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「誰だって思うよ 。死にたくない って」
街を歩いているとそんな言葉が耳に飛び込んできた。本当に誰でも思うのか少し考えてみるが、上手く答えが出せない。
少なくとも生まれての子が、そう感じているとは思えないのだ。死にたくないと思うのではなく、きっと大きな声を上げて泣くだけだろう。
それでは何時?なぜそう考える?
視線が目の奥に引きこもり、自問自答で思考が深く埋没していく。しばらく考え込んでいると、おもむろに口から漏れ出た。
「もしや死とは、言葉と意味を理解して初めてわかるものなのか?成長で得られる知識によって死を理解するならば、なにも知らない赤子が死を恐れないのも納得できる・・・」
中々面白い。時折人は死を恐れない行動をする。推測が正しければ、それはできて当然。もともとそんな恐怖はもってないのだから。
「やはり人を理解するには人の中にいるのが一番だな」
得心がいったように足取りが軽くなる。背中を押されるように足早に帰路へついた。
―ある賢者の映像記録NO.13
好きが高じて書き始めた処女作です。