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136話 幕開け


今回はいつもより一時間早くアップです。

あと、このあと設定みたいなものをアップしてみますので、よろしければそちらもお願いいたします。

※ツッコミどころ満載でゴメンナサイ

※18/07/09 後書き追加しました。


「爺さんにはコチラの味方について欲しかったんだが……さっきの話じゃ望み薄みたいだなぁ。

 だったら、せめて参加せずに傍観者としていて欲しいところだが、どうだろうか?」

「勝手にすればええ。ただ、こちらに対して事を起こすようなら……その限りでは無いぞ」

 トム店長の睨みにも臆することなく、ダラスさんは不適な笑みを浮かべたまま席を立つ。


「善処しよう。あとお嬢さん、お茶とお菓子ありがとう。願わくばまた会えることを願うよ。できればこれからも変わらぬ立場で……いや、近しい方が嬉しいかな」

「……わたしはトム店長の側ですから」

「はははっ、爺さんもモテるじゃねぇか」


 ちょっとした会話をするダラスさんに対し、黒ローブは何も言わずに席を立つ。ただ、横を通り過ぎる際にコチラへ顔を近づけてくると、わたしにしか聞こえないような小声で



『【独走する世界】に【全てを超えろ】か、良い言葉じゃないか』

『えっ!?』


 今のは……なんで! どうしてこの人がそれを知っているの!?


「あの、どうしてそれを」

「ふふ、秘密だよコーデリア。いや、リアと呼んだほうが良いのかな?」


『!』

 わたしはこの人に名乗っていないし、さっきの様子だとトム店長も話していないと考えるのが無難だと思う。

 それに、


『さっきこの人が言ったのは間違いなく【クロススキル】の名前。知っているのはマチュアさんやハル、ロキシーにルナさんとニーナぐらいなはず。

 それにわたしの名前だって……どうして? なんであの人は?』



「待っ」

「やめとけ」


 店の外へと出た黒ローブに話を聞こうと扉へ向かった瞬間、トム店長がわたしを止める。


「どうして」

 『どうして邪魔を』と言おうとしたけど、今まで見たことが無いほど厳しい顔をするトム店長を見た瞬間に言葉が詰まって出て来ない。


「何でもねぇ、とは言わん。だが、今のオメーじゃ行った所でどうしようもねぇ。わかるな?」

「……はい」

 トム店長の否定をさせない口調に対し、わたしはただ肯定の返事をするしかなかった。



―――◇―――◇―――



「どうしましたか、それほど楽しそうな顔をするとは」


 爺さんの店を出ると、用意しておいた馬車型のPAPへ二人で乗り込み帰路へとつく。

 勿論、このPAPはレイジー商会(ウチ)で作成した自動走行型のPAPであり『目的地を入力すれば、状態を把握しながら勝手に進むスグレモノ』とまわりからは呼ばれている。


 そんな馬車型PAPへ入るなりフードを外した中から出てきたその顔は、何やら非常に楽しそうな顔。



「ふふっ、あの店自体かなり楽しかったぞ。帝国が昔使っていたPAの火器類や操作系の補助パーツ等、博物館でも開けそうな物から最先端の兵器まで、帝国(ウチ)では見かけないようなラインナップだったからな」


 そう言いながら話す顔は年相応なもの。だが、その奥にあるものは老獪で、見かけで判断してしまえば痛いしっぺ返しを喰らうことを俺は知っている。


「お前こそ良いのか? あの爺さんは数少ないアルブラでの理解者なのだろう?」

「ええ。ですが、とりあえずこちらが何もしなければ傍観すると言質を取りましたからな」


 爺さんの性格上、一度言ったことは死んでも破らないのは長い付き合いで知っている。今はそれで十分だ。

 それよりも、


「報告にあったとはいえ、爺さんの所に異邦人が居たのに驚きました」

「珍しいのか?」

「珍しいも何も俺が知る限りではアルブラの住人も含め、あそこで誰かが働いていたのを聞いたことがありませんな」

 先代の時代にもいたという話は聞いたことが無い。


「なるほどな……とりあえずあの爺さんも特殊な者だという事までわかったという事で今は良しとしようじゃないか。

 ま、オレとしては想定外の出会いがあったことが重要になりそうだしな」


 ほぅ、想定外ということは爺さんではなく、あの娘となるが……そこまで気にするとは。



「何かありましたかな? 余程重要や情報でも見えたとか」

「ああ、名前からスキルまで全てを視させてもらったが、なかなかに楽しくも面白い情報ばかりだったよ。よくもまぁ、あれだけ色んなものが詰まった異邦人がいたものだ。

 ま、それを含めて是非手に入れたい……いや、この先のことを考えると手に入れておくべき異邦人だと思うがな」


「手に入れておくべきとは……尋常ではありませんな」

 この人がそこまで言うという事は、余程の者ということなのだが……


「既に多くの美女を侍らしておいて、また新しい女性に手を出そうとするとは……まったく、女性の敵ですな」

 まぁ、その地位とルックスだけでも異性を惹きつけるのはには十分なのに、生まれ持った能力(スキル)が更にそれを補っているだなんて、世の男達がそれを知れば嫉妬で溢れかえるでしょうねぇ。



「おいおい、オレから迫ったことは一度も無いぞ? 皆、進んでオレのもとに集まってきたんだからな」

「はいはい、そういう事にしておきましょう」

 そんな返答に憮然とした顔を見せるが、すぐに表情が真面目なモノへと変わる。


『ふむ……』


「予定を変えますか?」

「いや、それには及ばんよ」

「ですが」

「なに、如何に手に入れておくべき異邦人とはいえ、これから起きることで生き残れぬのであればそれまで。オレの目が大したものではなく、アレにも資格が無かったということよ」


『まったく、厳しい人だ』

 手に入れたいと言いつつも、自分か決めたことはテコでも変えないからな。まぁ、一応コチラで少し動いておくか。 



 パァン、パァン……



 そんなことを考えていると、窓の外で花火が一つ二つと上がるのが見える。

 花火自体、祭事やら何やらで上がることは珍しく無いが、いま上がった花火の色と数には、見る者が見れば特殊な意味が込められているのがわかる。


『全部で五つ、うち赤が三、青が一、黄が一……ということは』


「向こうも準備が完了したようだな。ふふっ、ならば始めようか、この停滞した時代の堰に穴を穿つ革命を」

「御意。我々にとって最上の結果となるよう最善を尽くします、殿下。

 ……あと、派手にするのは構いませんが、お手柔にお願いしますよ?」




「ああ、なるべく善処するよ。

 さぁ、そろそろ幕を上げようじゃないか……【嵐の時代】となるか【闇の時代】となるか。

 オレが上がる舞台に皆を招待しようじゃないか!」






いつも読んで頂きありがとう御座います!


今週も無事に月曜アップが出来ました。一応、予告通り設定……のようなものですが、少しは形になっていたかと心配してたり。


本当は章の切れ目などで書くべきものだとは思うのですが、如何せんそこまでの余裕がなかったり……すみません(´・ω・`)


書きたい設定や、登場人物とかをもっと書きたい気持ちもあるのですが、その分話を書く方に回しているので、次同様の物を書くとしたらストックがそれなりに貯まった時かな〜と。



さて、話は一応ここから変わっていきます、多分。何とか読みづらくないような形で書いていきたいと思いますので、よろしければ引き続き読んで頂けると幸いです。


では、次回木曜アップ目指して中身のチェックなどしてきます〜(`・ω・´)


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