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118話 足りないもの


※18/05/14 後書き追加しました


「はっ、はっ……」


 ログインする時間を今までより少し早くし、ゲーム(PAW)の時間で午前四時に起きる事で、早朝ランニングの時間を二倍に、走る量を三倍にしてみました。

 簡単に言えば、最近一ブロックを一周するのに五十分ぐらいだったことから『一周を四十分で走れば、朝に二時間取ることで、北・西・南の三ブロックを走りきり、課題の【自分の気を消す】ことも【気を探る】ことも出来るのでは?』という目論見を持ったわけで……



「出来るは、出来て、いるけど……でも、これ……さすがに、ちょっと、キツイ!」

 ちょっと自分の考え方が無茶苦茶だったかなと少しだけ後悔。でも、


『これぐらい頑張らないと午後走っていないことの穴埋めにもならないし、やっぱりマチュアさんとの約束守りたいし!』

 わたしの為を思ってマチュアさんが課してくれた課題なのだから、わたし自身が頑張らないとその想いに応えられない。だからやれるように頑張るのが自分わたしの責任!


 ・

 ・

 ・


「ハァ、ハァ……、戻りました」

「よくやるわい。ま、自分で決めた事をやる分には構わんがな。だが、働いとる最中にぶっ倒れるなよ?」

 走り終え、店の裏口から中へ入るとトム店長は既に起きて品出しの準備を始めていた。


「だ、大丈夫です! シャワー浴びたらすぐにこっちのお手伝いをしますので!」

「ああ、わかったから早く行ってこい」

「はい!」

 トム店長は『しょうがねぇなぁ』と呟きながら箱から商売品を適当に出して行く。



「品出ししたいやつだけ置いておくから、お前さんはコイツ等をキレイしてから並べておけ。傷がついていたら修復しても良いが、まずは汚れを拭き取ってキレイ並べてからだからな」

「はいっ、ありがとうございます」


 まだわたしがどの棚に何を並べるべきかを理解しきれていないことを知っているトム店長が、置くべき場所に商品を適当に置いていき、あとの整頓など出来ることだけをわたしに任せていく。


『口ではキツイこと言っているけど実は結構親切というか、優しいところがあるんだよね』


「はっ! さっさと行ってこい!」

「は、はいぃ」


 ……だから、心の声がどうしてこうも駄々洩れなんだろ?



―――◇―――◇―――



「そこは工具の角度が違う! 手元を見ることだけに集中してちゃ前後とのバランスが疎かになるって言ってんだろうが!」

「すみません!」


 品出しが終わってからは、棚に並べている最中に気が付いた、傷や破損箇所のあるパーツや装備品をトム店長に報告する。

 すると、トム店長がその中からわたしが出来そうなものをピックアップし、店長自らが修復の工程や道具の使い方を厳しく指導してくれている。


「細かい部分の修復はまずまず出来るが、バランス感覚というか整えることがお前さんは下手じゃな」

「バランスですか……」


『今まで【バランス感覚が無い】とか【整えるのが下手】とかって言われたことが無かったけど……料理ってそういうのが無くてもできたのかな? それとも……


「お前さんが何に得意だっかなんてどうえもエエ。ただ単純にPAのパーツを修復したり、整備する工程において、お前さんが今まで使ってこなかった感覚を、より細かく使う過程があるって事だ」


「使ってこなかった感覚ですか……というか、どうして心の中で考えていたことがここまでトム店長に読まれているのでしょうか!?」

「はっ! 思いっきり顔に出とるわ!」

 ……うっ、そうでですか。


 でも使ってこなかった感覚と言われると、なんだか少しだけ納得というか『そうか』と思ってしまう。


『マチュアさんに鍛えてもらった事も、今出されている課題ランニングも確かに現実リアルではそれほど使ってこなかったようなものばかりだった。

 そういう足りない所がわたしにはまだまだたくさんあるってことで、逆に言えばそこがわたしの中で伸ばしていけるポイントだったりするのかな』


 そういった意味では【今のわたし】に、そして【今までのわたし】に足りない所を埋められるなんていうチャンスを、どんな形であっても与えられている事は凄く運が良いのだと思う。


「ま、とりあえず今はこんなもんじゃろ」

「えっ、まだ出来ますよ?」

「バカタレが客が来とるわ」


 えっ? えっ? 誰も来ていないよ? というか、わたしがここで働き始めてからお客さん来ていないんですが……



「ちわーっ、トム爺さんいるかー」

 うを!? 本当に来た!


「ん? 見たことない顔だが……あんたもトム爺さんの客か?」

「いえ、わたしは一昨日からここで働かせてもらってます」

「うぇっ!? トム爺さんが冒険者を雇うなんて聞いてないし! てか、俺がここで働きたかったし!」

 あはは……すみません。


「なんだ、誰かと思ったら貴様か」

「トム爺さんも冷てえなぁ、働き手が欲しかったらオレがやったのに」

「はっ! なんで貴様みたいな面倒の塊をここで見なけりゃならんのだ。それに品出しや補修の手伝いなんか貴様じゃなくても出来るし、店番や売り子なら女子おなごの方が受けがエエじゃろが」

「ぐぬぬ……」


 うん、なんか仲が良さそうと言うか、互いに遠慮なく言い合っていると言うか……



「あっ、自己紹介が遅れたな。オレの名前はリュウ・ハシジマ、皆からはリュウと呼ばれてる」

 そう言ってリュウは自己紹介をしながら手を差し出してきた。


「わたしはコーデリア・フォレストニアです、リアと呼んでください。たまたまトム店長と出会う縁がありまして、こうやってお手伝いをさせてもらっています」

 そう答えながら、差し出された手を握り返す。


「うーん、柔らかいながらもしっかりと鍛えられた手をしているねえ~」

「えっ、そうですか? あんまり手を褒められたことないもので」


「まぁ、そんだけ乳とケツがでかけりゃ、普通そっちばっか見られるわな」

「て、店長!」



  くっ、言い方がエッチじゃないと言うか、セクハラっぽく感じられない辺りがこの人の特徴というか何というか……


「こっちの人にはセクハラという概念が無いのかもなぁ」

「ええっ……」



 なんてこったい。



いつも読んでいただいてありがとうございます!

今週も無事最新話をアップできました(/・ω・)/


ちなみに先週のミスアップをした経緯から、今週より月曜アップ(もう一話がアップできそうなら月曜と木曜)に変更させていただきました。

まぁそこまで厳密なタイミングで読んでいる方がいらっしゃるとは……



さて、話自体は頭の中で出来ていますが、相変わらず繁忙沼から抜け出すことがまだ出来ない為、なかなかに更新速度を上げることができていません。

アップ時間をお昼の12時にしたことで、朝の通勤時間でチェックする(チェックしきれるとは言ってない)ことを実践していますが、誤字脱字ってそう簡単には消えないものです。


もうちょっとこのあたりの精度を上げたいものですが、簡単には上がらない仕様なのは書き手の文才及びチェック機能の低さということで、嗤ってやってください(´・ω・`)



よく、他の書き手さんが一つの話を書きながらもう一つの話を書いているのを見かける度に、正直羨ましいなぁと思いますが、自分にはそこまで余力など無いので難しいなぁと思うだけです。

いつかそうやって他の話を書けたらいいなぁと。


さ、次は木曜に向けて少しでも文章を構築せねば……


よろしければこんな貧弱な書き手ではございますが、引き続きよろしくお願いいたします<(_ _)>



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