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125話 続く模擬戦


※18/06/07 後書き追加しました。


『やっぱり、あの子結構やるじゃない』

 視界の端に見えるタウラスと格闘神官との戦闘を見て自分の目が正しかったことと共に、時折とはいえタウラスが押される場面を見て少し驚く。


『パワーについてはタウラスが、スピードについてはあの子が上。そうなれば基礎的な部分と装備の分だけタウラスの方が有利になるはずなのに、勝負勘というか技の出し入れが絶妙に出来ているから、一方的な流れにならないって感じね』



 タウラス自身も、苦戦というより自分のペースに持ち込めない所が五分に近い戦況になっていることは認識しているのだろうけど、相手のどこをどう崩していくかが絞り切れていないように見える。


『本当ならパワーで押し切れば終わりのはずなのに、あの子の受け方やかわし方が熟練の域に達しているとまでは言わないものの、それに近い事により得意な攻め手に持っていけないようだけど……』

 そういう相手とだって今まで何度も戦ってきたはずなのに、相性とでもいうのかな……やり難さがあるというところなんでしょうね。

 あとは彼自身というより、私の護衛としてのみ過ごしてきた時間の影響か……



「戦っている間によそ見するなんて余裕じゃねーか」

「まったく! と言ってもそうさせている我々に問題があるんだけどさ」


 目の前にいる戦士二人がが息のあったコンビネーションで私を攻め立てる。だけど、攻め立てる事が出来ても攻め切る事までは出来ない。



 ヒュン



「くっ!」

「ミホ、大丈夫!? 全く……こうも攻めにくいとは」



 ヒュン、ヒュン!



「褒めてもらっている、と思って良いのかしら」

 私は手にした愛用の武器である【紅蓮蔦双鞭サラマンダーテイル】を振るいながら、相手の攻撃を捌きつつ反撃する。


「さ、そろそろタウラスをサポートしたいから……終わりにしましょうか」



―――◇―――◇―――



『強い』

 スピードで勝てないのは百も承知、だが継続的ではない瞬間的なパワーすらも、時よりとはいえコチラを凌駕している事がある。


「ハァッ!」



 ドンッ



「ぐっ……」

 現に今の攻撃もそう。久しく格闘系とは戦ってこなかったツケが戦闘勘を狂わせ、ガード越しとはいえ受けることでのダメージが少しずつだが蓄積していく。


『浸透勁、気に関連した打撃は高い防御を誇る【夜叉霞】であっても防ぎきれない。また、それに絡めた緩急強弱をつけた攻撃によって、盾での防御スコアが頗る悪いときている』



「タフだな」

「そっくりそのままお返しします!」


 コチラに的を絞らせない、フェイントを入れた複雑な動きをこれだけしてもまだ息が上がらないのか。


『しかも最初よりも少しずつ速度が上がっている?』

 ワザとスタート時に鈍らせた動きを見せ、その後のフリに活かすというのもあると聞くが……



 ガンッ



 こちらが繰り出した斬撃を小手の部分でガードすると、瞬く間にコチラの懐に入り込み、突きと蹴りを織り交ぜたコンビネーションを当ててくる。結果的に距離は至近距離になるから



 ガガガッ



「ああっ、もう! さっきからこっちの流れに出来たと思った時にそれっ! 積み上げたものが都度ご破算になっちゃうなんて……その鎧反則級ですよ!」

「その反則級の技ををかわしきる、貴女もまた反則級だということですよ」


 【夜叉霞】の持つ能力で発動する、対近接戦用に放つカウンターは絶妙なタイミングでかわしきられている。


『このままでは埒が明かないな……こうなったら無理矢理仕掛けるか』

 そう考え、構えを変えたその瞬間、



 ズガッ!



「なっ!?」

 頭に凄まじい衝撃が走り……



―――◇―――◇―――



「やったかな」

 模擬戦開始からフィーネさんを射つつも、狙っていたのはこの瞬間。


「ナイスショット!」

 ついさっきでまであのタウラスと互角に近い戦闘をしていた格闘神官が声をかけてきた。


「さんきゅー」

 とりあえず礼は言うけど、アンタがアレだけしていたら、こっちもやることやらないと気分が悪いんだよねぇ……疲れるけど。

『ヘッドショットとしては申し分なかったはずよね』



「ま、とりあえずコッチは終わったから改めて向こうねサポートを」


「避けて!」

『へ?』



 ボンッ



「え?」

 鈍い痛みと共に体の真ん中に大きな穴が開いて……



 ・

 ・

 ・



「さすがに……今のは効いたぞ」


 片目に矢が刺さった状態にも関わらず、正確無比に放った技は……やっぱり、


「今のも鎧の能力?」

「ああ、対近接用の【断崖だんがい】に対し、弓や魔法の対遠距離用の【鴉羽からすばね】という、受けたダメージを対象へ返す反撃技だよ。

 一応、弓師がいたから設定はしておいたが……完全に虚を疲れた一撃だったから、コチラとしても被ダメがデカかった」

 そう言いながら突き刺さった片目ごと矢を抜くと、それもまた後ろへ放り投げる。



『被ダメって……普通ならアレで即死レベルだと思うのですけど!?』


「まぁ現実リアルならショック死していてもおかしくは無いだろうが、我々がいるこの世界であれば鍛えることで、このレベルの痛みも耐えれぬものでもない……違うかね?」

「そういう痛みに進んで耐えるような事はしたくないのですが」


『でも、実際にタウラスさんは今の痛みに耐えている』


 事前に弓師から聞いていた一撃必殺の技【穿螺旋スパイラルアロー】は、チャージした時間だけダメージを増加させると聞いており、タウラスさんの注意が私に完全に向いたタイミングで、なるべくチャージした攻撃を放つ約束をしていた。

 十二分にチャージさえ出来ていればドラゴンの鱗すら容易に貫くって話だった今の攻撃。間違いなく大ダメージは受けたはずだけど、あの攻撃で貫かれることが無かったということは、タウラスさんが装備している防具の能力があったとはいえ、人の身でありながらドラゴンよりも硬かったと考えるべきか、それとも……


『近くから見ていてもシャレにならないダメージだってわかるレベルの攻撃だったのに、それを凌ぎきって反撃するなんてね』



「今のが切り札だったのかね? だとしたら君達にもう勝ち目は無いが」


 ……言ってくれるじゃないの。


「確かに切り札だったけど、まだわたし自身が倒れていないわ」

「それは僥倖……」

 タウラスはそう言うとニヤリと笑い、手にしていた剣と盾を適当に放り投げる。そして、


「フィーネ様! 申し訳ありませんが今からアレを使います」



「わかったわ」

「えっ?」


 すぐ近くからフィーネさんの声が聞こえたかと思ったら、わたしの側に彼女は立っていた。


「戦士二人も既に終わり。魔法使いも降参しているわ。残ったのはあなただけ……どうする?」


「どうするって……」

  えーっと、ヤル気満々なタウラスさんを見ていると降参しても良い雰囲気じゃないですよね?



『……はぁ、もうやるしかないじゃない!』




いつも読んでいただきありがとうございます(*´▽`*)


ふぅ、今週もノルマの週二回目のアップができました!

本当は一回当たりの話の量を多くしたいと思っているのですが「そうすると週に一回が限界かな~」とか思っているうちに水曜日の深夜に。


とりあえずそこから文面を再校し、木曜の朝から再度チェック&修正でお昼アップが間に合いましたε-(´∀`*)


……もっと余裕持ってやらないとダメですね。



さて、戦闘回二回目です。

一回だと話が終わらない……ということもあり、上に書いていた『一話を倍にする計画』になったものです。

結局別れましたがね(´・ω・`)


もう少し戦闘回が続きますが、色々と読みやすくできればと工夫をしてかえって読みづらくなることも考えられますが、その際には突っ込んでいただければ幸いです。


それでは次回、来週の月曜にアップ目指して頑張ります!(/・ω・)/



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