どーしてこーなった
「では、はい。」
剣を渡された。
「はい。」
盾を渡された。
「では、いってらっしゃい。」
死へのチケットを渡された。
少年は思った。
(どーしてこーなった。)
指定された場所はすぐ近くの公園だった。
そこには女の人がいて、こっちを向くと表情を変えずに言った。
「待っていた。」
と。
そして、握手を求めるかのように、手を伸ばしてきたので、間髪入れずにその手を握った。
すると、それがスイッチだったかのように世界はグルリと回り、木の色や、空の色がまるで絵具を混ぜた時のようになり、そしてついには、元の公園に戻ってきていた。
しかし、遊ぶ子供、一緒にウォーキングをする老夫婦などはいなくなっていた。
「ここは・・・。どこだ?」
とくに誰に質問したわけでもないただの一人言だったのだが・・・
「ここは、パラレルワールドです。誰が作ったのかもわかりませんし、誰が行き来できるようにしたのかはわかりません。」
少年の質問に答えた者がいたので、そちらを向くと、先ほどの女性がいた。
「とりあえず名前を聞かせてくださいますか?ちなみに私の名前は木林姫野です。」
「え?ああ・・・名前ね。えっと千両寺輝って言います。あの・・・ここはもしかして面接室とかっていうやつですか?」
姫野と名乗る女性に再び質問に答えてもらおうと、さらに聞いてみると、
「ここが面接室?おかしなこと言いますね。だいたい面接はしないと書いておいたはずですけど・・・。」
「へ?面接いらないんですか?」
「それより、いつから働けるの?なんなら今日にでも仕事用意できるけど?」
面接の話は終わりか。まあいいや。俺なんて雇って泣いてもしらんぞ。
なんて思いながら向こうからの質問に答えてやる。
「いつでも大丈夫です。今日からでも!!」
そういうと姫野は顔をそっぽに向け言った。
「じゃあ始めましょうか。お仕事。」
姫野がそう言った直後であった。近くの地面が爆発するのは。
「な・・・なん・・・なんだ!!?」
土煙りが上がってよく見えないが何かがチラリと見えた。
それは、尻尾のような物だった。・・・しかも堅そうな鱗におおわれていた。
「あれはクエレブレです。子供なのでランクは3ですね。」
なんだそりゃ!?わかんねぇ!!?
そんな輝を無視して姫野は鞄からあるものを取り出した。
「では、はい。」
剣を渡された。
「はい。」
盾を渡された。
「では、いってらっしゃい。」
死へのチケットを渡された。
少年は思った。
(どーしてこーなった。)
こういう仕事です。
ハイ(V)o¥o(V)