12話 レッツ、クッキング!
ブックマーク、評価ありがとうございます(`・ω・´)
アクセス増えるのって楽しいですね。
他の書き手さんの気持ちがわかりました(*´▽`*)
……そしてアップ時間間違え( TДT)
ちなみにポトフは野菜の甘みが出て好きです。
※18/01/15 文頭部おかしいところを修正しました
※18/02/16 誤字脱字修正しました
「え~っと、コレね」
棚から言われたポーションを出し、少しだけ口に含むとちょっと甘い味覚に加え、アロエのような青っぽさが口の中に広がる。
『……まぁ、不味くはないかな』
一定量回復したMPを見ながら、引き続きトーレさんの指示に従いって、魔法による治療に従事した。
しかし、
『ホント、目が回る忙しさというのはコレの事だわ』
治療に来たNPCや、わたしと同じプレイヤーまで本当に色々な状態で来ているけど、なんだか怪我と一緒に毒の症状を併発している人が多いような?
でも、そんなことを感じる間は一瞬。
怪我をした人達は次々やってくる。
言われた通り酷い怪我をした人はあまり来ないものの、とにかく人・ひと・ヒト……いつまで続くの!?
―――◇―――◇―――
「つ、疲れた……」
時計は午後二時前。約三時間ほどヒールと途中からキュアポイズンを唱えまくり、MPが底をつけばポーションを飲むハードな状態に思わず声が出る。
「いや、大したものですよ。自分がここに来て最初の頃は一時間ぐらいしたら魔法の唱え過ぎとポーションの飲み過ぎでダウンしてましたから」
「……え?」
「リアさんの回復量が意外に高かったので、つい頼ってしまいました。おかげで休憩後は他の部屋の応援もできそうです」
トーレさん、自分が出来なかったことを指示するとはいい根性です。まぁこんな状況だから仕方ないですが。
「と、とりあえず他の部屋はまだ治療中のようですし、今の内に皆さんの食事の準備をしましょうか」
わたしの物言う視線が気になったのか、トーレさんは足早に移動する。
後を追って一階の奥へ行くと食堂があり、少し大きなテーブルに昼食の準備を始めかけていた。
と言っても机に皿を置き、数種のパンとソーセージ、最後に水を準備して……終了!?
「えっ、皆さんお昼これだけですか?」
「はい、自分も含め大体は治療で疲れてしまっていて、あまり食欲が無いもので。それに調理する時間もないですし」
トーレさんはちょっと困ったような顔してますが
「ダメですよ、ダメダメ! こんな食事じゃ治療する方が倒れちゃいますよ!」
トーレさんが言うには他の神官さんが来るまで、約三十分ぐらいはあるみたい。だったら、
「トーレさん、調理場借ります!」
この部屋の横に調理場があるのは確認済み。
調理場はあまり使われた感がなかったものの、埃も積もっておらずすぐに使える状態。
流し台の横に大きな箱があり、聞いてみると「食物を入れる保管庫です」との事なので覗いてみると、ソーセージとハムとベーコンが鎮座。
「なんでお肉しかないの!?」
「買い出しに行った時って、保存がきく肉類ぐらいしか買うものが浮かばなくて」
うわぁ……それじゃあ、お使いに行ってもお菓子しか買わない男子と同じじゃん。
……あ、そうだ。
「まさか役に立つとは」
わたしは手にした鞄の口を開けると、中からおもむろに野菜を取り出す。
「え、どうして鞄に野菜が……」
「知り合いに野菜が苦手な人がいてね」
取り出したジャガイモ、ニンジン、玉ねぎは洗ってあるかのようにキレイだったので、皮だけ剥いてあとはザクザクっと適当にカット!
ベーコンもちょっと大きめのブロック状にカット!
「なぜか圧力鍋があるのはグッドよね、ほぼ新品みたいだけど……トーレさん、このコンロどうやって火を着けたらいいですか?」
「赤い魔晶石に着火をイメージしながら魔力を流して下さい」
「赤い魔晶石……え~っと、コレね」
言われるがままにコンロの手前にある赤い石に手をかざし、家にあるガスレンジのつまみを回すイメージで……
カチン
「お、できた!火力は……これぐらいかな?」
とりあえずベーコンを軽く炒め油を出してからカットした野菜を投入。水と固形のコンソメのようなもの(調理場から勝手に拝借)と塩を入れてから蓋をして、シュシュと鳴り出してから火を止める。あとは圧が抜けるまで待つだけ。
勝手知ったる台所ではないのでちょっと苦戦したけどなんとかポトフは完成。
さすが圧力鍋、十分で出来たのはナイス!
あとは堅くなったパンを布で包んで、少しだけお湯を張ったお鍋(中にはパンが湯につかないよう網を設置)に入れてっと。
現実ならレンジでチンで終わるけど、さすがにそこまで現代科学を魔法で再現は無理なようで。
ソーセージは火が通っていたから、あくまで表面を少し焼き、パリ・ジュワッとした食感を楽しむ事が出来るぐらいの簡単なレベルの調理に抑えってっと。
そうこうしている間に食卓の方から「お、いい匂い」と声が聞こえ賑やかに。
どうやら皆さん治療部屋から戻ってきたみたい。
「今行きます」
鍋からパンを取り出し籠に入れてっと。
ポトフは鍋ごと籠と一緒にワゴンに載せて
『いざ、食卓へ!』
―――◇―――◇―――
「あら、カワイイ見習いさんね」
「なるほど、匂いの元はコレでしたか。長年使わずにキレイなままだった器具たちが輝いてるね」
サイドに髪を纏めた女性神官とオールバックにした男性神官がこちらを見て談笑する。
「神官長、いい人見つけたな」
「こればっかりはベルナルドの手柄……いや、神の思し召しだね」
ダレスさんと話しているのは小太りだけど柔和な笑みが特徴的な中年男性の神官。
その横でトーレさんも頷いている。
「急いで作ったので味に保証はできませんが」
注目されながらポトフを器に取り分け、籠から出したパンと一緒に配膳していく。
「野菜のスープか……、うん旨い」
「パンも焼き立てのように温かくてフワフワ!」
「豪華な昼食なんて初めてじゃないか」
「この野菜のゴロゴロ感がいいねぇ」
こちらの世界の味付けまでは調べる余裕がなかったので、普段しているものと変わらない味付けだったけど大丈夫みたい。
「聞いた話ではあまりお昼の食欲が無いという事だったので、温かいスープと柔らかく食べやすくしたパンでしたが……」
「最高だよ!」
「おかわりもらえないかしら」
「昼から呑みたくなってきたぞ」
皆さんに満足いただけたようで何よりです。
やっぱり賑やかな食事はいいな……




