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101話 不意討ち


 夕方。

 今日の晩御飯はロキシーが作ることに。わたしは一応監修というか講師? とりあえず危なさそうな時だけ口を出すだけというルールです。


「……」

 ロキシーも時より不安げな表情を見せるけど、こういうのは経験しないと上手くならない事を知っているから、黙々と材料を捌いたり皮を剥いたりを悪戦苦闘しながらもこなしている。


 ちなみに作っているのは野菜のスープと鶏肉のソテー。材料も買うところから彼女自身が目利きして選んだものです。


「味をみてもらっても」

「オッケー」

 ロキシーは小皿にスープを少し入れると、わたしへ手渡す。


『匂いは問題なし。味は……』


「うん、これなら合格点が出せるよ」

「ありがとうございます」


 お礼を言うロキシーは、普段では見せない綻んだ表情で喜びを表していて、見ているこちらもほっこりとした気持ちに包まれる。

『お祖母さんもわたしの事をこんな感じでみていたのかな?』



 食卓に並んだ料理。スープの具材は大きさが不揃いだったりすけど、初心者が作ったなら上出来なレベル。

 テーブルについた皆も口々にロキシーを誉めていて、わたしもなんだか鼻が高いかな~


 実際、マチュアさんもおかわりしていたし、ハルもいったい鶏肉何枚食べるのだか……食べ過ぎじゃないの? わたしが作った時よりも食べているんじゃない?



 ズキン



『あれっ、まただ。なんか変な感じ……』

 うーん、まだ本調子じゃないのかな?


 ・

 ・

 ・


 夕食後、お茶を飲みながら山神様がいる洞窟へ行く話を改めて行い、メンバーについてもファナさんとロキシー、そしてわたしの三人で行くことを説明すると、予想通りハルが食いついてきた。


「やっぱり俺もいった方が良いだろう、山なら職業(ジョブ)があるから俺がいれば何かと役立つし、万が一何かあった時にも」

「大丈夫だよ~ハルは心配性だね」

「そりゃ心配にもなるだろ、なんだかんだ短くない期間一緒にいるわけだし」


『短くない間一緒にいて心配になる……それってわたしの事を信用できないって意味なのかな』 

 さすがに口には出さないけど、ちょっとだけムッとした気持ちになり、妙にイライラする。

  ……カルシウム不足かな?



「ハルは本当にリアの事が心配なんだよ」


 うっ、なんかロキシーがこちらの奥底を見透かすような目付きでわたしを見ている。そして周りもわたしを見て……

『うーん、なんか微妙な空気が』


「ちょ、ちょっと疲れたから先に部屋へ戻りますね」


『こういうときは逃げの一手!』

 わたしは席を立つと、そのまま逃げるように自分の部屋へ。そしてベッドに直行すると、そのまま布団を頭から被って気持ちの整理をする。


『……やっぱり何か変なのかな?』

 よくわからない気持ちがなかなか頭から離れず、スッキリしない自分に対してイライラする。


 とりあえずもう少しだけ気持ちを整理したら、ちょっと早いけどログアウトしようかな。



―――◇―――◇―――



「俺、なんだか避けられてませんか?」

「リアにイヤらしい事したとか?」

 私の問いかけに、ハルはおもいっきり首を振って否定する。


 ……そこまで否定しなくても。あ、友達の二人が怖いって? まぁ、あの二人なら確かに怖いかもしれないけど。



「でも、いつものリアと少しだけ違う感じ」

 あら、ロキシーもそう感じたんだ。ふむ……こうなったら、


「ハル」

「はい」

「突撃」

「はぃ?」

 うん、目を白黒させるハルはカワイイなぁ。まぁ年下だから興味ないし、私には愛しの旦那様がいるから必要ないけどね。


「とりあえず、このままじゃ埒があかないから突撃」

「えええっ!?」

「大丈夫、ホネは拾う」

 ははっ、ロキシーまでハルに追い撃ちしてるし。


「まぁ、ハルも気持ち的にスッキリしたいでしょ?」

「それは……そうですが……」

 あぁ、もう!



 バシッ



「痛っ」

「ここは一つ頑張ってきなさい!」

 ハッキリしないハルに発破をかける意味で背中を叩いたけど、そんなに痛くないでしょうに。


「……わかりました、ちょっと聞いてきます」

「うん、いってらっしゃい!」

 さてはて、白と出るか黒と出るか……んふふ。



―――◇―――◇―――



「はぁ……」

 とりあえず行ってこいって言われてもなぁ、どう何を話せば良いのかわからないし、そもそも機嫌を損ねている要因すらわかっていない。

 避けられているとしたら俺が何かヤラかしたからだという事なんだろうが……思い出せない。


『うーん、これが由佳だったらアイスとか甘いものでも渡せば機嫌も治るのだが……』

 現実世界ならコンビニスイーツでも持参したい所だが、さすがこっちの世界にはそんな便利なものなんてないし。


 実際のところ、知らない内にリアに何かやっていたとしたらどうにもならないからな……とにかく謝るしかないよな。



 コンコン



「はーい」


 リアの部屋に着きドアをノックするとすぐに返事が。思ったより普通な感じだけど、扉が開いた瞬間に気まずい空気が流れたらイヤだな……


「あ、ハル」

「よ、よう!」

 少しだけ開いた扉から顔を出したリアは、予想外に普通すぎて思わず面食らう。やっぱり気のせいだったのか?



「どうかした?」

 いつもの神官服とは違い、ちょっと薄めの部屋着を着て髪の毛を束ねたリアは、なんだか新鮮な気もしたけど……意識が戻らずベッドに寝ていた時も同じ服装だっかな。


「山神様の所に行く件、来るなと言われても行くからな」

「わざわざそれを言いに来たの?」

「ま、まぉあとはなんだかリアが俺を避けているような気がしたからさ……何かやらかしてら謝ろうと」

 俺がそう言うと、リアは少し不思議そうな顔をしてから


「ぷっ……あはは、別にハルはなにも悪いことなんてしていないよ」

 と、笑いながら扉を大きく開き、


「あ、中に入る?」

 と笑顔で誘ってくれた。



「い、いや、もうそろそろログアウトするからさ」

 魅力的な誘いだったけど、さすがにそこまで図々しくはなれない。


『とりあえず大丈夫な事は確認できたし、これで安心してログアウトできる』


「じゃ、また明日な」

 そう言って後ろを向いた瞬間、



 トン



「うぇ!?」

 背中に伝わる温かくて柔らかな双丘が、ほぼダイレクトに伝わるこの感触って……え?





いつも読んでいただいてありがとうございます!



なんだかんだで100話掲載できました(*´▽`*)


……でも年度末進行によってネタを考える時間も指を動かす時間もほとんどない状態に orz


なんとか頑張りますが、たぶんあと数話でストックも底をつきます。

できるだけ100日連続掲載をしてから、2・3日に1話掲載のような形で継続掲載ができればと考えておりますので、引き続き読んでいただければ幸いでございますm(__)m


でも年度末終わっても、そのブリ返しが来る……きっと来る…… (´・ω・`)

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