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133話 驚きの連続


※18/06/28 後書き追加しました。


「ま、その辺りは私も気を使った部分ではあるからな。

 もし、一緒に役所(ココ)に来ていた場合には、アルブラに入ってからの面倒ごとが増えていた可能性も否めなかったというのが正直なところだよ」

 色々と気を使ってもらってすみません……だけど、


「ファナさんはここにお勤めしているということは【融和派】ですよね。ある意味どちらにも与していないという事だと思うのですがそれでも問題になりそうなんですか?」


 ファナさんが【拒絶派】であったなら、対極とも言える【革新派】の人達とわたしが会った際に冷遇される事、それこそ【革新派】に属するであろう工房や、場合によっては関連する宿屋とかも使えない状況になりえたかもしれない。

 でもファナさんは【融和派】であろうから、そこまで【革新派】や【拒絶派】に睨まれる事は無いと思うのだけど……



「ファナちゃんが普通の人だったら良かったんだけど~」

「ファナちゃん?」


 はいっ? なんだか凄い呼び方されませんでした??

 思わず声がした方を見ると、わたしよりも小柄でパッと見で同じぐらいの歳に見える女性がソファーに座っていた。


『……えーっと、いつからそこに?』

 間違いなくファナさんが入って来た時にはいなかったはず。まさか最初からいたなんて事はないですよね? もし最初からいたとしたら、気配を消せるとかいうレベルですら無いですよ!?


「お母様!?」

「あら~公式な場でお母様なんて呼び方をするだなんて~、この方はファナちゃんにとってかなり信頼できる方なのですね~」



「お、お母様!?」

 ちょ、ちょっと待って!? とりあえず、この人がいつからそこにいたのかもわからずビックリしていたのに、さらに驚くことがあって頭の中がフリーズしそうなんですが!



「どうも~ゲーニスではファナちゃんがお世話になったようで~」

「い、いえ、コチラこそファナさんにかなり助けられましたので」


 やや落ち着いたオレンジ系の髪は背中まで届き、ややタレ目がちながらもパッチリと開いた目に輝く瞳はダークブラウン。肌はファナさん同様にシミ一つなく、母娘どころか姉妹と言っても通じそうなぐらい。



『改めて見ても、やっぱりファナさんより年上には見えないわよね……』

 ソファーから立ってペコリと頭を下げるその様は先程よりもさらに若く見えてくるけど、


『ファナさんの年齢から考えると少なくとも三十代前半から後半になるはずなんだけど、どう見ても十代前半にしか見えないのですが!?』


「あらっ、そんなに若く見てもらえるなんて~嬉しいわ~」

 ニヘらっと笑って言うその様は……いや、もういいや。頭を切り替えよう!


「改めて紹介させてもらおう。私の母であり、現アルブラの領主である【ティグナルア・リファルテッド】様である」

「どうも~ティグって呼んで下さいね〜」



 ……すみません、もう思考が


 ・

 ・

 ・


「はっ! 一瞬気を失っていたような!?」

「だいぶ疲れているようだな」

「いえ、たぶんフリーズ……、いやショートしただけかと」


 肉体的なダメージは慣れることが出来てきたのかもしれないけど、思考が麻痺するようなショックには受けたインパクトに対する処理能力が足りないようです。それにしても、


「ファナ様がアルブラを統治しているリファルテッド侯のご令嬢とは知らず、大変な失礼を……」

「いやいや、そういうのはやめてくれないか?

 私としても折角親しい距離で話せる友人が出来たと思っていたのに。今までと同じように呼んでくれないか?」


「う、うーん……ファナさんがその方が良いという話であれば、今までと同じように呼ばせていただきます。あとで不敬罪とか言わないで下さいね」

 そう答えると、さっきまで曇りがちだったファナさんの表情がいつもと同じ明るさを取り戻す。


「うんうん、やっぱりお友達は良いものですよね〜」

『……こっちはまだ慣れるのに時間が掛かりそう』

 ニコニコと笑いながらそう言うティグさんの天真爛漫な表情は、幻覚の一種と感じてしまうほどに危険ですから!



「あの、大変失礼な事をお聞きしますが、ティグさんはいつからこの部屋に? もしかして最初から……」

「はい〜最初からここに座っていましたよ〜」

 うーん、やっぱりそうでしたか。


「すみません、正直な所全く気がつきませんでした。もしかして何か特別な……幻術のような力をお持ちなんでしょうか?」

「うふふ〜ヒ・ミ・ツです」


 うん、まぁ領主をやられているような方の特殊な能力を教えたりはしないですよね……わたしも何を聞いているのやら。


「ヒミツと料理の隠し味は自分自身で身につけないとね〜」

「は、はいっ! 頑張ります」

 身につけないといけない技術が多すぎますよ……


「ま、私自身に領主の娘という(こんな理由)もあったことから街へ入る前に別行動にさせてもらったんだ。領主の娘と仲が良いということになれば、どうしてもアチラからリアを見る目が変わってしまう可能性が高かったからな」

「なんだか寂しい話ですね」



 人それぞれ考え方に差があって当たり前だと思っていても、そこから人と人の繋がりに統制が入るのは残念だと思うし、仕方がないという一言で片付けてしまうには惜しいとも考える。


『世界や舞台が違うという事があるとはいえ、色々と障害や弊害が出てくるのは仕方がないのかな……そういうのは今まであまり体験してこなかったからなぁ』



「ま、なんだか湿っぽい話になりそうだから話題を変えようか……そうそう、リアがトム爺さんのお店ので働いているのには驚いたよ」

「そうなんですか? 私として偶然というか、話の流れでお世話になる形になったもので。

 まぁ、話の流れと言っても……」


 ファナさんが驚いたということだったので、わたしはPAPの故障からお店に入り、そこから工房での修理などを経て住み込みになった経緯を説明した。


 ・

 ・

 ・


「……なるほど、それはまたリアらしい縁のでき方だな。ちなみに私が驚いたと言ったのはトム爺さんが人を雇ったということさ」

「そうね〜確かに今までトムさんのお店で部外者が働いたって話は聞いた事無かったかも?

 確か先代のトムさんも、ずっと一人で営業していたような〜」


「そうなんですか!?」

 というか、先代の店長さんの名前もトムさんだったことにツッコミたいし、そもそもティグさんが先代のトム店長を知っているということにもツッコミたい!

 ……でも、ツッコミしたら負けな気がするのは何故なんだろう。


「トムさんって人嫌いではないけど自分から進んで仲良くなっていく人でも無いからな」

「うーん、確かに色々と教える際には厳しいところがありますから、そういったのが壁に見えてしまうのかもしれませんね」


 わたしもまだ付き合いがそれほど長くないとはいえ、日々接しているからこそ見えてくるモノもあり、最近になって少しずつトム店長の事がわかるようになってきた。



「ま、でもトム爺さんの所にいたというのはリアにとっても運がよかったとは思うかな」

「そうなんですか?」

 なんだろう、別に買い物で割引とかされた記憶とかは無いけど。


「そうだな……例えば商人からの強引な引き込みやキャッチなども無いだろう?」

「確かに無いですけど、わたしにそれほどの何かがあるとは……」

 ファナさんは一瞬不思議そうな顔をしてから『知らぬは本人ばかりか』と小声で呟いている。



 ……はて?



いつも読んでいただきありがとうございます!

雨があまり降らないとはいえ、梅雨らしく湿った毎日で痛めた腰が椅子から立つ度にジンジンします……


さて、掲載を始めてからは大体一話あたり2,000~2,500文字程度にして掲載していたのですが、ここ最近3,000文字を超えることもしばしば。

話の切りどころが難しいというか、上手く切れずにおかしくなるぐらいなら~と思ってそのままにしちゃってたりします。


これが3,000文字ぐらいで収まれば良いのですが、4,000文字とか行ったら大変というか問題出そうです(校正とか見直しとかで時間がかかりそうで)。

こういった所も上手くできるようになりたいものです。



では、次回アップは7月2日月曜日を予定しておりますので、よろしければ引き続きお願いいたします<(_ _)>



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