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労働

「のおあぁぁぁぁぁあああ!!!」


 姫野と名乗る女に剣と盾、そして死へのチケットを渡された輝は、クエレブレというらしい、いかにも堅そうな鱗を身に纏った・・・牛ぐらいの大きさのトカゲがいた。

 体の半分ぐらいは長い尻尾が占めていて、背中からは小さな翼があったが、とても飛べそうにはなかった。


「クケェェェェエエエ!!」


 まあ、だいたいそんな感じだろう。そんな感じの鳴き声を出しながら、逃げる輝の後ろをノソノソと追いかけていた。

 鎧竜と輝の走る早さはほぼ同じで、追いつくことも、追いつかれることもなく、ただひたすら均等な距離を保ち続けながら時間だけが過ぎていった。


(ひまですね・・・。)


 鬼ごっこのように逃げ回っている輝を見ながら姫野は口に出さず、頭の中でそう思った。


(それにしても・・・この逃げよう。やっぱり今回もまともに説明も読まずにいい時給を目当てで来た人ですかね・・・?まったく。少しは電話受け付けの時点で判断してくれませんかね・・・。)


 ずっと無表情だった姫野の口元が少しヒクッと引きつったがすぐに戻った。


(だとしたら無駄に時間だけ尽くしてケガでもして、前の人みたいに慰謝料だのなんだの苦情がきても仕方ないですし、サクッと助けて帰りましょう。)


 そう思った姫野は立ち上がり、鞄から内側に湾曲した「ハルパー」とよばれる鎌剣を取り出した。




(なんだこの化けもんは!?どの図鑑を観れば載ってんだよ!!?)


 輝は叫びながらも頭をフルで活用し、逃げる方法や、立ててある箒を倒したり、クズカゴを倒したりなどして、障害物を造ったり、敵の動向を探ったりと、さまざまなことを頭の中で一度に処理していた。

 そもそも輝は一流企業(元)の社長(元)である父を持つ人間で、決して人生を怠けて過ごしてきたわけではなく、成績は常に上位。名門高校に通っていたが、「授業内容が幼稚だ。」と一言発言し、中退。父の稼いだ金で十分生きていける。そう考えニートという肩書を自らに付け、いままで過ごしていた。

 つまり彼は天才であった。

 しかし・・・・


「うおぉぉぉぉぉおおお!!?」


 その天の才を現在は逃げる為にフル活用しているのが残念なところだ。

 周りからみたらただのアホにしか見えない。

 そんな感じでアホみたいに逃げ回る輝に危機が迫った。


「クエエエエエエ!!」


 っとまあそんな感じの鳴き声を発するトカゲ・・・・クエレブレは、逃げに徹する輝に徐々に追いついてきていた。

 足の速さはほぼ同じだったのだが、スタミナ面ではクエレブレが勝り、輝の足はもう限界に近付いていた。


(くそ!!もっと動け!!あんなトカゲにやられて終わる人生なんて・・・人生なんて・・・ライオンに駆られるシマウマやアシダカグモに捕食されるゴキブリよりもかっこ悪いじゃないか。)


 そう思った瞬間。輝は走るのをやめ、クエレブレに向き直った。

 なおも直進を続けるクエレブレに向かって姫野に渡された剣を構えた。

 そんな輝を見て姫野は驚いた。


(・・・!まさか・・・。戦うというのですか!?)


 輝は剣を構え、クエレブレが接近してくるのを待った。

 対してクエレブレは土煙を立てながら向かった来た。

 そしてついに輝とクエレブレとの距離が十数メートルになったとき、輝はクエレブレに向かって駆け出した。


「おおおおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!」


 いままでにこんなに叫んだことはあるのかと思うくらい大きな声を出した。

 そして、クエレブレとの間合いを測って剣を再び構え振り下ろした。


「うらぁぁぁぁあああ!!」


 輝の頭の中で計算つくされたその剣は、クエレブレに向かって振り下ろされ、クエレブレの頭目掛けてまるで吸い込まれるかのように当たった。

 しかし・・・・・・


がっきぃぃぃぃぃいいん!!


 鉄と鉄がぶつかりあうような音と共に輝の剣は弾かれた。

 クエレブレの鱗は、輝の想像している以上に堅かったようだ。

 そこまで計算できていなかった輝は、弾かれた衝動で大きな隙を見せてしまった。


(あっ、やべぇ!!)


 クエレブレがこちらに向かって飛び込んでくるのを見た瞬間、これは確実に死ぬと計算した。

 回避不可能。直撃必須。死亡確定。

 そんな事だけが頭に浮かび、ほかに何も考えることはできなかった。


グシャッ!!


 肉の切れる音が聞こえた。


(はあ。結局ゴキブリ以下の終わり方だったな。最後に勇気なんか出さないで逃げ回っていればせめてシマウマになれたのかもな・・・・。ハハッ。我ながらバカな人生だったなあ。)


 こうして輝という主人公の話は終わる。

 いままでの思い出を思い返し、また苦笑する。

 こうして死を待つだけだった。






―十分後―


死を待つだけだった。・・・・けど・・・・・・けども・・・・・・・・


「死んでない!!?」


 そう叫んで起き上がり、周りを見渡すと、鎧竜どころか姫野までいなくなっており、変わりにかけっこをして遊ぶ子供や、ウォーキングをしている老夫婦がいた。

 そこは、輝が姫野と握手をして、世界がグルリと回る前まであった風景だった。


(夢・・・・だったのか?)


 そう思った瞬間。輝のポケットにしまってあった携帯電話が着信音を流して震えた。

 メールだったようで、着信音はすぐやんだ。どうせネットショップとかからのメールだろう。そう思いながらメールの受信履歴を見る。


「なっ!!?」


 輝は驚愕した。

 送信者の名前に驚愕した。


From:木林姫野


(なんであいつが俺のアドレスを!?いやそれよりなんで登録済み!!?)


 そんな事を思いながらも本文を確認した。


[本文]

現実の世界に無事に戻れてよかったですね。クエレブレは最終的に私が片づけました。あのまま殺されてしまうのでは、ゴキブリ以下の死に方と思いあなたの名誉のためにとった措置です。

さて、話は変わりますが、私はあなたにそれなりの素質を見出しました。よって、あなたを訓練し、立派な『日雇い勇者』とするべく、正式に採用させていただきました。

訓練とはいっても全て実践で経験を積んでもらいます。私のもとで死ぬことは許しません。

訓練は手ごろな魔物が出現し次第、あなたを現場に強制転送します。

それまでは自由です。


なお、今回の任務時給は6,000円でした。

30分の労働と認め、あなたの口座に3,000円を振り込みました。確認しておいてください。


以上


「・・・・・・・・・・・」


 こうして輝は正式に採用された。


ごっつ久しぶりの投稿やん!!


「ラグナロク」を休憩してこれ書くよ。

よろしく!!!<(_ _)>

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