124話 模擬戦開始!
※18/06/04 後書き追加しました。
【ブリザード】
【アローレイン】
戦闘開始の合図とともに魔法使いが派手な広範囲魔法を放ち、若干ずらしたタイミングで弓師が魔力を纏った矢を雨のように降らせる!
『これらはそれなりの威力がある攻撃だけど、それは二の次。本当に求めたものは』
辺り一面の視界を吹雪が支配し、降り注ぐ大量の矢が二人の動きを阻害する!
『……今!』
ガッ
「悪いけど少し付き合ってよね」
わたしがダッシュから放った拳、それが大きな盾に阻まれる。
「自分とフィーネ様とを分断するまでは読めたが、自分の相手が貴女だけとは」
難なく盾でガードしたタウラスさんはそう呟く。
『ま、レベル差とか考えたらそうよね』
こっちの作戦としては、とにかくタウラスさんとフィーネさんを分断し、各個撃破していくこと。
もっとも、わたしが一人でタウラスさんを倒せるなんて甘い夢物語を妄想する気はない。
『とりあえず分断までは成功! こっちが落ちるまでになんとかフィーネさんを倒して下さい!』
『オッケー』
『任せろ!』
わたしの声に二人の戦士が反応する。
「速さがウリの格闘家が自分を押さえ、残り全員がフィーネ様に。悪くはないですが、どこまで押さえられるか……」
盾を前に出し、半身の姿勢で構えを解かない状態からもタウラスさんの威圧がどんどん高まっていくのがわかる。
「行くぞ」
「負けません!」
ブン!
振りかぶった剣が、瞬く間にわたしを切り刻もうと迫り来る。
『速い、だけど!』
迫る剣先を体を傾けギリギリのところでかわす!
そして体を傾けた際に踏ん張った右足に対し更に力を込める!
グッ!
結果、無理な体勢だったのにも関わらず前方へ駆け出すタメを作り出し、タウラスさんとの間合いを一気に詰める!
『ちょっと前までだったら、これだけ体を傾けつあたらそのまま倒れてもおかしくなかった。
だけど、マチュアさんと修練によって鍛えられた下半身は、以前とは比べ物にならないほど強く、踏みとどまる事が出来る力を与えてくれる!』
ゴッ
駆け出した勢いに乗った蹴りを一発! もちろんそれも簡単にガードされる。だけど大丈夫、力で負けている分をスピードで凌駕し、とにかく相手にこちらを無視できない状況を作り出すのが一番の目的。
ガッ! ゴッ!
ガードされた状態から更に軸足に力を込めると、体を捻る力も合わせて逆蹴りへ。そして捻りで生まれたエネルギーを利用してハイキックへと繋げる!
「やる!」
「まだっ!」
チリッ
『ん? 嫌な感覚が……下がる!』
本能に従い、詰めていた間合いから一気に離れる。するとその瞬間、
ガガガッ!
「良い勘だな」
「おかげさまでね……イヤな感じには敏感なの」
ついさっきまでわたしがいた所を含め、タウラスさんを中心として敷き詰められていた石畳が、何らかの力に押し潰されていくと不気味な破砕音を立てながら捲り上がっていく。
『ノーモーションの攻撃? 違う、今のが聞いていた【鎧の力】の一部分って奴!?』
伝説級アイテムって聞いただけじゃイマイチわからなかったけど、『対戦相手に合わせて防御の能力が変わる』と聞いていたおかげで、対近接戦用に何かしら厄介な力を使う事は予想しておいた。
『もっともこれは流石に……対近接戦用に合わせた防御というより、近接戦を維持させないことを目的とした技だよね』
嫌った間合いから強制的に離す荒技であり、離れたくなければこちらがダメージを受けるのが確定になるワケだし。
『ある程度蓄えた力を自分を中心としたフィールドに対し、見えない攻撃を与える。
……厄介なことこの上ないじゃないの』
「来ないなら……行くぞ」
「いいっ!?」
タウラスさんはその巨体から想像できないスピードで間合いを詰めると、手にした盾を使って突撃を仕掛けてくる!
『盾が大きいし、スピードも半端ないから逃げ場が無い。だったら!』
両脚に力を込めると、突撃を受け止めるように両手を前に突き出し、
【金剛体】
ドガッ!
「くふっ!」
体に受けた衝撃で一瞬だけど視界が真っ暗になる。
『だけど』
若干、足が地面にが埋もれてしまっている状態ではあるけど、突撃に負けて飛ばされたりはしていないし、金剛体の防御力でダメージを軽減させていることもあり、意識もハッキリしている。
さっき立っていた場所から一メートルぐらい後ろには押されてしまってはいるけど、完全に密着したこの位置はわたしにとって最も有効な攻撃が出来るポジション!
「喰らって!」
【鎧通し】
そして、
【千枚通し】
ドッ! ギィン!
「ぐっ」
目の前にあり盾に向かって二つの闘技を連続で繰り出すと、頸によるダメージが盾だけではなく鎧すら貫通し、タウラスさんを直撃する!
ただ、確かにダメージが入った感触はあったものの【鎧通し】と【千枚通し】が与えたダメージは、タウラスさんに対してそれほど大きなものにはなっていなのがわかる。
「どんだけ鎧で軽減できてるんですか!?」
「企業……秘密でね」
ドン!
密着の間合いから距離を置きたかったタウラスさんは盾を叩くように使うと、わたしを遠くへ弾き飛ばす!
『かはっ』
さしてダメージを受けなかったように見せる為、向こうに聞こえないレベルで息を吐き出す。
「なるほど、攻撃も耐久も見た目では普通のレベルだと思っていたがこれは期待以上だな。やはりフィーネ様が指名されただけはある」
「それは、どうも」
距離はスタート時よりも離れた間合い。
『最初は魔法と弓の攻撃のどさくさに紛れて間合いを詰めれたけど……さて、ここからの仕切り直しをどうやって進めるか』
「まだまだ続けるか?」
「もちろん!」
攻め手はイマイチ湧かないけど、まずは間合いを詰めるところからリスタート!
いつも読んでいただきありがとうございます。
今週も月曜については予定通りにアップできました(/・ω・)/
……まぁ、まだ木曜が残っていますがががが。
さて、久々に戦闘場面を文章化。
やっぱり戦っている場面(頭の中)を文章化するのは難しいですね。
書いている方がわかっていて当たりまえの内容を読んでいただける方にもわかるように表現をしているつもりなのですが、本当に読みやすくなっているのかは判断がわかれるかと。
とりあえず一度書いてから数日後に見直すことで『あれ、この内容わかんなくない!?』と思うところをピックして修正していますが、これでいけてるかどうかは……
読んでいて「ここはちょっとわかりにくい」などありましたら、ご連絡いただけると読み直し&修正をしていきたいと考えていますので、よろしければツッコミをお願いいたします。
次回は木曜アップ目標です!
遅れないように頑張ります!




