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103話 ゲーニスからアルブラへ


「色々とお世話になりました」


 わざわざ村の外まで見送りに来てくれた村長さんにお礼を言うと馬車に乗り込む。

 今はファナさんが言っていた通り御者をし、その横にはロキシーが座っている。


「アルブラについて色々聞いておきたいから。あとPAの修理もどこでやれるか調べてておきたいし」

 と、さすがとしか言いようがない行動力。まぁ自分のPAが壊れて(そうなって)たら気にするのは当たり前だよね。


『わたしにリペアのスキルがあっても、あそこまで大破したPAを修理することはできないし』


 正直、スキルを持っているのにロキシーの役に立たないことが腹立たしい。ロキシーは、


「またその時が来たらお願い」

 と優しいことを言ってくれたけど、やっぱり悔しいのに変わりはない。



 一応わたしもゲーニスの端っこで自分のPAを出して破損箇所のチェックをし、壊れている部分があれば直すことでリペアの経験値を上げようと思ったけど、PAが持つ自動修復機能で治ってしまうレベルの破損だったようで、ここでも出番はなし。


『というか、このスキル出番はあるの!?』



 さて、一方馬車内にはマチュアさんとハル、そしてわたしの三人が。


 たぶん大丈夫なんだろうけど、別段何も話すことがないと昨日の(わたしのアレの)話になりそうな気がして、つい自分から進んで話しかけていく。



「そ、そういえばハルが乗ってたPA……シリウスだっけ、アレってどんなPAなの?」

「ああ、あれなら狙撃型のPAってことになっている」

「なるほど、狙撃型のPAね」


 ・

 ・

 ・


『ん?』



「いやいやおかしくない? 確か狙撃って映画やマンガだと高い建物の見えないような場所に隠れながら撃つんだよね?」

「まぁ、それが普通だな」


「でもハルっておもいっきりフォーマルハウトの正面に立って、手にしていた盾で凌いでなかった!?」

「まぁ、装備しているからな」


「というか、あの戦い方って狙撃型の戦い方じゃないよね?」

「まぁ、普通に近距離だったな」


「まさかハルのシリウスは近距離型が得意な距離だとか」

「いや、装備しているライフルのレンジは普通に遠距離どころか超遠距離だな」



 使い方間違っているというか、根本的に色々とあり得ないことしていませんか!?



「まぁ、他人から見たらおかしな事かもしれないが俺とシリウス(アイツ)が良いと思えば関係ないさ」

「いや、もちろんそうなんだけどさ。適正な距離で戦わなくても強いってのが凄いなって」


「確かに狙撃用のライフルもあるから、その距離で戦うのが強いことは間違いないだろうがな。でも、俺はガッツリ戦いたいし、シリウス(アイツ)もそれに応えてくれている。

 だから強さは俺だけのものじゃなく、シリウス(アイツ)が『俺と一緒に強くあろう』としてくれているから……お互いが強くありたいと思うからだろうな」



『すごいなハルは……』


 わたしだってシーレフを出るときに『強くなりたい』と思っていたはずなのに、まだまだハルの足元どころか影にすら触れていない気がする。



 というか、


『……あっれ、ハルってば全然普通に喋っているよね?


 い、一応わたしはかなり気を使って話しかけたというか、変な風に取られないよう気を付けているけど……ハルにとって昨日のアレ(女性からのハグ)ぐらいは慣れたモノだったとか!?』


「……この女ったらしが」

「えっ? えっ?」



【次はもっと大胆に行くべきね】

『そうね、もっと……』


「って、いやいやいやいや」


 つい声に出しちゃったから、周りがビックリした目でわたしを見ているし……



『な、何おかしなことを考えているの!?』

【えー】


 わたしの中の【わたし】に心の中でツッコミだけして静かに馬車の隅っこに移動する。まぁ馬車の中だから逃げようもないけど。


 ……うぅ、恥ずかしいよぅ。


 ・

 ・

 ・


 その後、これと言って事件なども起きることなくキャンプ予定地に着いたことで、ゲーニスからアルブラへの移動一日目の行程が終了となった。


 夕食の作成はロキシーとハルが担当し、わたしはマチュアさんに呼ばれて近くの川へ行くと、一緒に川の中へ裸足で入るように指示が。

 水深は大したことがないけど、緩い流れのせいか川底が藻で滑るというか、ちょっと踏ん張りがきかない感じ。



「今から修練を行うけど、今後の修練は今までよりもハードに、レベルで言えば三段階は上げるからよろしくね」

「さ、三段階ですか!?」


 修練の内容が一段階変わるだけでヒィヒィなのに、二段階どころか三段階だなんて……



「蜥蜴男に不意討ちもらって腕切断になったんでしょ?」

「ええ……はい」

 まだあの時の痛みは思い出せるぐらいに鮮明で、話をしていただけで左腕が疼くような気がする。


「ちなみに蜥蜴の獣人の種族特技に幻覚滅身(ミラージュボディ)って技があるから、リアがやられたのはそれね。

 あれはそれなりのレベルが無いと使えない技だったはず。まぁ、それなら今のリアの技量じゃ見えなかったのも仕方ないってところかな」


「そんな凄い技だったんですね」

 地味に強かったのは間違いじゃなかったんだ……イヤな奴だけど。



「臭いも熱も、もちろん視覚的な意味からも見つけるのは不可能ね。ただ【攻撃をする】行動においてのみ解けるから、隙はそれぐらいよ?」


 うーん、よく死ななかったと自分を誉めて良いかも。


「そうね、誉めても良いけどそれよりも惜しかったと言いたいかな」

「惜しかった……ですか?」



 誉めてくれているようだけど『惜しかった』ってなんだろう?


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