表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

この世界はなんかすごい

「すげー。あいつがつけてんのレレックスの時計だぜ!」

(そうなんだよ。今は売ろうかどうか悩んでんだけどね)

「ねぇ見てぇ。あの子が着てる服、レイ・ヴィトンの服よ。」

(そうなの?俺よく知らんけど・・・)


 そんな感じで、輝は道行く人たちがなにかを言っていくのにツッコミをいれながら日の傾いていく道を歩いていた。


(・・・・ふぅ。あの女、人使い荒れぇ。)


 クエレブレの一件のあと、輝は何度か姫野に呼び出し(強制転送)をくらっていた。

 どういう原理なのかは解らないが、急に視界が・・・・例えるならセコウェア・エニックスのモンスタークエストの旅の扉に入った時のようにグルグル回り、直前までいた場所によく似ている場所に連れて行かれるのだ。その場所を姫野は異世界だと言い、その異世界の名前を「ファンシーワールド」と言うそうだ。しかし姫野が言うには、一般的にファンシーワールドは略してFワールドと呼ばれているそうだ。

 そのFワールド(姫野曰く)にはいままで見たことのないような化物がいて、輝はそれらをレンタルされている武器を使って倒す役割を与えられる。しかし、いままで全てを1人で倒しきった記憶はなく、姫野に手伝ってもらってばかりだった。

 まあ、なんだかんだで仕事が終わると、姫野が変な機械のスイッチを押すのだが、そのあとはまた旅の扉に入り、グルグルとして異世界に飛ぶ前の場所に戻ってこれる。


(金は2~3万は貯まったと思うんだが・・・・。飯代と泊まりがけのネカフェの金ぐらいしか、いまのところ使う要素がないんだよなぁ。)


 前はダンプラの金さえ払えない状態だったが、今だったらもう家に帰っても大丈夫かもしれない。

 しかし、父は倒産している上に姿をくらませているので、光熱費さえ払えているかどうか解らない状態。


(帰るのは・・・・・危険かな。)


 もうしばらくネカフェにお世話になることを決意したのか、その進路に歩き始めた。その時だった。

 輝の視界がグルグル回り、夕焼けの太陽の色や、ビルやマンションの色などが混ざり合い、変な色になった。


「イタッ!」


 いきなりのことでまだ景色が混ざらずに残っていた近くのレンガで手をすってしまった。

 しかし、次の瞬間にはそのレンガもなくなり、輝の前には別の景色が現れた。


「あいかわらずさ。いきなりやるのをどうにかできないのか?」


 輝は目の前にいると思われる女性に向かって言葉をかける。


「すみませんね。あなたを呼ぶにはこちらから作業をしなくてはいけないので。こちらの世界では、あちらの世界にメールも送れませんし、ツブヤイターも使えないので。」


 まだ視界がぼやけているが、輝はその声が姫野のものだとわかった。


「だったらあっちの世界でメール送ってからこっちにくれば良いじゃん。」


 もうあっちだかこっちだか解らん。と輝が思っていると、姫野が無言になっているのに気がついた。


「どうした?」

「いえ、あっちでメールをすればいいことに気付きませんでした。」

「ウソだろ!!?」


 姫野が「ほー」とか言いながら自分の携帯電話をいじっている。

 その間に一真の視界は完全に治り、周りの景色がよく見えた。


(曇ってるな。まえは快晴だったのに。)


 こちらの世界にはビルやマンションなどはほぼない。

 一番最初に行ったような公園はあれ以来見たことがない。


(そういや来るたびに地形が違ってるように見えるんだよな・・・。なんでだろ。)

「どうかしましたか?」


 輝が疑問に思っていると、姫野が携帯電話の確認が終わったのか、話しかけてきた。


「いや、この世界って来るたびに地形が変わってるような気がしてさ。」

「ああ、その事ですか。・・・・・・そうですね。今日のノルマが終わったら教えましょう。」

「・・・・・・・ふっ。俺がそんな口車に乗せられると思っているのか?・・・今までどんだけそういうこと言われてきて、結局教えてもらえなかった事が何回あったか。」

「しっかり教えますって。」

「・・・・・・・・・・・・・・」




―数分後―

「うらぁぁぁぁああ!!死ねコラァ!!」


 周りを飛んでいる巨大な蜂のような生物に向かい剣を振り下ろす輝。

 軽めの剣のようだが、切れ味はよい剣であり、堅くて殴るような武器とは違い、強度が低い。


「ホントに!教えてくれるんだろうな!?」

「教えますから頑張ってください。」


 姫野は自分の愛用の武器である「ハルパー」を磨いていた。

 ハルパーとは、内側に大きく湾曲した剣で、手前に引き切ることを主な戦術となる武器で、内側にしか刃がないタイプも多いが、姫野が使っているものは外側にも刃がついており、戦術も幅広くなる。


「すみませんね。本来わたしの仕事なのですが、この武器だと軽くて速い敵とは戦いにくいもので。」

「じゃあいま俺はお前の仕事をしてるってことか!?」

「まあ、そこは気にしないで、頑張ってください。」

(この女。・・・・・まあ、金が貰えるだけいいか。)


 そう思いながらも輝は残り2~3匹になった蜂に似た生物を手早く排除した。


(Fワールドで受けた傷は現実世界には適用されない。か。)


 前に姫野に聞いた情報で、その情報が本当だということはすでに実証済みであった。

そのこともあるのか、輝の体には擦り傷や刺された後などが目立ったが、気にしていないようだ。


「さあ約束だ。聞かせてもらおうか。この世界の地形の秘密を。」


 姫野の元に歩きながら輝は質問をした。どうやら傷のことよりも、ずっと気になっていた、この世界の地形の事の方が大事のようだ。

 輝は好奇心も旺盛であり、いままででも自分の知らない事は一生懸命になり知ろうとした。しかし、このFワールドについて知っている人間はいまのところ自分を抜いて姫野しかいない。

 しかも、これまで何回も質問をしてきた輝は、それを忘れる姫野に何回も強制送還されてしまうのである。


(いろいろ知ってて頭よさそうで、そんでもって強い。だけど根っこの部分は多分バカだな。こいつ。)


 そう思っていた輝は、今回こそは逃すまいと姫野の襟首を掴む。

 姫野は大して反応もせずに数秒固まったが、ようやく口を動かした。


「この世界は、私たちが住んでいる現実世界と比べて数千万倍のスピードで進んでいるんです。一日経ってこのFワールドにくれば、もう数千万日後ということになります。」

「なにそれ凄い!!ん?でもそれって、俺たちがこの世界にいる限りは俺たちも元の世界に比べて数千万倍で年取ってるってことか?」


 例えばFワールドで一か月過ごしたとしても、現実世界では0.5秒も経っていないということになる。逆のことを言えば、0.5秒で一か月以上経つのだ。

 つまり、現実世界の人間が1秒分の年を取るとFワールドにいる人間は一か月分の年を取ることになる。


「どんどん差が出てくるぜ?その内。」


 輝が心配そうに尋ねると、姫野は問題ないというように首を横に振った。


「そうですね。例えば、Fワールドで受けた傷は現実世界には適用されませんよね?」

「お前からそう聞いたな。」


 姫野は一度頷き言葉を続けた。


「なぜあのようになるのかというと・・・・・・そうですね。例えるのならこのFワールドはゲームのようなものなんです。」

「ゲーム?っていうと携帯ゲームとかのことか?」

「そうです。説明を続けますと、RPGゲームなどであなたが操縦するキャラクターはダメージを受けたり最悪死んでしまいますよね?」

「自慢じゃないが俺はそれを一回も経験してない。」

「自慢ですね。そういうのいりません。」

「すんません。」


 姫野の軽蔑の眼で見てきたので素直に謝ると、姫野は説明の続きを始めた。


「そのキャラクターが死んだ時、あなたは死にませんよね?・・・・つまりはそういうことです。」


 一回聞いただけでは理解しがたい説明の仕方だったが、輝はなんとなく読みとることができた。


「つまり、FワールドにはFワールドの俺がいて、現実世界には現実世界の俺がいるってことか?」

「大体はそのような形ですが、本当はもう少し複雑です。」


 輝が「もう少し教えろ。」というと姫野は面倒くさそうな顔をしたが、しょうがないというような表情で口を開いた。


「ようするに現実世界からFワールドに来る時、Fワールドから現実世界に戻る時、それぞれでセーブをしているようなものです。」

「なんだそりゃ?つまり俺はセーブデータを2つ持ってるってことか?」

「いい例えです。普通の人間は1つしか持つ必要のないセーブデータを、あなたは現実世界のセーブデータとFワールドのセーブデータと2つ所有しているということです。」

「それぞれのセーブデータも実際に俺がやっていることだから、それぞれ向こうの世界でなにをしたかとかの記憶は残るのか・・・。」


 輝は姫野の捕捉によってほとんど理解できたが、もう一つ疑問が生じた。


「でもそれだったらFワールドのセーブデータを・・・ロード?すると少なくとも前にセーブした時の傷は残るんじゃないのか?」

「・・・・現実世界で怪我したりしませんでしたか?」


 そう聞かれて輝は自分の体を見回した。

 すると、右手の甲に擦り傷があることにきがついた。


「ああ、ほら、これは現実世界での傷・・・・・って・・・え?」


 輝は疑問に思った。


(なんで現実世界の傷が?・・・・・そういえば、いま着ている服もFワールドに来る前から着てたやつだ。)


 輝がなにかに気付いたのを察して姫野は口を開いた。


「そうなんです。Fワールドから現実世界に戻る時、適用されるのは記憶だけなのに、現実世界からFワールドに来る時は、記憶のほかにその時の服装、傷などは適用されるのです。」

「・・・・・こっちのデータをロードしたとき、現実世界にいた時の状態が適用される。だから前に受けた傷は関係なくなる。ってことか?」

「そういうことですね。」

「現実世界に戻る時に適用されるのは記憶だけで、しかもFワールドに来る時に現実世界での肉体はセーブされるから年は関係なくなってくるな。そう考えると、不老不死まがいのこともできなくはないな。

「ええ。実際この世界をそのように使う人も少なくないです。勉学の場に使う人もいますね。現実世界に適用されるのは記憶というより脳そのものなので。しかし、こちらの世界でいくらダイエットに成功しようとも、向こうの世界にもどれば体重は戻ります。なので、利用するなら知能的なことにしてください。」

「この世界。利用のしかた次第ではとんでもねーよ。」


 輝がそう言った時だった。


ドォォォォォォオ!!


 突然大きな音が鳴り響き、風が辺りに舞い、砂埃が辺りを覆った。

 その瞬間。


ピリリリリリ


 と姫野の電話が鳴り、輝はかなりビビった。

 そんな輝には一瞥もくれず姫野は電話に出た。


「もしもし、姫野です。・・・・・・・・はい。・・・・・・はい。」

「どうした?姫野。」


 輝は心配そうに砂埃を見つめ姫野に問いかけると、姫野は人差し指を立て、静かにするによう促した。


「はい。・・・・・・は?・・・グリフォン?・・・・・・・・・・・・・・無理です。」


 輝は瞬時に悟った。


(死亡フラグ、キィターーーーーーー!!)


 そのとき、砂埃から上半身が鷹、下半身がライオンの生物が現れた。


ぼくはなんだか設定に凝ってしまうようで。自分では分かっているのですが書いてるうちに伝えられなくなっちゃうんですよね。

あと、数種類小説を書いてるうちにキャラがそれぞれ違ってくるんですよね。べつのキャラと混ざっちゃって。あと、別の小説の主人公キャラの名前を輝と間違えて出しちゃったりよくあるんです。

そういう失敗から説明不足などあったら教えてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ