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122話 フィッティングルーム


※18/05/28 後書き追加しました。


「えーっと……」


 今わたしはラスエリ工房の横にあるグラウンドに併設されているフィッティングルーム(と言っても教室二つ分ぐらいの広さですが)に、四人の冒険者と数人のラスエリ従業員と一緒にいます。

 あ、勿論全員が女性です。元々わたしが入っていた時間帯には女性の冒険者しかいなかったこともあり、当然と言えば当然の結果となっています。



「ま、相手が強いのはわかっているが勝てば一攫千金だし、番狂わせ狙おうや」

「そうそう、実際に模擬戦に使う武具一式が貰えるだけでも参加費としても十分だけど、勝てば一人百Gだなんてちょっとした宝くじみたいなものだし」

 そう言って眼帯の戦士は用意された鎧の調整をしながら皆に話しかけ、それを受けて槍の戦士も手にした槍の感触を確かめながら応えている。


「勝てばって……やるだけやるけど相手も相手だし、何パーセントも勝機があることやら」

「ワ、ワタシはとりあえず戦力外として見てもらった方が……得意なのはバフかけだけですから、火力としてはカウントしないで下さい……」


 遠距離として期待されている弓師は眠たげな眼で用意されていた弓の弦に指をかけ、その張り具合を調べている。もう一人の遠距離要因である魔法使いに至っては用意された装備品には目もくれず、室内にある大きな椅子の後ろに隠れてボソボソとしゃべっている。


「というか、そこの作業服(ツナギ)は戦闘職業何?」

「まさか非戦闘員とかいうオチじゃないよね?」

 戦士二人は用意された装備を全て身につけてから、この中で唯一戦闘職としての装備を全くしていない(作業服(ツナギ)だし)わたしに対して問いかけてくる。

『……ま、普通はそうだよねぇ』


「一応、戦闘職業としては格闘神官(モンク)です。といっても皆さんほどレベルは高くないと思いますので……」

「ふーん、まぁ戦闘が出来るなら構わないよ。もっともレベル差とかはどうしようも無いから、自分の身は自分で守って戦ってもらうだけさ」

「そうですね、最低限皆さんの足を引っ張らないようにします」


 周りにいる人達の感じから考えると、頑張る・頑張らないの範疇を超えていると思うのですが。

『とりあえずやれる範囲でやるだけだし……というか、どうしてわたしがこのメンバーに』


 ・

 ・

 ・


「ふぇ?」

 フィーネさんから『そこの作業着(ツナギ)を着た髪の長い女性』と指名された瞬間、思わず何のことかわからず変な声を上げてしまった。


「『それなりに腕が立つって』言われましたが、他の人と比べてそれほど力を持っているとは」

「あら、あなたは私の目を疑うのかしら?」

「い、いえ疑うというか……だ、大丈夫かな~って」

 強いと見られるのは嬉しいけど、そこまで期待に応えられるようなレベルじゃなかった時のガッカリ度というか、期待外れだった時の場の空気が怖いかな……


「今この部屋の中にいる近接格闘が使える人の中ではあなたが一番腕が立つと私は見ました。私は私の目に対し絶対の信頼をしています。それが商家に生まれ生き抜いてきた私の自慢です。

 自信が無いということであれば考えますが、あなたは自分の力を信じていないですか? 自分に戦う術を授けた者に対して自分の力が足りない事を言えますか?」


「自分に戦う術を授けた者……」

 勿論、わたしにとってそれはマチュアさんであり、自分の力が足りないだなんてことを言えるワケがない。


「……わかりました。わたしはわたしの力の及ぶ限り最善を尽くします」


 ・

 ・

 ・


「と、ついそんな事を言ってしまった自分の力がどこまで通じるのか……」

 とにかくマチュアさんに知られても恥ずかしくない結果だけは残しておかないと。

 それよりも今の問題としては……



『コレを装備しろって言うことなんだよねぇ……』


 目の前の机に置かれた格闘向けの装備。過去、毒されたトロールの時にマチュアさんから貰った装備をしていたことはあったけど、強化種トロールとの戦いで全て壊れてしまった。それからは神官服だけで戦っていたこともあって、専用の装備品などをあまり使うことも無くなってしまった。

 それにマチュアさんも


『いつ何時なんどきどういう状況、どういう状態で戦うかはわからない。だからこそ自分の肉体を、自分の能力を如何なる時でも最大限に出せるように、自分の感覚が一番の武器となるようにすることは必須と考えて。

 武器に頼らない戦闘や、武器なし修練で鍛えるのはウチの流派の極意みたいなものだからね』


と口を酸っぱくするほど言ってたし。故に、



「この装備……本当に着けなきゃダメですよね?」

 と思わず近くにいるラスエリ従業員に聞いてしまう。


「はい、装備をした状態での戦闘にてその武器・防具の性能を知ることが一番の目的ですから」

 と即答されてしまう。


『まぁ、それが普通の装備なら良いんだけどさ……』

 そう言いながら手にした格闘職用に作成された装備品に目を向ける。



「……どうしてこんな際どいデザインなのよ!」


 正直、身につけた自分を想像するだけで思わず唸ってしまうレベル。


 まず、鎧の下に着る戦闘着が何故か胸元パックリ、谷間バッチリ。下はスリットが入ったスカートタイプなので、太ももフリーなデザイン。

 しかもおへそも丸出しです、即ちお腹も隠すものがありませんよ!?


『布地が少ないチャイナドレスって感じなんでしょうけどさ……一応、見える部分は鍛えているおかげもあって、ぷよぷよだったりしないのだけは救いだけどさ。

 でもコレ、ちょっとでも脚上げたら下着が丸見えな気がするのですが……』


「あ、きちんと下着の上に着けるガードがあるので安心して下さい。『見せパン』って言うらしいですね」

「あ、はい……」 

 そういって見せてくれたのはヒラヒラの付いたスコートのようなもの。

『下着だと言っても通じそうなデザインなのが気になりますよ!』



 そして鎧にしても胸当ては極小なデザインで、パックリ空いた戦闘着の胸元がそのままバッチリと見えています。

 小手、脛の部分を覆うパーツとナックルガードはまだ良いけど、腰の部分に着けるガードは短い丈のスカートを一切邪魔をしないデザインで、防具としての価値があるのか疑問に思えてしまうのですが?

 もちろん、お腹の部分をガードするパーツがありません……はぁ。



 ガシッ



「えーっと、リアさんでしたね? そろそろ観念して装備して下さいね~」

「えっ? えっ?」


 わたしの横にいたラスエリ従業員のお姉さん、非力そうな外見とは打って変わり半端ない力でわたしをフィッティングルームへと連れて行く。


「あの、大丈夫です。ちゃんと装備しますから」

「はい、もう時間だからちゃちゃっと着替えてもらいますね~」

 ダメだ、この人言うこと聞かないというかこちらの意見を聞くそぶりも見せない。というかなんで普通のNPCがこんなに力が強いの!?


「あ、この部屋の中ではラスエリの全従業員が強制執行能力を発動できますので。いかなる冒険者でも逆らうことは出来ません~」

「そ、そんなの知らないしーーー!」



 バタン



『はーい、バンザイして下さいね〜』

『え? え?』

『うわっ、なんですかこのスタイルの良さ! 私気になります!

『ちょっ、そんな所を触ったらくすぐったいですって』

『肌も白くてスベスベで、髪の毛も長くてキレイね! 髪の毛も可愛く纏めましょう!

 さて、こっちはどうかな〜』

『まっ、待って! そ、そこはダメです!』



 だ、だれか助けて〜!





いつも読んでいただきありがとうございます!

今週も予定通りアップできました。

次回木曜日に向けて頑張る所存でございます<(_ _)>


さて、土曜と日曜は今書いてることについて素案を考え、叩いて鍛えるようなことをしていましたがなかなかに文にならず。


進めたい話まではおおよそ固まっているのですが、それを文章にしていく段階で頭の中をウネウネと考えてしまい、結果形にならないことに。

あと、考えている間に寝てしまうこともあったりしますが……



一度書き始めればそのままブアーっと書いていけるのですが、書き始めるまでのハードルが意外に高くて、ぶつかることが多い状態です(´・ω・`)


壁に当たるのは痛いのですが、その壁を超えるよりも貫通できるようなパワーを身につけて挑みたいものです。


そんなわけで、ここからの話をいかに面白くできるかと、次につながる話への持って行きかたを四苦八苦しながら頑張っていきまするので、よろしければ引き続きお願いいたします。



評価とブックマーク、本当に感謝です。ありがとうございます(*´▽`*)


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