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128話 疲れを吹き飛ばすもの


※18/6/15 後書き追加しました。


「ハァ、ハァ、ハァ……」

 身体に力が全く入らない……正直ここまでの疲労感は久々すぎていつ以来か思い出せないかも?


『ハルとの模擬戦は引き分けで、尚且つ気を失っていたし……マチュアさんとの修練でも、ここまで疲労感を感じる事も無かったよね』

 流石に大技連発しすぎたかな? もう少しスマートに勝てたら良いのだけど、格上な相手との戦いにそんな贅沢言えるワケないしなぁ……



「ねぇ、反省しているところ悪いのだけど、まだ模擬戦は終わっていないわよ」

「あ」


 わたしの足元に立つフィーネさんが、手にしている武器をポンポンと叩きながら言う。


「えーっと、流石にHPもMPも底をつきかけていますし、何よりこんなですから戦闘の継続は……」

「貴女、戦闘神官と言ってたから回復出来るのでしょ? 欠損した部位にしても治療魔法で治せたわよね?」


「え、はい……でも先程も言ったように回復に使用するMPも」

「そう……だったらこれを使いなさい」

 そう言って渡されたのは久々に見る青ポ(MP回復薬)、しかも効果の高い【青ポーション・マンドラゴラ三千ミリ配合モデル】だし。さっすが共和国でも有数な商家だけあるよね。

 というか、この模擬戦ってアイテム使える仕様だっけ?


「私が決めたルールに基づいて設定した仕様だから、私が使えると決めたら問題ないわ。それとも、何か不満?」


「いや、その……」

 どちらかと言うと、素直に回復しないわたしに対してフィーネさんが不満なように思えるのですが!?



「それはそうでしょ? お互い残ったのが一人ずつなのだから、キチンと決着をつけたいと思ったらおかしいかしら?」

「本音は?」

「タウラスの仇を取りたい」


 あー、もうストレートな内容ですね!

『やれと言われたら出来なくも無いけど、正直もう戦闘疲れで頭がいっぱいいっぱいなんですが』

 などと思った瞬間、



 ガッシャン!



「えっ、何!?」

 どうしたものかと悩んでいたところ、どこかから派手にぶつかる音が。


「今のは」

「たぶん店の正面から!」


 わたし達は店に併設されたグラウンドにいるから見えないけど、どうやら音の発生源は店の正面からのようで、確かに店の前あたりから黒煙のようなものが立ち上っている。



「ザラさん来てください!」

 店にいた店員が慌ててやって来る。


「どうした!」

「路上に停まっていたPAPが、いきなり、並んでいる人達を薙ぎ倒しながら店にぶつかって!」


『PAPが!?』

 PA程ではないとはいえ、自動車と同等の大きさであるPAPが人にぶつかれば、場合によっては命に関わる事にもなりかねない!


「フィーネさん、ザラさん、模擬戦止めて下さい!」

「わかった」


「えっ、ちょっ、ちょっと!?」

「すみません、後で!」



 ・

 ・

 ・



「これは……」

 ラスエリ工房の正面入り口横にショーウィンドウがあったのは記憶していたけど、今そこには一台のPAPが黒い煙を吐きながら突っ込んでいた。


 そして、その近くには少なく見積もっても二十人程の人達が倒れており、比較的軽傷な人もいるようだけど、うつ伏せになったまま動かない人もいれば腕や足から出血している人まで酷い状態が多岐にわたっている。

 ただ、


『並んでいたのが冒険者という事もあってか、既に負傷している仲間を治療したりしているみたいね。

 これならわたしの出番は……ん?』


 よく見てみると、倒れている人達のうち治療されているのはわたしと同じ異邦人だけ。この世界の冒険者(住人達)への治療は殆どされていない!?


『というか、誰だって自分の仲間を優先するよね。でも、このままだとこの世界の人達も含め、他に怪我している人への治療が遅れてしまう……だったら、』



「すみません! 通して下さい!」

 とにかく人混みをかき分け、治療されていない人達に近づくと容態を確認して行く。


『思ったよりケガの酷い人がかなり多い』

 だったら迷っていられない!



《エリアヒール》



 通常よりも消費するMPを高めにし、異邦人の冒険者を含め辺り一帯の怪我人全てが収まるレベルで範囲型の回復魔法を唱える!


『とりあえず応急処置にはなったはず。

 後は倒れている人達の状態を直接確認しながら、適切に治療していくだけ』

 応急処置で回復させた人達を見ながら、怪我をした状態が酷い人から治療・回復させていく。



『この人は……腹部に裂傷、顔色も悪く呼吸もかなり弱まっている』



《ハイヒール》

《リカバリーボディ》



 裂傷もキレイに塞がり顔色に血色が戻ると、呼吸も普通なレベルに戻る。とにかく治療治療!





『よし、次の人は……』

「ねぇ、さっきのヒールあなたよね? 悪いけどもっとヒールしてくれない?

 あなたのエリアヒールかなりレベルが高いわよね。連れにもらったヒールより全然鎮痛の効果が高いから、もう少しして欲しいの」


 一人ずつ容態を確認して回復させていると、冒険者の一人が側に寄って来てヒールを要求してきた。


「まだ倒れている人達がいるので、そちらが終わってからでもよければ」


「え? 倒れているってNPCでしょ? そっちは何とかなるんじゃないの? あ、ヒールするのにお金が必要だったら」

「あの、NPCだから回復されるのが後って何ですか? この人達は異邦人(わたし達)とは違うから治療が遅れて手遅れになれば死ぬことになるんですよ?」

「えーっ、だってNPCなんて運営が作っただけだし」


『……言いたい事がわからないワケじゃないけどムカついてきた!』



「あ、あのですね、」

「NPCだから何ですか? どうしたらそういう考えに至るか詳しく教えてもらいましょうか」

『うをっ!?』


 わたしが冒険者に話しかけていると、その上から静かな口調でありながら相手を押さえつける威圧を含んだ声がする。


「タ、タウラスさん!?」

「先程はどうも。あと住人達への治療・回復ありがとうございます」


「い、いえ別にそれほどでも」

 さっきの戦闘時よりも強烈じゃないかと思うタウラスさんからの威圧で、思わずこちらまで呼吸がしづらくなるような感覚に陥る。


『直接威圧を受けていないわたしですら、かなりキツイと感じるということは』


 ……あ、さっきの冒険者が物凄い速足で逃げて行った。


「よろしければお手伝いしますよ」

「だ、大丈夫ですから。それよりもお店に突っ込んだPAPの方をお願いできませんか? もし爆発とかしたらもっと大惨事になりかねませんし」

「そうですね、そうしましょう。あとフィーネ様からこれを渡すようにとの依頼がありましたのでお渡しします」


 そういってタウラスさんがわたしの手を取ると無理矢理何かを握らせる。


「え? これって【青ポーション・マンドラゴラ三千ミリ配合モデル】じゃないですか!?」

「ええ、それを使って他にも負傷している人達をお願いしますとのことです」

 き、気持ちは嬉しいけど【青ポーション・マンドラゴラ三千ミリ配合モデル】って記憶ではコレ一本で二十Gしていましたよね!? 


『ハイヒールもリカバリーボディもかなりMPを消費するからあれば助かるけど』

 さすがに高級品すぎて素直に使えないというか……でも使いたいのも事実だし……もうっ!



「あとで返せって言われても返しませんからね!」



 ポーションの蓋を開けると一気にグイッと飲み干す。

『くぅ〜、さすが二十G! よしっ、これならまだやれる!』



 ポーションで回復したMPを確認すると、わたしは再び治療へと戻るのであった。





いつも読んでいただきありがとうございます!


なんとか週三回の掲載ができました。

……そして気がつきました、週三回をすると校正する時間がほとんどない事に。


 書く→次の話を書く→大筋を書く→最初の書いたものを読み直す

  →修正する→次の話を書いたものを読み直す→修正する

   →最初に書いたものをもう一回読み直す→修正する ……


と、ひとえに書き手の文才がない事が起因しておりますが、このあたりで自分の首を絞めていました。

昔毎日アップしていた際にはある程度ドカっとまとめて書ける時間があったので、そのあとチマチマと見直しと修正をしていたのですが、今はなかなかまとめてアップができていないので、見直し&修正が思いのほか大変に。


もうちょっと時間が取れるようになれば良いのですが、この辺りが改善されるのにはまだ半年ぐらいかかりそうです(´・ω・`)



とにかく! 無理が無いレベルで楽しみなが面白く思えるような話が書ければと思っておりますので、よろしければ引き続きお願いいたします <(_ _)>



さて、戦闘パートが終わったので次の話に移行中。

最近、すっかり現実パートがありませんが、流れ的に一気にこういう場面を書いていきたいと思うと、なかなかそちらに戻れず。


まぁ、現実パートってあまり皆さんに読まれていなかったような感じもするので『そうだっけ』という風に思われていそうですが、どこかでまたそちらの話も書いていきたいものです。


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