11話 魔法初体験
評価、ブックマークありがとうございますm(_ _)m
アクセス数が劇的に増加して、驚いてます。
この驚きを筆パワーに……あ、スマホでした(`・ω・´)
※1/15 文頭部おかしいところを修正しました
※1/21 誤字・脱字修正しました
詠唱に憧れるというか、昔は詠唱ありきだったような……
「わかりました、ではコーデリアさん一緒に来ていただけますか?」
「よろしくお願いします」
トーレさんについていくと部屋の一つに案内された。そこは倉庫も兼ねた一室で、様々な器材や衣料・雑貨まで色々な物がところ狭しと置いてあった。
「では、こちらに着替えて下さい」
渡されたのは神官服と似た作りのもので、若干古着感があったので聞いてみると「以前に神官見習いが着用していたものです」との事。
「じゃあ、ここをお借りして着替えますね」
「あっ、すみません気が付かず」
トーレさんが慌てて部屋を出ていくのを確認してから作業着を脱ぎ、神官見習いの服に袖を通そうとした時、足元をモゾモゾっとしたものが。
「ひゃっ!」
「どうしまし」
慌てて駆けつけたトーレさんがわたしを見て固まる。そして「すみません!」と言って急いでまわり右をした。
「いえ、こちらこそ急に声を上げてしまって」
身に付けているのは初期服とセットになっていた野暮ったい下着姿だから見られても……ねぇ。
どちらかと言うとNPCがこんな反応をしているAIの凄さにびっくりしたかな。
とりあえずササッと着替えを済ませ、おかしなところがないかチェックすると……少し胸とおしりがキツいような?
……くっ、まさか現実ですらしたことが無いダイエットの必要性が出るとは。
『ま、まぁこの服をずっと着るわけじゃないし』と無理矢理この問題から離れ現実に戻ると、相変わらず足下に一匹の猫が。
ただし、わたしが知る猫の二倍ぐらいは大きい?
ちなみにその口にはお亡くなりになったネズミがくわえられており、どうやらコレのアピールがしたかったようで、凄く自慢気な顔をしてこちらを見ている。
「あ、タマがコーデリアさんにアピールしていたのですね。そうやって建物内にいるネズミや虫を捕まえる大事な役目をしてくれるのですが、捕まえた際のアピールが必ずありまして」
トーレさんの存在に気がついたタマが、誇らしげに獲物を見せびらかしている……というか【タマ】がこの子の名前ですか。
「大きい猫ですね」
「いえ、この子は猫じゃないですよ、猫っぽいですけど魔物ですし」
「え?」
猫にしては大きいと思ったけど魔物!?
喉元をなでられゴロゴロと鳴くタマは確かに大きな猫といった感じはするけど……
「よくなついてますね、トーレさんはテイマーのスキルを持っているのですか?」
「いえ、昔自分が森で傷ついたタマを見つけて、こちらに持ち帰って治療している間にテイムできてしまってたようで」
スキルが無くても魔物をテイムできる! ……いや、テイマーになろうとは思ってないけど、ペット飼いたい計画としては、カワイイ魔物がいたらゲットできるチャンスが?
―――◇―――◇―――
「そろそろ治療部屋へ行きましょうか、皆さんも我々が来ることを待っていますよ」
「あ、はい、よろしくお願いします」
色々あってちょっと飛んでました。
トーレさんに連れられ神殿の軽治療用の部屋に到着。
この部屋は主に軽い怪我や毒などを治療する場所で、他にも重症者が担ぎ込まれる部屋などがあり、「切断や破裂などの大怪我は慣れない人にはショックが大きいので入らないように」と言われました。
確かにそういうのを見たらヤバいかも。
部屋に入るとすぐに怪我をした人が入ってきて、トーレさんによる魔法の治療が始まった。
「森で薪を拾っていたら急にワイルドドックが現れて」
腕を噛まれたおじさんの傷口を見てトーレさんはヒールを唱えると、さっきまであった傷口はすっかりキレイな状態へ。
「狩りをしていたら赤軍鶏の群れが」全身傷だらけになっている冒険者にはミドルヒールを唱えてキレイさっぱりになっていた。
VRMMOの世界とはいえ、怪我や病気は普通に存在し、傷口もリアルに出血と痛々しい状態が再現されている。
『リアルさが重要なコンテンツであることはわかるけど、ここまで再現する必要はあるのかな?』
そんな考えをしていると「コーデリアさん、この子にヒールを」とトーレさんから声がかかり、目の前で怪我をして泣いている子をわたしが治療することに。
ビッグフライという大きな虫の魔物に襲われかけ、慌てて逃げ出す際に転んで怪我をしたらしく、足には青く腫れ上がり出血した箇所が。
「大丈夫、お姉ちゃんがすぐに治してあげる」
魔法はイメージをしながらその名前を唱えるだけだったはず。
『とにかくこの子の傷を治してあげたい!』
《ヒール》
患部の近くに手をかざし、癒しをイメージして唱えた魔法は成功し、傷があった箇所はまるで怪我がなかったように、すっかりキレイになっていた。
『よく考えたら魔法使うのこれが初めてだっけ』
暴発とかはしないだろうけど、イメージ通り傷を癒すことができてちょっと安心したかも。
PAWの世界の魔法は、その効果を思って魔法名を唱えることで発動する。
だからその【思い】が強くなることで魔法の威力も上がることから、魔法を唱える際にイメージ強化を目的とした詠唱をする事もあるみたい。
勿論、単純に上位の魔法を唱えた方が威力は高いので、ファンタジー感の演出だと揶揄する人がいるのも事実だけど、わたし的には無くてもいいかな~
……ちょっと恥ずかしいし。
「お姉ちゃんありがとう!」
さっきまで泣いていた子がニッコリ笑顔でお礼を言ってくれるのはうれしいな。
「大丈夫そうですね」
トーレさんは頷くと、怪我で並ぶ人達への治療指示を次々わたしへ出し始めた。
しかし悲しいかな所詮はレベル1の冒険者。ヒールを二十回ほど唱えると、MPは枯渇状態に。
するとトーレさんは棚を指差し、
「あそこにある青いポーションが入った小瓶を一口飲んでください、二百ポイントぐらいならそれで回復できます」との事。
『ちょっと疲れたし自然回復するまで休憩かな~』とも思っていたのですが、どうやらそんな暇は与えてもらえないようで……
アクセスがグッと上がる要因ってなんだろ?
まぁ、嬉しいことにかわりはないんですけどね٩(ˊᗜˋ*)و