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113話 リアのこと(主人公視点ではありません)


「リアが持つ【クロススキル】というのは、彼女がこちらの世界に来た際に案内役(ナビゲーター)として対応した戦神フレリア様にいただいたものだったわよね? そして特別な条件下で所有できる特殊なスキルだった」

「ええ、そのはずです」


「そしてフレリア様より『スキルポイントマイナス10』という、自分のレベルが11になるまでスキルを得られないという枷。

 普通であればこちらの世界に来たくなくなるほどの厳しい条件だったけど、リアは頑張ってそれを乗り越えた」

「はい」


「そして乗り越えたタイミングで【クロススキル】のスキル名称が【速度の加護】から【独走する世界】という名称に変わり、その内容も【全てを超えろ】という抽象的な内容ではあったものの、一応確認ができるようになった。


 ……あくまでこれは推測の域を出ていないけど、この【速度の加護】という名前が一つのカギになっているような気がするの」

「【速度の加護】がですか?」



「普通、我々が加護という名のもとで【速度】と言う名称がつくのであれば、走ったり拳を振るったりする肉体的な速さが思い浮かぶけど、リアの場合にはそういったもので特筆するほど変わったものは無かったと記憶しているわ。

 故に、今あれだけ強くなったリアの【成長速度】こそが余計に浮き彫りになる、そこに集約されているような気がするの」


『成長速度か……』


「なるほど、そう言われてみればそうですね……俺がリアに会った時には、既にマチュアさんによって鍛えられた後だったので昔の事はわかりません。ですが、リアがこの世界に来てからの日数を考えてみれば、そんな短期間であれだけの強さを身につけたという【成長速度】は、言われる通りかなり早いと思えますね。

 そしてそれはPAの操縦についても同じこと……いや、ことPAの操縦ならばそれ以上に早かった」


 成長速度が早いことは羨ましい限りだとは思う。だけどそれはキチンと本当の自分にあったレベルになっているのだろうか……



「続けるわよ? もう一つ気になったのは【独走する世界】とクロススキルの名前が変わった後、明確になったスキルの説明である【全てを超えろ】という意味。これだけだとイマイチわかりづらかったけど、さっきの【速度の加護】というスキルの名前と絡めて見てみると、私の中で一つの事柄が浮かび上がってくるの」

「それは……」


「リア自身が強い意志を持って行う行動に対し、何かしらの加護……この場合、リアは己の技術向上を強く求めた結果としましょうか? それにより彼女は他の人とは比較できない速度で修練内容を昇華させ、自分を強く高めることができる……そういう風に思えるの。


 私との修練から自分自身を強くしたい、負けたくないという意思を持った事。

 そして先のPAでの戦闘において、結果的には勝ったものの不甲斐ない状態に対して奮起した事。


 それぞれリア自身が受けた結果から求めたものが、今のリアに……『圧倒的な速度でスキルを熟練化させた補正に』繋がっているんじゃないのかなって思えるの」



「圧倒的な速度でスキルを熟練化させた補正ですか……」

 マチュアさんに言われた内容を考えてみると、確かにその効果とリアの成長した内容とがシンクロしているような気がした。


 最初に神殿の内部で手合わせした際、確かにレベル7には思えない強さではあったものの、まだ納得できるというか理解できる範囲の強さではあった。

 少し前に戦ったあの時、最初に手合わせした時からある程度の時間が過ぎていたとはいえ、あの時感じた強さは以前とは別人と思える程にまで昇華されていたのも事実。


 そしてPAの操作技術。バンダナ野郎との戦いで、意図したものではなかったとしてもPHYシステムを使った操作は納得できたものではなかったはず。それにあの時感じたであろう自分の弱さ、足りない部分を補いたいと思う気持ちが強かったとしたら……


『初めて操作に対する説明を受けたリアが、操作難易度の高いハマルを扱いきれてしまった理由も納得はできるか。だが』



「確かに操作については今日だけで人並みにできるようになりましたが、射撃についてはそれなりに教えたはずですがサッパリでした。これはどういうことでしょうか」

「うーん、その辺りはまだわからない【何か】があるのかもしれないわね」


 他人のスキルということもあるし、如何せんそのスキル自体がまったく知らないものである以上、ここから先は何を考えても推測の域を出ないか。



「このことはリアに?」

「まだ教えない方が良いわね。もしかしたら既に自分で気が付いているのかもしれないけど、知らなかった場合には知ってしまった事で【その力】がおかしな方に変わってしまうかもしれないし。

 それと……この事については二人の中だけにしまっておきましょう。場合によってはリアに危険が及ぶ可能性があるわ」

「危険……ですか」


「もし私達の仮説が正しかったとした場合、考えようによっては全く予想もしていない方向に力が使われる可能性があるかもしれないわ。

 例えばリアに正しくない情報を伝え、普通じゃ百年かかっても身につけられないような技術を学ばせることで、本人が意図していない結果……それこそ大量殺戮の魔法を再現させるなんてことも可能になるかもしれない」


『確かにゲームの世界じゃ身の丈に合わない特殊な技術から不幸を生み出すなんてシナリオがあったりするが……リアがその対象になりえることもあるってことか』

 マチュアさんのその一言は自分の中にイヤな影を落とす。



「とりあえず当面は様子見をして、時が来たら私からでも話してみるわ……そういえばハルは暫くアルブラに滞在してから自分の国に戻るって話だっけ?」

「ええ、一応そのつもりではあるのですが今の話もそうですし、リアがどういう風に進んでいくのかに興味を持っているというのも素直な感想です」


「それだけ? もっとこう、リアに抱きしめられた時のような」

「ちょ、ちょっとそれは!」


 ロキシーに見られたゲーニスの一件、あの後マチュアさんからもからかわれるネタになってたが、久々に言われて思わず狼狽える。というか、


『今日のはトラブルの末とはいえ、もっと凄かったというか何というか……』

 必死になって押さえつけた先がリアの胸だったいうのは本当に危険だったと思う。リア自身もあんな状況だっから納得し、結果的に何も起こらなかったが、あんなラッキースケベなことが何度もあったら俺の身と精神がもたないわけで。



「あら、何か良いことでもあったのかしら~? やだ、お姉さん興味深々!」

「何もありません、何も!」



 はぁ、この人の鋭さは強さに比例して危険すぎるだろ!




いつも読んで頂きありがとうございますm(_ _)m


『PAW〜P・A・W・オンライン〜』、なんとか2週連続2話掲載できました\(*´ `*)/


確かに毎日アップしていた時と比べたら寂しいですが、なんとかこんな感じでもアップし続けられたらて考えます。



とりあえず次は来週火曜日にむけて、色々頑張りますので引き続きよろしくお願い致します ┏〇))


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