115話 初めての出会い
※18/05/04 後書き追記しました
「本当にスミマセンでした……」
「だからエエと言うとるじゃろうに」
わたしには謝るしかできません。だって、
『お爺さんが運ぼうとしていたPAのパーツについていた値札……五百ゴールドなんて払えませんから!!』
「壊れたから直せばエエ」
「直せるんですか!?」
「はっ! 伊達にこういう店を切り盛りしとらんわ」
そう言うとお爺さんは傍らから道具箱を取り出すと、手慣れた動作で壊れた箇所の修復に取り掛かる。
ギュン、キィーン……
「すごい……」
壊れた箇所に鋼材を当て、道具箱から専用の工具を取り出し魔力を流し始める。すると工具が赤い光を発しながら高速で回転し、先端から発する熱と合わさることで鋼材を切断しながら溶かしていくと、ひび割れた個所を見る見るうちに修復していく。
『わたしにも出来るのかな』
「なんじゃ、やってみたいんか? そもそもお前さんはスキルを持ってるのか?」
「一応リペアのスキルは持っているのですが……全然使ってこなかったので、スキルレベルとか全く上がっていないんです」
「ふむ、まぁそういうもんだろ。とりあえずやってみろ」
「え、えーっと更に壊れたりとかしたら拙いのではないかと……」
「ワシが『やってみろ!』って言ってるんじゃ、やればエエ! そこから更に壊れたらワシが責任もって直してやる!」
「そ、そこまでおっしゃるのでしたら……」
『えーっと、まず工具に魔力を流してっと。感覚的にはこの前の魔石カイロに魔力を流した感じで良いのかな……』
ギュ……ギュイン……
「あれっ!?」
工具の先端にある回転する部分が少しだけ回ったかと思うと、すぐに止まってしまった。
「ははっ、魔力を流すのは出来ても加減が弱すぎじゃ! もっと魔力と一緒に工具に熱を起こさせるような強烈なイメージを足してみろっ!」
「は、はいっ!」
『強烈なイメージ……、工具に熱を……回転を!』
ギュギュギュィィィン!
「わわわわっ!」
「やり過ぎじゃ! バカタレ!」
「ご、ごめんなさーい!」
・
・
・
「はぁ、はぁ、なんとか……できました」
結局あれから二時間ほど時間をかけることで筒の修復作業は完了しました。
まぁ、なんとか出来たと思うけど……
「どんだけ時間かけとるんだか。ま、初めてにしては十分じゃがの」
えっ?
「そうなんですか?」
「お前さんが使った工具、修復用のソイツに魔力をまともに流すのに半年、制御しきるのに三年。キレイに修復するのに五年だ。それが数時間である程度出来とる」
おおっ!
「喜ぶなバカタレ。ワシが直した所と比べてみんか」
「えーっと……あっ」
自分なりにキレイに出来たかな~と思ったけど、よく見るとお爺さんとわたしが修復した所ではツヤというか表面に僅かだか差ができていた。
「だから『初めてにしては』と言ったじゃろうが。キレイには出来とるが、あくまでそのレベルでだ。まぁワシと比べるのはアレな話じゃがの」
「はい……」
お爺さんはそう言って工具を受け取ると、わたしが修復した部分をなぞるように少しずつ手を加え、最終的には直した箇所が分からなくなるぐらいにキレイになっていた。
「ま、こんなもんじゃろ」
「……」
そりゃキャリアとか違うだろうけど、ここまで差が出るのは悔しいというかなんというか……
「はっ! 一丁前に悔しがっとるようじゃの。何ならまだあっちに修復するパーツがあるからやってみるか?」
「はい! 是非!」
すごくやる気に火が付きました! ……ふふふ、午後のランニングどうしょう??
・
・
・
「もう魔力のカスも出ません……」
「当たり前じゃ! お前さんは加減を知らんバカか! アレから四時間もぶっ通しでやりよって!」
「うっ……」
いや、ほらだって目の前に取りかかれる課題があったら頑張りたくなるものじゃないですか!
「だからと言って箱一杯分ある修復物を、普通全部やっちまうか?」
「……すみません」
「だから謝る必要はないって言ってるだろうに! はぁ……ま、ワシとしては構わんがの。
ほれ、これでも食って少しは回復しとけ」
そう言ってお爺さんが出したのは茶色い物体X。禍々しくはないけど、食欲が進む色合いではないかな~と思ったり。
「不味いが今のお前さんには役に立つじゃろうて」
「はぁ」
パクっと
こ
れ
は
!
「……うをぇぇェ」
ま、まっずい! とにかく不味い! ダレていた気が引き締まるほどマズい!
こんなに不味い食べ物なんて知らない! 初めてこんなに不味いもの食べたし!
『なにこの不味さ!!』
上手く表現できないけど……しいて言えば、チョコレートだと思って食べたものの味がキュウリの青さと納豆の臭み、それに干さずに食べた渋柿の苦みに加え、砂糖何杯分と疑いたくなるような甘ったるさに……あぁ、もう判別つかないぐらい不味い!
「な、なんなんですかこの超不味い食べ物!? 生きてきた中でこれほど不味い食べ物なんて口にしたことが無いですよ……」
「ふんっ! お前さんの生きてきた時間なんてたかが知れているじゃろうて、そんな短い時間で口にしたことが無い食べ物なんざ吐いて捨てるほどあるわっ!」
た、確かにそうですが……いまだに咀嚼しつづけているけど、いつまで経っても不味いのが変わらないし。というか吐きたい。何をどうしたらここまで不味いものが出来上がるのかを知りたいよ……
「そいつはフロストバジリスクの心臓を天日干しした後に、ドライアードアサシンの実から作った発行酒に漬け込み、再び乾燥させてから煎じて固めたもんじゃよ」
「なんかもう訳がわからないですね、それ呪われていませんか!?」
しかも無駄に手間暇かかっていそうな感じだし。
だだ、
『なんとなく漢方というか、ああいった類いのものと思えばまだガマンできなくないかもしれない。それに……』
「なんですかこの回復力は! 空っぽだったMPがほぼ満タンですよ。青ポ何本分回復できてるんだか……」
「ほぼ満タンじゃと?」
「はい、吐き気と味さえ我慢できたら最高な回復薬ですね」
くっ、本当に不味くて倒れそうになるけど効果はバツグン……出来るだけお世話にならない方が良いモノだと思いました。
ノルマと言っても一週2話ですからね……
さて、ゴールデンウイークと言っても仕事の絡みやなんやかんやで気がつくと残り休みも数日。
……ヤバっ、まともに残弾増やせてないし!?
ネタはある程度出来ているので、それをコネコネしてから煮詰めるだけなんですがね(´・ω・`)
好物の文庫本なども読まずにいるのに、他の用事で時間をなくしているのが原因でしょうか。
とにかく! はよ書け私!
ネタが枯渇したら終わりなんや!
さ、次のアップまでに下書きをきちんと清書しなければ(`・ω・´)




