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 真っ直ぐ家に帰るのは躊躇われた。できれば仕事でもして気を紛らわせたいところだが、悩みの種が仕事の上に、主任がいるあの場所では集中ができない。今まで落ち込んだときはいつも仕事をしてきたから、他にとなると誰かと飲みに行くくらいの気分転換しか思いつかなかった。

 自転車置き場で、携帯電話を開く。電話帳のページをめくっていき、呼び出しに応じてくれそうな友だちを探す。でも、今日は長期連休明けだ。みんな私と同じで、疲れもあって早く帰りたいはずだ。近くに住んでいる女友だちの電話番号を表示させたところで、迷う。

「永原さん?」

 棒立ちのまま動かない私を不審に思ったのか、背後から話しかけられた。

「何かあったんですか?」

 佐伯くんは周りをうかがうように私に近づく。

「……いや、何でもない。ちょっと、友だちに連絡とろうかなと思ってて」

「あー、そうですか」

 何でもないと言ったのに、彼は私の前まで歩いてきて立ち止まる。

「今ちょっといいですか? 今日のことなんですけど」

「うん?」

「俺もあの最終原稿チェックしたのに、ミスに気づかなくて、すみませんでした」

 きちんと頭を下げてくるその姿が意外で、思わず私は後ずさってしまう。

「永原さん、言えば良かったのに。自分だけのせいじゃないって」

「……ううん、私が無理に頼んだ仕事だったから。逆に気を遣わせることになっちゃってごめんね」

「いや、そんなふうに思わないでください。」

 主任の元カノの話も聞いていたから、佐伯くんに対する印象があまり良くなかった。普段は一課と二課で仕事も違うし、こうやって会話していること自体が珍しい。

 気持ちがほんの少し軽くなり、開いていた携帯電話をぱちんと閉じた。どう考えても今日みたいなタイミングで誘われても、友だちも迷惑だろう。

「あれ、いいんですか?」

「うん。実は真っ直ぐ帰りたくなくて、飲みに誘おうかと思ってたんだけど、やっぱり休み明けだし困らせるかなあと」

 私の言葉を聞いて、佐伯くんは堪えきれないように笑い出した。

「永原さんでもそういうことあるんだ……結構可愛いんですね」

 突然可愛いなどと言われ、喉が詰まる。

「……え、なに、何で?」

「だって、普段仕事ばりばりやってて、すげえできる人なのに、弱いとこあるんだなと思って」

「え……えー?」

 それで弱いなんて言われたら、佐伯くんは私を誤解している。そんなことしょっちゅうだし、今日は主任に怒られるのが怖くて逃げ回っているし。

「私だって、そういうこと普通にあるよ」

「いや、すみません。あ……そうだ、じゃあ俺と飲みに行きません?」

「へ? ……でも」

「まあ明日もあるんで、そうだな、二時間だけ」

 二時間だけと言われて、腕時計に目を落とす。ただ今、19時すぎ。二時間だけなら、睡眠時間に影響しない程度には家に帰れるだろう。

 せっかくだしと思い、私はその提案に頷いた。


 平日の夜ということもあり、会社の近くの居酒屋は空いていた。四人掛けの席に通され、私と佐伯くんは向かい合わせに座る。そういえばこの間お昼を一緒にしたときも、向かいだったなあと思い出された。

「ビールでいいですか? 何か嫌いなものあります?」

 二時間しかないと思っているのか、てきぱきと飲み物と食べ物を注文してくれる。確かに年下だが、こういうところは彼のモテる要因だろう。女の人の扱いにも慣れているし、気遣いもできる。

「永原さんて」

 私はビールと一緒に出てきた枝豆に手を伸ばそうとしたところだった。

「彼氏とかいないんですか?」

 いるんですか?じゃなくて、いないんですか?って聞かれるのが妙に引っかかってしまう自分が悲しい。多分彼自身は特に意味を含ませたつもりはないんだろうけど。

「いないですよ、残念ながら」

「ああ、やっぱり」

 失礼な!と枝豆を投げてやろうとしたら、慌てて止められる。

「違う違う、そうじゃなくて。さっき、友だち誘おうとして迷ってたでしょ? 彼氏いたらそっち頼るだろうし、休み明けでも迷わないだろうなと思ったから」

「ああ、なんだ……まあそうだよね。そういうとき彼氏いたらいいよね」

「結構長いこといないんですか?」

 そう言われて、前の彼氏と別れたのはいつだろうと思い返す。遠い昔なのが情けない。

「三年前、くらいじゃないかな。別れたの」

「へえ。誰かいい人いないんですか?」

 誰かいい人。

 ふと主任の顔がよぎるものの、今日の出来事で完全に信頼を失ったと思う。私の気持ちも盛り上がっていたものの、完全に行き場をなくしてしまった。

「いないよ。出会いないし」

「出会い……か、誰か紹介しましょうか?」

 そんなことを言ってくれると思わなかったので驚いた。私は所詮年上女だし、もうすぐ三十路だし、有り難がれるような容姿もしていない。主任が私の顔をタイプだと言ったのも、変わった趣味をお持ちだ、と感心してしまったくらいなのだ。

 そんな私の心を表情で読み取ったのか、目の前の佐伯くんはにやりと笑う。

「俺の友だちとか、知り合いとか、年上好きなやつ多いんですよ。いや、ていうか、ブームです」

「ぶ、……ブーム?」

「はい。流れきてますよ、永原さん」

 それは、ブームが去ると捨てられるのでは……という疑念がよぎる。

「まあ俺は、年下のほうが好きですけど」

 皮肉な付け足しをしたあと、ぐうっとビールを飲み干す。

 そういえば、彼は鈴木さんを狙っていたのだ。


 お尻のあたりで振動を感じ、無意識に鞄を探る。手の中におさめてもなお、震え続けるそれに私は固まるしかなかった。

「電話ですか?」

 動かない私を不思議に思ったのか、佐伯くんが私の手の中に顔を寄せる。

「石尾……? 主任?」

 電話の相手は主任だった。しばらくして留守番電話サービスに変わり、とりあえずホッとした。

「折り返したほうがよくないですか? 仕事のことかも」

 確かにそうだ。

 そうなのだけれど、声には出さずに唸る。

「ごめん、ここでかけてもいい?」

 佐伯くんが頷いたのを確認してから、仕方なく着信から発信に切り替える。

 席を外すべきなのかもしれないが、どうせ二人きりで飲んでいるのだし、仕事のことなら会話の内容を聞かれても差し支えないと思った。むしろ、佐伯くんがいたほうが、自分が冷静でいられるから助かると思った。

 何度かコールしたあと、主任が電話に出た。

「もしもし、あの、永原です。お電話いただきましたか?」

「あー、ごめん。ええと、今どこ? 家?」

 主任の話す背後からは、がやがやと音が聞こえ外なのが分かる。さきほどは気にしなかったが、まだ会社にいるなら携帯電話ではなく会社の電話からかけるだろう。会社を出ているということは、仕事の話ではないのだろうか。

「まだ、外です」

「そうなんや。ちょっと会われへん? どこらへんにおる?」

 ふと佐伯くんと視線が合う。正直に言うべきか迷ったが、嘘をつく意味もないなと瞬時に判断した。

「会社の近くの居酒屋です」

「居酒屋……? あ、ごめん。誰かと一緒? 会社の人?」

 佐伯くんの名前を出してもいいのだろうか。何となく躊躇われて、にごすことにした。

「後輩の子です」

「後輩? 広報の? 横山? 高橋?」

 矢継ぎ早に問われた上、男の後輩の名前ばかりが出てきて戸惑う。

「……佐伯くんです」

 隠しても仕方ないし、特にやましいことはない。何よりここで無駄な嘘をついたら、佐伯くんに変に思われてしまう。

「さ、えき……? はあ、そうなん……ええー?」

「あの、用件は、お急ぎですか?」

「お急ぎやっちゅうねん。どこの居酒屋?」

 声色でイラついているのが分かった。今度は迷う暇も与えられず、居酒屋の名前で告げる。

「今から行くわ。五分で行ったるから、帰らんとそのままおれよ、ええな」

 ブチッと電話が切られ、私はゆっくりと携帯を自分の耳から離す。

「何か……今から主任が来ることになっちゃった……」

「マジですか? え、主任と永原さんってどういう関係? 仕事の話じゃなかったんですよね?」

 あからさまに勘ぐられ、どう答えていいのか分からない。まさか数日前まで口説かれてましたなんて言うわけにもいかない。

「関係って言われても……ただの上司と部下だよ。佐伯くん、気まずかったら帰っていいよ」

 二人きりは避けたいが、この三人というのもこれ以上ないくらいの気まずさだ。

 佐伯くんと主任は過去に因縁があることも大きい。でも彼は私の申し出には乗らなかった。

「あの主任のことだから、まさか説教とかじゃないでしょうけど、仕事のことなら俺だって関係する場合もあるし、一応いますよ。まだ一時間しか経ってないですしね」


 本当に五分後、主任はやって来た。息を切らせながら私たちを見つけると、呼吸を整えて近づいた。

「……お疲れ」

 まずそう言うと、空いている席二つに視線を走らせる。

 どちらに座るかなと思ったが、選んだのは佐伯くんの隣だった。

「何、二人で楽しく飲み食いしてんねん」

 四人掛けのテーブルには、二つのジョッキと、食べかけの料理がいくつか。

「……誘えばいいやん、俺とか横山とか高橋とか鈴木とか俺とか」

 俺が二人いるような。

 冷静にそうツッコもうかと思ったが、そんな状況ではないことを思い出しやめた。佐伯くんは必死になっている主任を驚いた様子で見た後、静かにメニューを差し出した。

「何飲みます?」

「え? ああ、ビール」

「他何か食べますか? 俺らの食べさしで良ければ残ってますけど」

 主任は大きく首を横に振った後、何も言わない。佐伯くんは通りすがりの店員さんを呼び止め、ビールを一つ頼んだ。

「大阪から戻られたばかりで疲れてないんですか?」

 一応上司だからと思っているのか、気遣うように佐伯くんは話しかける。

「……別に、平気や」

「そうですか。俺らもあと一時間くらいでは帰ろうと思ってたんですけどね」

「あ、そう」

 空気が重い。いつもの饒舌な関西弁はどこへ行ったのか、主任は佐伯くんの言葉に軽く相づちをうつばかり。私は居心地が非常に悪く、もぞもぞと動いたり、意味もなく枝豆を持ったり置いたりを繰り返していた。

 時々、主任の鋭い目が私に突き刺さる。何かを言いたげに見つめられる。

 佐伯くんは隣だからその仕草には気づいていないようだれど、真向かいにいる私には主任が意図をもってそうしているように思えて仕方なかった。

 ようやくビールが到着し、改めて乾杯をする。

「二人で、何の話してたん?」

 ジョッキから口を離した主任は、そう切り出した。

 私と佐伯くんは目を合わせたが、すぐにお互いそらした。

「いや、他愛のないことですよ。そうだ、永原さんが出会いがないって嘆いてたんで、俺の友だち紹介しますよって言ってたんです」

 その瞬間まずいと思ったけれど、もう遅かった。きっと佐伯くんは悪気なく、場を和ませようとして言ったのだろうけれど。

「は……?」

 ぽかんと口を開けたまま、主任は佐伯くんから私へと視線を移す。

「……永原さん、出会い、ないのんか」

 声が寂しげに聞こえるのは、気のせいなのか、分からない。いつも通りだと言われれば、そんな気もする。

 私は肯定することも、否定することもできなかった。

「そうなんか」

 何も言わないことが、肯定だと思ったのだろう、主任は一人で頷きながらまたビールを口にする。少し口に含んで、しばらくしてからゆっくりと飲み込む。何かを考えているようで、その気持ちを教えてほしいけれど、私にその権利はない。

「……良かったやん」

 その呟いた言葉に、私は頭をがんと殴られたような衝撃を受けた。

 もう私には気持ちがないのだろうか。散々自惚れさせたくせに、口説きまくるとか言ってたくせに、どうでもよくなっちゃったのだろうか。でもそうだとしても全部自業自得。仕事でミスして主任に迷惑をかけたこともそうだし、佐伯くんの言っていることだって嘘じゃないのだ。紹介すると言われたとき、きちんと断っていればこんなふうに話題になることだってなかった。

「そういえば主任は彼女いないんですか?」

「大阪んときはおったけど、その子と別れてからはおらんわ」

 ショックを受ける私をよそに、男二人は会話を続ける。主任は相手が佐伯くんだなんてまるで思ってもないように、あっけらかんと答えている。

「ふうん、主任モテそうなのにな」

「佐伯ほどモテへん。ちゅうか、俺モテたことなんか人生で一回もあらへんわ」

「俺も別にモテませんけど」

 淡々としている会話なのに、私には綱渡りをしているようにも感じられた。主任の話では、佐伯くん自身は主任の彼女を獲ったという認識はないはずだ。

「俺ちょっと、トイレ」

 主任はおもむろに席を立つと、入り口近くにあるトイレへ行ってしまった。

 佐伯くんは主任が完全に離れたのを見計らい、私を見て言った。

「……実は、主任の元カノが別れる原因、俺なんですよね」

「え?」

 私の様子は、彼からしたらその事実に素直に驚いているように見えただろう。でも実際は、事実を彼が知っていたということに私は言葉も出なかった。

「前に言いましたよね。俺、新人のとき大阪で主任の下にいたんです。そのときよく顔を出してた取引先の事務さんと仲良くなって、付き合うことになったんですよ。でも、しばらくして俺の希望が通って本社に行けることになって……そのとき初めて彼女から聞いて知りました。実は主任とも付き合ってて、俺と付き合い始めてから別れたって。それは俺を選んだっていう意味で、だから本社には行かないでほしいって」

 心臓がうるさい。でも、聞かずにはいられない。

「俺は、今だから言えますけど、そんなこと聞かなかったら遠距離になっても彼女とやっていくつもりはあったんです。でも結局本社に行く前に別れて、時々その子とも連絡とってたんですけど、主任はかなり彼女に惚れ込んでたみたいで、その後よりを戻したって」

「……そうなの?」

 主任は前に、何回か話し合ったけれど終わった、と言っていた。

「だからまだ忘れられないんじゃないかなと思って、彼女のこと。あんなふうにモテないとか言ってるけど、そんなことないですもん。バレンタインとかすげー数のチョコレート毎年貰ってるって有名だったし。それなのに彼女作らないところをみると、引きずってんのかなって思うんですよね……」

 彼女とは別れたあとによりを戻していた。

 今もまだ引きずっている。

 主任本人の口から聞いた訳じゃないから、真実かどうかは分からない。信じるのはまだ早いって、心の中で誰かが言ってる。でも多分それは、いつもみたいに都合のいいように解釈したいもう一人の自分が、悪い癖を出しているだけだ。主任と佐伯くんの話は通じる部分もある。この状況で、佐伯くんが私にでたらめなことを言うとも思えない。


 その後何を話したのかもうろ覚えのまま、居酒屋を出た。ぴゅうと風が吹くも生温かく、酔いを冷ましてはくれなかった。

「じゃあ、俺地下鉄なんで」

 駅のほうを指差して去って行く佐伯くんを、私と主任は並んで見送った。私は自転車で帰るが、主任はどうするのだろう。地下鉄なら佐伯くんと一緒に帰るはずだが、と隣をうかがう。

「……永原さん、自転車?」

「はい」

「俺、タクシーで帰るわ」

 やはり疲れているのだろう、声は少し掠れていた。

 タクシー乗り場はすぐそこ。なのに主任はここを離れようとしないので、私も居酒屋の前に停めてあった自転車のハンドルを持ったまま動けなかった。

「あのさあ」

 主任は首筋をさすりながら、俯いたまま喋る。

「どうしても、今日中に謝りたかってん。何言うても言い訳になるけど、俺やって永原さんが悪いとか思うてないから。どっちか言うたら責任押しつけて大阪行ってもうた俺のほうが、無責任やった」

 ずっと怒られるんだと思っていた。

 でもそれは私の思い込みだった。

「俺さあ……何やってるんやろ、ほんまに」

 深くため息をついた後、大きく頭を項垂れる。

「全部、空回りや……結局俺が大阪なんか行っても意味なかったし、こっちの仕事も自分のせいで永原さんに迷惑かけて嫌な思いさせるし、何や……今やって、佐伯にいらんやきもちやいて、めっちゃカッコ悪いことして、みっともなー……」

 頭を上げた主任の目は、どこか虚ろで、私を見ているようで見ていなかった。

「……ごめんな、今まで。曲がりなりにも上司やのに、気持ち悪いこと言って、してもうて、申し訳なかった。もう、仕事の範疇超えて、永原さんに近づいたりせえへんから、全部なかったことにしてくれへんか」

「全部、なかったこと……?」

「忘れてくれ、俺の言うたこと、したこと全部。頼むから、この通りや」

 また頭を下げてくる主任に、私は何も声をかけられなかった。

 全部なかったことにしてくれと言われた。好きと言われたことも、全部。


 主任が行ってしまった後も、私はその場に立ち尽くすしかできなかった。忘れることなんて、なかったことにするなんてできるわけがない。出会ってから間もないだけじゃなく、主任の気持ちを知ってからはほんの数日なのに、こんなにも自分の気持ちが高まっていることを改めて思い知らされた。

 今すぐ追いかけて、好きだと言えば主任の気持ちは取り返せるだろうか。

 考えは浮かぶものの、自分の足は動かない。もし、応えられないと言われたら、断られたら、今日以上に立ち直れない。

 どうしたらいいの。

 私は届くはずもない彼への気持ちを、ひたすらに心の中で反芻していた。

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