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14話 市場とお婆

料理について書き始めるとおなかが空きます_(:3」∠)_



ブックマーク、評価ありがとうございます!

すっごく元気貰えます(`・ω・´)

※1/16 文頭部おかしいところを修正しました

※1/21 誤字・脱字修正しました


 

「トーレさんから聞いた場所だと確か……」

 神殿から出て真っ直ぐ行って、三つ目の角を曲がった所だって言ってたけど……あった。

 

『なるほど、露店とかの集合体ね』

 市場と聞いてスーパーマーケットを思い浮かべてたけど、さすがにそれはないか。

 

「あ、神官のお姉ちゃん!」

 呼ばれた方を見ると、さっき神殿に来ていた女の子とお母さんがわたしを見て会釈していた。

 でも、わたしは神官じゃないよ……まぁ、本来は見習いですらないけどね。

 

「お姉ちゃんお使い?」

「うん、そうだよ。ここは何のお店かな?」

「うちはねー、いろいろ屋さん!」

 

 乾物に木の実に山菜、これは……香草かな。まぁ確かに色々売ってるお店ね。

 

「西の森で採れたものを中心に売ってまして、今朝あんなことに。いつもはそこまで魔物が来ることはなかったんですけどね」

 お母さんも困った表情で説明してくれた。

 

 とりあえずお母さんと色々話しながら、料理に使えそうな木の実と山菜・香草を買い、ついでにわたしが欲しい物を売ってるお店や、おすすめのお店を紹介してもらった。

 

 

「ここがお肉屋さんね」

 ショーケースなんてあるわけもなく、種類や部位が書かれた保管箱が複数あるタイプ。

 

 欲しい種類や部位を言うスタイルなので自分の目利きでは判断出来ないけど、店員さんが「神殿には世話になってるからイイトコ入れとくよ!」とサービスしてくれました。

 

 てっきり塩漬けと燻製した肉しかないかと思っていたけど、生肉も売っていて驚いたし嬉しかった。生からじゃないと調理できない料理が多いから、ここは素直に魔法(というか魔力を使った保存箱?)に感謝しておきます。

 

 ただ、お肉は基本的に野生もしくは家畜として育てている牛や猪・鶏で、気になっていた魔物の肉は並んでいなかった。

 

「魔物のお肉はなかなか出回らないのですか?」

「そんなことは無いんだが、ここ最近狩られたレッドボアやマッドターキーの肉に毒が含まれている事が多くてね、良品は市場に流通してないのさ」

 

「そうですか……」

 う~ん、魔物肉は次回以降のお楽しみにしようかな。

 

 ちなみに魚は別のお店にあったけど、基本的に川魚か海で捕れてから加工された干物がメイン。

 そう言えば地図で見たら王国は海に面していなかったわ……イカやマグロのお刺身食べたかったけど、それはまた今後のお楽しみにしておこう!

 

 

 雑貨屋で料理用に使いたいカップやボウルもついでに購入し、その後別のお店で調味料をいくつか仕入れてから今回一番目当てお店へ。

 

 

「失礼します……」

 そこは今までの露店とは違い、一戸建てのお店。

 聞いた話だと百年は続く名家らしいけど、何故か建物の中が暗い。

 

「おや、いらっしゃいカワイイお嬢ちゃん」

 店の奥から声が聞こえ、暫くすると絵本に出てきそうなローブを纏った老婆が。

 

「こ、ここで珍しい味付けの食べ物が出てくると聞いたのですが」

 なんだか暗い部屋とお婆さんとの相乗効果で妙な雰囲気ができてて、変に緊張するっ!

 

「ああ、あるよ」

 お婆さんが指差す先にはメニューみたいなものがあるけど……

 

 

 ・店主の気まぐれ焼き  時価

 

 

『一種類かい!』

 つい心の声で突っ込んでしまった。

 

「一種類だけどその時によって変わるからねぇ、甘く見ちゃいけないよ」

 

 もうここ(PAW)に来てから心の声駄々漏れじゃん……

 

 まぁ、それはさておき時価って。

 ……しょうがない、女は度胸!

 

 

「では、それを一つお願いします」

「じゃあそこで待ってな」

 

 怪しそうなこのお店、ハバスさんから聞いた『隠された迷店』で、お客を選ぶ店主が有名との事。

 ただし、かなり店主が偏屈で、少しでも機嫌損なうと客がいても平気で店を閉めるらしい。

 

 元々店の雰囲気もちょっと変わってるし、対応もイマイチな事から来る人は(まば)らだけど、常連がついているから潰れることも無いという話。

 そんな店にわたしが来た理由、それは『このお店ならではの他にない味』を出していることだった。

 

 神殿でコンソメっぽい調味料を見つけたので、この世界にもある程度現実世界と同じような調味料があると思ってお店を覗いたら、驚くことに塩・コショウ・お酢とコンソメぐらいしか売っていなかった。

 もちろん香草とか使うことで工夫はできるけど、やっぱりもうちょっと何とかしたい。

 

『このお店ならではの他にない味』

 その味はもしかしたら現実世界には存在するけど、一般には流通していない調味料かもしれないし、この世界独特の調味料かもしれない。

 そんな可能性があるのなら、実際に食べてみることで何かわかるかも?

 

 

「!」

 

 そんな事を考えていると、部屋の奥から強烈な匂いが。もちろんそれはイヤな匂いではなく、胃袋を強烈に刺激する匂い!

 ……これって

 

 

「ほれ」

 目の前に置かれた大皿には真っ赤に染まった肉の塊が。表面に降りかかった唐辛子と香辛料を混ぜたソースが、しっかりと肉のエキスに滲みこんだタマネギのみじん切りと共に、溢れる肉汁と一つになって溶岩のように皿へ流れる!

 

 皿の縁には潰したジャガイモが溶岩(肉汁)を塞き止める防波堤になり、自身が唐辛子の朱に染まっていく様は感嘆すら覚える。

 

 

「凄い、まるで火山みたい……」

「冷めないウチに食べな」

 

「す、すいません」

 つい料研副部長の癖で解説をしてしまった。

 

 ナイフで肉を切り、まずは一口。

 

 

 パクッ

 

 

 ……辛い!けど

 

おいひい(おいしい)!」

 

 パリっとした皮と肉の中から溢れる肉汁に、負けじと主張する唐辛子の辛み、肉の旨み、野菜の甘み。

 辛みが口の中を引く前に次々と食べ、気がつけば付け合わせの野菜共々完食していた。

 

 

「ごちそうさまでした……完敗です」

「あたしゃ勝負なんざしとらんが」

 

 お婆さん、そう言うわりにはニンマリとした笑みを浮かべてますよね!?

 


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