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126話 戦いにかけるもの


※18/06/11 後書き追加しました。


「はははっ、そう来なくてはな!」

 うーん、ヤル気漲ってるなぁ……はぁ。


「こんなにもヤル気な人をそのままにしたら大変申し訳ないですし、それに……」



 ガシャン



「ほぅ、そうきたか」

「どうも慣れない装備だと重たく感じちゃって」

 胸当て、脛当て、小手……身に着けていた装備一式を全部解除し、その場で軽くジャンプして感覚を確かめる。


『うん、体が軽いと言うよりも、いつもの自分の重さとか感覚に戻ったいう方が正解ね。どう考えても戦いやすいし、なんて言うか色んなものがスッキリする』

 さて、



「あまり認めたくはないのですが、わたしにも少しは戦う事に対する欲があるようなので……せっかく自分より格上の人と戦える機会があるのなら、ちょっとだけ貪欲になってもバチは当たらないかなーと」


「ふっ、そうだな」

 タウラスさんはそう答えると、左手に嵌めていた指輪を外して握りしめる。すると、



 ブンッ



「……また凄そうな武器ですね」

「【星流偃月刀せいりゅうえんげつとう】、それがこの得物の名前だ。

 なんでも流星すら斬り刻むということから付いた名らしい。まぁ自分としては名前がどうだろうが使いやすい獲物だったから好んで使っていたんだが、コイツを使うとちょっとした癖が出てしまうものでね。

 フィーネ様にお仕えしてからは使わない事にしていたんだが、せっかくお許しも頂いた事だから素直に使わせてもらう事にするよ」


 タウラスさんが手にしたのは大きな刃が付いた薙刀。ただし普通の薙刀に比べ、刃の大きさ・幅・厚みは別物レベルで、見ているだけでも背筋がゾクっとするような寒気を感じる。



「癖、ですか?」

「ああ」


 そう言いながら偃月刀を構えるタウラスさんから感じる気が、さっきまでとは別人と思えるほど跳ね上がっているのがわかる。


『この人も元々は戦闘狂バトルジャンキーって感じっぽいね、顔までイキイキしてるし。ということはあの武器には戦闘に対する気持ちを抑えるどころか昂らせる効果があるのかな』


「言葉に出さなくてもその顔を見れば大体何を言いたいかわかるが、貴女自身も自分が嗤っているのをわかっているかい?」


「え?」

 うーん、わかっていないのは自分ばかりか。それともわかっているけどそうだと認めたくないだけか……


『ま、どっちにしろ戦いたいと思っていることはウソじゃないものね』



「そろそろ始めようか」

「ええ」


 さっきまでのタウラスさんとの戦いを例えるなら、狭い檻の中でバッファローを相手にするような感じだったけど、偃月刀を構えた今のタウラスさんを例えるなら……解き放された猛虎との対戦ってとこかな?


『そんな猛虎の攻撃をどうやってかわして懐に入り、必殺の一撃を放つか』



 ・

 ・

 ・



「必殺の一撃ってどう思う?」

「必殺の一撃ですか? うーん……『強い攻撃』とか相手を必ず倒すような『何かを放つ』とか?」


 マチュアさんとの修練をしていた時、ふとしたタイミングでそんな会話が出てきた。なんでも今から取っておきを教えてくれるという話を聞いて、嬉しいような怖いような複雑な気持ちで頭がいっぱいだったから、答えた内容も少々おかしなものになってしまい、

 

「ふふっ、『何かを放つ』って何よ」

「あ、なんかこうバーンと……」

 うぅっ、マチュアさんが必死に笑いを堪えている。


「ま、私の聞き方も悪かったわ。聞きたかったのは必殺の一撃を放つとした場合の【気持ちの問題】ってこと」

「【気持ちの問題】ですか? 『絶対に当てる!』とか、『これで相手を倒す!』ってことでしょうか?」

 あんまりそういった事を考えたことが無かったというか、考える必要が無かったからどうもピンとこない。


「そうね、そういうのもアリかもしれないけど、それって本当に【必殺】なの?」

「……うーん、そう言われると【必殺】というより【必中】とかになるのでしょうか」

 確かに必殺という文字は『必ず殺す』だもんなぁ、ちょっと怖いけど。


「リアが思ったように【必殺】が『必ず殺す』とした場合、それを使うことでしか勝機が無い状態であり、しくじる事が己の死に繋がると思わない?」

「あ、確かにそうかもしれません」



「だからこれから教える技と連携は『失敗したら死ぬ』と思いなさい。そして必ず相手を倒すという意思をもって使うこと」

「そ、それはかなり覚悟がいる技ですね」

「そうね。ま、そもそもそんな技を使う場面にならないようにしてよね? あなたの命はもう私達と同じ有限になってしまっているのだから」



 ・

 ・

 ・



『ほぅ、これは』

 目の前にいる相手が別のものへと変わった。


『先程までは突き刺すような鋭い感覚を纏っていたのが、防具を一式外し異なる構えをした瞬間、その感覚が触れたもの全てを無碍に斬り裂く白刃のように変質した』

 ……あぁ、これは極上な相手だ。


『感謝しよう、この場を与えてくれた神々に。この地に連れてきてくれたフィーネ様に……』

 深く息を吐き、手にする偃月刀に力を込める。



「行くぞ!」

「行きます!」





いつも読んでいただきありがとうございます!


先週も出張があり、電車という書き溜めを作るのに最適な空間をゲットできたのでガンガン書き溜めたものが、4話分ぐらい溜まりました。


なので調子にのって今週は月・木の2回アップから、月・水・金の3回アップにしてみようかと思います!

……あとでしっぺ返しきそうですが(´・ω・`)


戦闘場面はあと一回かな、戦う人とその対戦者、そしてそれを見ている人の考えとかを表現したいな~と思っていますが、上手く表現できるかどうか……



とにかく、明後日水曜日に最新分をアップできるように、そして金曜日に3話目をアップできるように頑張ります!


引き続き、よろしければお願い致します<(_ _)>



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