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日常からの違和感

「・・・なさい!」

  もはや何度目だろうか、一日の始まりが耳元で絶叫が響くのは。しかし、ここは敢えてスルーさせてもらって心地よい二度寝に徹する。


  「起きなさいって言ってるじゃない!和矢!」


  バシン!と背中に痛みが走る。叩かれたか、流石にこれ以上叩かれたくないため抵抗を諦めて体を起こす。俺を心地よい二度寝から引き剥がしたのた犯人は、、、


「今日の朝練は監督が見てくれるから急いで行くって言ってたよね?メールを送っても返事がないからまさかとは思ってたけど、、。」


 ...前言撤回。犯人扱いしてしまった俺がいけませんでした。持つべき幼馴染とは素晴らしいものです。そう思いながらベッドから跳ね起きて部屋から幼馴染であり、隣の住人である藤咲未来を追い出し急いで着替える。準備を終えて玄関まで慌てて向かうと母親がニヤニヤと笑みを浮かべていた。


「未来ちゃん今日もわざわざありがとうね。」


  こっちこそが犯人であった。起こされた身だから文句が言えないのが口惜しい。


「いえいえ。隣の部屋に住ませてもらっているだけでありがたいのに、色々と身の回りまでお世話になっているので、これくらいなんでもないですよ。」


  笑顔でそう答える未来を横目で見つつ靴を履いてカバンを担ぐ。


  「「いってきまーす!」」


 玄関を出て駐輪場に向かって行ったものの、何かを忘れた。...鍵、、、忘れた。


「ほら、和矢。鍵忘れてたよ。」


  さも当たり前のように差し出される鍵を受け取ると思わず苦笑いを浮かべる。


「お、ありがとな!ナイスタイミング。」


 軽く礼を言って学校へ向かってペダルを踏みこむ。



  鈴本和矢と藤咲未来は幼馴染であり、幼稚園よりも前からずっと一緒に居たらしい。

 彼女の両親はまだ小さい時に、母親は病気で、父親は交通事故で亡くなったいた。親戚も彼女を養う余裕が無かった為に、俺両親が彼女の両親と親しかった為、彼女を引き取ったそうだ。


 俺達が中学生の時に経緯を話してくれた時の未来はなんとも言い難い様な反応であり、大きなショックを受けていなかった様に見えた。


 流石に高校生にもなって同棲のような生活は駄目だと両親からの提案で学校は変えずにマンションへと引っ越し、隣の部屋を彼女に条件付きで与えた。


  高校は同じ所にすること、部活は同じ競技であり、男女混合で行われるものをすることが条件であった。彼女は不満も何も無く二つ返事で答えた。

 同じ高校に行き、中学からも続けていた卓球部に入部した。俺達はそれなりの結果を残しているので監督の指導も熱が入るわけで、、、

 朝練にすら監督が出張ってくるというので早起きして必死にペダルを漕ぐ2人であった。



  無事に朝練を乗り越え、若干バテ気味の中ぐったりとしながら授業を受ける。

  半分意識が飛び立とうとしていたら横から突かれて現実に戻る。隣を見ると申し訳なさそうな顔をした未来を見て、何も言わずにペンと消しゴムを渡す。

 家に帰ってもしっかりと勉強をするらしい彼女は筆箱を家に忘れてきたようだ。


 その後はいつも通りの日常を送り六時間目の体育でのドッジボールをクラスメイトと楽しんでいたのだが、未来が体調不良を訴えて保健室に行くようだ。付き添いは誰がするという話になると全員からの様々な視線が向く。男子からの冷やかすような目や、呪い殺さんとばかりの目。女子は女子でヒソヒソと楽しげに見てくる。

 もはや慣れた視線をスルーして彼女を保健室に連れていく。


  未来には俺から監督に伝えるから今日は部活は休んで早退を提案してみたが俺の部活が終わるまで待つと珍しく断固として譲らなかった為、若干押し切られた感じになったがその後はしっかりと眠ってくれた。


(未来は今朝からも特に体調が悪そうには見えなかったけどなぁ、疲れが急に出たんだろうな。)


 若干疑問に思いながらもホームルームを終えて、部活へと向かった。





 まさかこの後に何が起こるのかも知らずに、、、

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