽写真を作る暇があったとも考えられません……ちょっとボケた写真にはなっていますが」

 そんな中、一人ファナさんだけがフォローをしてくれる。

 ……フォローだよね?



「ま、まぁ、ピンボケした写真とはいえ確かに黒いPAであることに間違いは無いから、少なくとも帝国に与するPAだということは間違いないと思うけど、どうしてそこまで『あり得ない』と断言されたので?」

 すかさずリュウもフォローしてくれている……そうだよね!?


『もう少しキチンと撮らないと、せめて紋章とまでは言わないけど、機体がハッキリすりレベルで撮ってほしかったかな』

『しょ、しょうがないじゃないの! PA操作しながら写真スクショなんて簡単に出来る方がおかしいって』

『……自動撮影オートモードで撮れるんだが?』

『そ、そんなの知らないもん!』


 ……くっ、フォローというよりもツッコミだったか!



「アルブラを含む主要な街には、防衛の一つとして対帝国用の防衛システムが存在するの~」


「その防衛システムが作動している限り、帝国のPAがこの街に入ろうとすればシステムが反応し、対象のPAに対して機能を阻害する強力な弱体化デバフがかかる仕組みになっている。これが作動した場合、そのPAはまともに動けなくなるレベルだ。

 また、帝国が街の中でPAを呼び出したとしても即座にシステムが反応することで、街中に警報が鳴り、対象のPAに対して同様の弱体化バフがかかるようになっている」


 そんな仕組みがあったんだ……


「だが、PAPが街中で暴れていた際に貴様が言ったようなことは、警報が鳴っていない事からも明らかだ! 故に貴様が言ったことはあり得ないと言ったのだ」


「ですが」

 確かにわたしはあの黒いPAと戦った……それは絶対嘘ではない。

 だけど、それだけ強力な防衛システムがあることを知っている人達から見れば、バカな話だと思われても仕方が……



「ふーん。で、そのシステムって正常に動いているのかなぁ?」

 場の雰囲気が否定的に固まりつつある中、リュウがポロっと口にする。


「……どういう意味かな?」

 リュウの一言に対し、グーデルさんの雰囲気が一瞬にして変わる。


「いや~そのまんまだよ、何にだって完璧なんてものは無いでしょ?」

「その仕組みが我々神殿に関連したものだと知って言っているのだろうな」

「あ、そーなんだ。でも、ここの神殿は色々とワケありっぽいし?」

「貴様っ!」

「ちょ、ちょっとリュウ!?」


 フォローというか、わたしが帝国のPAと戦ったことを無いと決めつけるグーデルさん達に色々な可能性として話をしてくれるのは嬉しいけど、グーデルさんの怒りゲージが顔色を見るだけでも危ない領域(レッドゲージ)に入っているのは明らかで、すごく危険な香りが……



「とりあえずさ、例の事件の事もあるから怒るよりも先に色々と調べた方が良いんじゃないの?

 変な集団に侵入されたことも予想外であれば、PAPが暴走したのも予想外。そんな予想から外れた事件が多発している状態で、全てが正しく動いていると決めつけるのは良くないと思うよ?

 せめてシステムが正常に稼働しているかを確かめてみた方が良いんじゃないの? で、そのついでにダラスさんを襲った奴について手掛かりがあるかないかも一緒に見てみようよ。ね、ティグさん?」

「うーん、そうですねぇ……稼働していてもその機能が正常になっていない可能性があるかもしれないってことですよね~

 まぁ、ダラスさんを襲った犯人については既にいない可能性もあるので無駄足に終わるかもしれませんけどね~念の為に見てみる価値はあるのかもしれませんね〜」

「ティ、ティグ様まで」


「まぁまぁ~

 でも、それらをクリアすれば神殿に問題が無いということになりますし、そうなるとアルブラとしては正常な状態になると思われますし~

 ここは一つ、グーデル神官長に折れてもらっても~?」

「……」


 さすがにそこまでティグさんに言われると、グーデルさんとしても反論が難しいのか押し黙ってしまう。

 というか、リュウの話で一気に流れが変わったというか……



「ポーゼフ代行も『神殿で何も無ければ派閥に関係なく協力して事に当たる』、そういう事で良いかしら~?」

「はい、我々としても問題ありません。何も無ければ改めてグーデル神官長を始め皆に謝罪し、協力することを誓います」



『ん?』

 そんな話をしている中、グーデルさんに神官服の男性が近づき、その耳元で何かを話しているのが目に入る。グーデルさんも彼に何かメモみたいなものを渡しているけど……なんだろ?


「……ふぅ、わかりました。ティグ様にまで言われたら仕方ありません」

「では~」

「とりあえず数名であれば、と制限はつけさせていただきますが」

 おぉ、あのグーデル神官長が折れた。折れたけど、さっきの行動が気になるかも……


「では、数名を選抜しましょうか~」




『とりあえずリアが写した黒いPAについては保留ってことみたいだな。想像通り否定はされたが別の問題があるかもしれないということになった分だけ良かった』

『そうですね……まぁ、あり得ないと言われたのはちょっとムカっとしたけど、そんな事情(防衛システム)を知っている人から見たら、わたしの写真について疑問を浮かべても仕方ないと思うし……』

 ファナさんは『ま、そういうこともあるさ』と言ってわたしの肩をポンポンと叩く。


『そうだ。ちょっと気になったことがあるので聞いても?』

『ん? 何か他にもあったかな?』


 部屋の中央では神殿へ行く話をしているのことから、関係の無いわたしとしてはファナさんに聞きたいことがあった為、部屋の隅へ連れて行く。



『正体不明の集団がアルブラの兵や冒険者達が苦戦しているような話をしていましたが、そんな強い人達というか軍団って、あちこちに……それこそアルブラに侵入出来るような地理的に近い場所にいたりするものなんです?』


 最前線の一つであるアルブラの兵が一対一で戦って簡単に負けるような相手がそうそういるなんて思えないけど、現実問題として起こっているのであればこの世界における認識を改めた方が良いと思う。


『正直なところ、最初に話を聞いたタイミングでは黒いPAの件もあって帝国の兵が侵略したと考えていたのですが、どうやらそれも違うようですし……

 そうなると屈強なはずのアルブラ兵を倒せる、更に強いであろうこの世界の住民がいるのかな、と思って』


 この世界の住人とわたし達異邦人とでは、同じレベルであったとしても力の差が大きいのは聞いているし、身を持って味わってもいる。

 そんな人たち(アルブラ兵)を凌駕する強力な集団なんていれば有名な話だと思うのだけど、わたしがこの世界で過ごしてきた間では聞いてことが無い。



 ……もっとも、この世界でわたしが過ごした時間なんてまだまだ少ないから、ただ単純に知らないだけという話なのかもしれないけど。




少し体調不良でして、いつにも増して誤字脱字が多いかもしれません。

その際には是非ツッコミをお願いします。



なお、次回は9月10日(月)の更新予定です。

……風邪早く治さないと(´・ω・`)


























































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