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鈍感なのは

作者: 桜木 由有

「ティーナ」


 彼はいつも無表情の顔を少し柔らかくしてそう名前を呼んでくれた。

 私がどこにいようとも必ず見つけてくれた。

 私が転んで怪我した時もその大きな背中に私を背負って家まで連れて帰ってくれた。

 泣いている時にはその温かい手で頭を撫でてくれた。


 生まれた時からそばに居てくれた。

 彼は私より八つ年上だったけど、私の遊びに付き合ってくれた。

 彼が国軍に入ってからは会う回数は年々減っていき、今はたまに手紙のやりとりをしているだけ。しかしその実力を世に知らしめ、若干25歳にして王族を護る近衛師団の副団長を務めている彼のことを誇らしく思っていた。

 私にとっての彼は幼馴染であり、兄のような存在であり、同時に想い人でもあった。


 そんな彼は――


 今年結婚するらしい。

 国一番の美少女であり、国で一番地位の高い女性でもある、ビフィタリア王女と。




 私がそれを知ったのは二日前のこと。

 幼馴染の一人でもあり親友でもあるアンジェリカが遊びに来た時だった。

 アンジェリカの家は伯爵、私の家は子爵で多少の身分差があるのだが、領地が隣同士で王都にある家も近いため小さい頃から一緒に遊ぶことが多かった。その交流は今でも絶たれていない。

 彼女は顔が広くいつも様々な噂話を聞かせてくれる。どこそこの令嬢が漁師と駆け落ちしただの、どこぞの男爵の息子が侯爵の令嬢に手を出しただの、私には大して興味のないスキャンダル的な噂話ばかりだったが、今日は違っていた。

 いつものごとく突然やってきた彼女は、少々戸惑い顔で私に告げた。


「……え?」

「だから、クロードがビフィタリア王女と結婚するかもしれないっていう噂が流れてんのよ」

 クロードとは私の想い人の名前。侯爵家の次男であり近衛師団の副団長の彼はその整った容姿も相俟(あいま)って女性に人気がある。しかし浮いた話は聞かず、無口で少々無愛想だが面倒見のいい性格から男性からも信頼を置かれている。

 彼の両親と私の両親が仲が良く、身分の差があるものの昔からお互いの家を行き来していた。

 幼いころは無表情だけど優しいお兄ちゃんとしてよく懐き、子供特有の「お兄ちゃんのおよめさんになるー!」というかわいらしい宣言をしていたらしい。今の歳になってやると痛い子になるが……。

 彼が国軍に入隊して滅多に会えなくなったときは毎日泣いて両親を困らせていたようだ。そんな私に気を使って、彼は忙しい訓練の合間をぬって遊びに来てくれたり手紙をくれたりした。

 そんな優しい彼にいつしか本物の恋心を抱くようになった。

 彼は私のことをなんとも思っていないことは知っている。彼にとっての私はただの知り合いの子供、よくて妹的な存在。私が彼のことを慕っているということも気付いていないだろう。

 私は彼より二つも下の地位、子爵の娘。くせのある栗色の髪、よくある青色の瞳を持つ平々凡々の顔立ち。

 一方でこの国の王女、ビフィタリア様はまっすぐでつやつや輝く黄金の髪を持ち、すっと通った目鼻立ちの、王族の気品あふれた国一番の美少女。

 半年前からクロードは、そんな彼女の護衛の任についている。ほとんどの時間を彼女のそばで過ごしているのだ。

 護衛と被護衛の立場だが、二人はすぐに打ち解けたという。あの無愛想で無口で無愛想で無愛想なクロードが、とクロードを知っている人は少なからず驚いたようだ。そして普段の二人の姿は遠目から見ると仲睦まじく見えるらしい。


 そんな時に流れたのが王女が婚約したという噂。

 婚約するには当人同士が事前に対面することがこの国の常識になっているが、王女が嫁いでも位的におかしくない者たちとの間に手紙がやりとりされた感じはないし、王女がそのような人々と会ったという噂も聞かない。

 しかし、唯一、王女が嫁いでも問題ない位を持ち、最近彼女と頻繁に会っている人物が一人だけいる。

 クロードだ。


 そこから王女の婚約相手は近衛師団副団長のクロードだという噂が流れだし、結婚式はいつするのか、貴族たちのお茶会はその話でもちきりなのだそうだ。


 そこまでアンジェリカが話し終えると、私の頭の中で色んなものがぐるぐる回って何も考えられなくなっていた。そして、何故か笑いが込み上げてきた。

「ふ、ふふふ……」

 唐突にくすくす笑いだした私を心配そうに見つめるアンジェリカ。

「ふふ、ごめん、アン。今日はもう帰ってくれる? 私これから用事があるの」

「う、うん……ごめんね、こんな話、するべきかどうか悩んだんだけど、一応言っておこうと思って……」

「ううん、知らせてくれてありがとう」

 私は笑顔を浮かべたままアンジェリカを追い立てるように帰し、寝室に直行した。

 そしてベッドに突っ伏して思いっきり泣いた。

 侍女が夕食の用意ができたと呼びに来るまでずっと泣いていた。おかげで目は赤く腫れ、侍女たちに心配をかけてしまった。

 そして明日はタイミングの悪いことに国王主催の舞踏会がある。アンジェリカによると、そこで王女の婚約が正式発表されるのではないかという噂が流れているそうだ。

 正直、行きたくない。

 しかし一度行くと言った以上、行かなければならない。

 本当に王女の婚約相手がクロードだったら、きっと私は……

 もう二度と恋なんてできなくなる。




 そして舞踏会当日。

 私は今日瞳の色と同じ、薄い青色のドレスを着て出席していた。

 自分の瞳の色は気に入っている。クロードに『よく晴れた冬の空の色だ』と言われたから。

 そう言った本人は今も王女のかたわらに控えている。時折王女に声をかけられ、何かしらの返答をしている。その様子はまさに『仲睦まじい』。


 昔私を見てくれた瞳はこっちに向かない。

 私に話しかけてくれた声を聞くこともできない。

 温かい手がこちらに差し延べられることもない……。


 これ以上、この場にいられなかった。


「お兄様」

 私はちょうど飲み物を取りに人ごみから出てきた長兄に体調が悪いから帰りたいと告げる。昨日から私の様子がおかしかったのを知っている兄は心配しつつも了承し、馬車乗り場まで送ってくれた。

「そういえばお前、クロードに挨拶しなくてよかったのか? せっかく会えたのに」

「うん、いいの……じゃあお兄様、お先に失礼いたします」

 私は傷つく心を見せないように笑顔を貼り付け馬車に乗り込んで家に帰った。



 それからの私はまたベッドに倒れ込んで涙をなが……さなかった。

「あー!! 鬱陶しい!! うじうじしてる自分が鬱陶しい! あんな男忘れてしまえばいいのよ!」


 忘れられないことは自分が一番よく分かっている。でもいつまでも嘆いているのは私らしくない。

 そう、昔から騎士となるべく乗馬や剣の稽古をしていた彼のそばにずっといたかった私は、家の中にいるより外で駆けずり回ることの方が多かった。彼が国軍に入るまでは側で稽古の真似事をしたり、外を歩き回る彼の後ろをずっとついて行ったりしていた。そんな、傍から見れば遊んでいるようにしか見えない私の行動にも彼は付き合ってくれていた。

 彼が国軍に入った後も彼に一歩でも近づきたくて、貴族の娘には必要ない乗馬や護身術を習っていた。そのことで知り合いの貴族の子供から女の子らしくないと言われた私に、彼は『俺はいつも元気で明るいティーナが好きだ』と言ってくれた。

だから、彼が好きだと言ってくれた私のままであり続けたい。




 それからいつも使っているお忍び用の服を着ていくらかのお金とその他諸々の荷物を持ち、昔からよく使っている抜け道を利用して市井(しせい)に向かった。なるべく遠くへ行きたかった。どうせ追手が回ってきていつかは連れ戻されてしまうのだ。できるだけ広範囲のいろんなものを見てみたい。私の知らないものを沢山見て、驚いて、感動して。そうしていたら、彼のことも考える暇なんてないだろう。

『うーん、南に行ってみようかしら。あっちの方は暖かくて花も沢山生えてるっていうし。いっそのこと海を渡って他国に行こうかしら。どこまでお父様に捕まらずに行けるかの勝負ね』

 そう簡単に捕まるつもりはない。今まで何度も家を抜け出してきたし、小さい頃はクロードにいろんなところに連れて行ってもらった。その知識が役に立つはずだ。

 でも、遠くに行く前に――

『とりあえず……あそこに行こう』

 私と彼の、思い出の場所へ。




 眼前の海を眺めながら昔のことを思いだす。

 ここには彼が国軍に入る前に一度だけ来たことがある。


ここは切り立った崖の上。下は海でその崖に波を強く打ち付けているため落ちたらまず命はない。

だから私が何度ここに行きたいと言っても両親は許してくれなかった。でも私はどうしても行ってみたかった。

だってそこは家の近くで海が一番きれいに見える場所だったから。

 私が駄々をこねていると彼が連れて行ってくれると申し出てくれた。絶対危険な目には合わせないから、と。彼のことを信頼している両親は一度だけ許可してくれた。

 実際来てみると、切り立った崖の上で激しい波の音も怖いのだが、広がる芝生に寝転がると気持ちいい。それに地平線までずーっと伸びた海が太陽の光をきらきら反射して美しかった。



『あまり端に近づき過ぎるな』

『だいじょーぶ! ねえ、この海のむこうにはなにがあるの?』

『フィルディアっていう国がある』

『ふぃるでぃあ?』

『この国より暖かくて、珍しい花が沢山咲いているそうだ』

『ほんと!? 行ってみたい! ねえクロード、つれてって』

『……いつかな』

『いつかっていつ?』

『お前がもうちょっと大きくなってから』

『大きくなったらつれてってくれるの!?』

『ああ』

『ぜったいよ! やくそくだからね!』



「嘘つき……」

 結局あの約束は果たされないまま。


「うーそーつーきー!!」

 むかついてきて海に向かって叫んだ時。


「あまり端に近づくなと言っただろう」


 突然後ろから声がして慌てて振り返る。

 私は崖の端ぎりぎりに立っていたから、振り返った拍子に足を滑らせた。


 身体が海の方に傾いていく。その視界に彼が映って……


 次の瞬間には彼の腕の中にいた。


「――っ! だから端に行くなと言っただろう! 落ちたらどうするつもりだったんだ!」

 きりっとした目をつり上げて腹の底から出した怒号に鼓膜が破れそうになる。

 ここまで激昂した彼を見たのは初めてで、私は茫然とした。

 凄い迫力。さすが騎士だな、なんて余計なことを考えてしまう。

 いや、そんなことより――


「どうしてここに……?」


 彼は王女の近衛騎士だ。王女のそばから離れていいのだろうか?


「昨日の舞踏会に来たんだろ? なのに顔見せに来なかったからどうしたのかと思ってお前の家に行ったんだ。そしたらお前がいなくなったって皆騒いでて、俺も探しにここまで来たんだよ」


「……どうしてここに?」

 さっきと同じ質問だが、問うている内容は違う。

 それをちゃんと理解して、彼は答える。


「……なんとなく、お前はここにいると思ったんだよ」

 私から視線を外し、崖の端から十分離れた所まで私を引っ張っていったあと離れた。そして私に背を向け、帰り道に足を進めだす。

 その背中を見ながら、今まで感じていた温もりがなくなった寂しさを噛みしめる。


 私はいつだって、彼の背中を見つめることしかできなかった。その背中に追いつきたくて、隣に並びたくて、頑張って頑張って……


 でも、彼はいつも私を置いて行く。


「何してるんだ、早く帰るぞ」

 そうやって心配して振り返ってくれるが、私のところまで引き返してくれたことはない。いつも私が勝手に追いかけるだけ。

 彼にとっては私が追いかけようが追いかけまいがどうでもいいのだ。

 だって彼にとっての私は自分のことを慕っているただの知り合いの子供のままなのだろうから。


「やだ」


「は?」

 私の言葉に彼は眉をひそめている。


「帰らない」

 本当は家の誰かが迎えに来たらおとなしく帰ろうと思っていたが、彼に連れられて帰るのは嫌だった。


 この時点で既に私は色々開き直っていた。


「……何言ってんだ。皆心配してるんだぞ」

「これからフィルディアに行くの。誰かさんが約束を守ってくれなかったから自分で行くことにした」

「……」

 ここで苦い顔をするってことはあの約束を覚えてるってことだろうか。


「……わかった、また連れてってやるから今日は家に戻れ」

「嘘つきの言うことは聞きません」

 そんなつもりないくせに。

 王女と結婚したらそんな暇ない。子爵の小娘と他国に行くことなんて許されないことくらい私にもわかる。


「連れてってやるって言ってるんだから嘘つきにはならないだろ」

「どうせまた嘘になるんだから同じでしょ」

「なんでそう決めつけるんだよ」

「どうせ私を連れて行くなんて無理なんだから。私は一人でフィルディアに行くの」


 私は彼の横を通り過ぎようとした。

 ――が、腕をがしっと掴まれた。


「……離してよ」


「離したら家に帰らないだろお前」


「別にそんなことあなたには関係ないでしょ」


 ――だってあなたは……


「関係ないとはどういうことだ」


 ――それを私に言わせるの?


「だって」


 ――だって……


「あなたは王女様と結婚するんでしょ!」


 思い切り叫んだ私は興奮も相俟って息切れし、はあはあと息を整える。

 彼はそんな私を見ながらぽかんとしている。

 そしてはっと我に返って無愛想な彼には珍しく焦ったような表情になった。


「は……はあ!? どうして俺が王女と結婚するんだ!」


 ……え?


「だ、だって、噂で……」


「王女と結婚するのはオーランド子爵の跡継ぎ、ハリスだ。俺じゃない。大体そんな噂に騙されるなんて馬鹿かお前は!」

 馬鹿!? その言い方にムカッとくる。

「だってしょうがないじゃない! あなたは仕事でずっと来てくれなかったし、王女様の近衛騎士になってから手紙さえくれなくなったし……。噂であなたと王女様が仲睦まじいって聞いて……実際パーティーに行ってみれば噂通りだし!」

 あの時の光景を思い出して涙が出そうになる。


「……あれが仲睦まじく見えたのか……。お前の目は節穴だな」

 彼が呆れたような声を出し、意味が分からなくて彼の方を振り返る。


 目の錯覚だろうか。

 彼が微かに震えている気がする。

 あの近衛師団副団長で、無愛想、無口のため威圧感があると言われる彼が……。


「お前は王女の恐ろしさを知らないんだ……! あの方と行動を共にする時には無理にでも笑っておかないとやってられない……」


 ……クロードをここまで震えさせる王女とはどんな人物なんだろう。

 気にはなるけど聞かない方が身のためな気がする。


 とりあえず、クロードの話からすると王女と結婚するという噂は嘘だということになる。

 王女に対しても恋慕というよりは恐れを抱いているようだし。王女とはそういう関係ではないということは信じてもいいのだろう。

 しかし、彼も25歳で結婚適齢期に入っている。侯爵家の次男で近衛騎士団副団長として出世街道まっしぐら、見た目良し性格良し、難点といえば無愛想くらい。こんな優良物件に良い縁談が来ていないわけがない。

 また彼の結婚の噂が流れるのも時間の問題だろう。その時に同じ苦しみを味わうのは嫌だ。

 あ、この国から出たら噂も流れてこないんじゃ……


「また変なことを考えてるんじゃないだろうな」

 クロードはいつの間にか震えを止めて私を怪しんだ目で見ていた。

 なぜ彼には分かるのだろう。

「とにかく、王女とはなんの関係もない。ただの護衛と被護衛対象っていうだけだ。それに、王女が結婚すれば王族ではなくなるからその護衛任務も終わるしな」

 王女は臣下に嫁ぐと臣籍に入る。そうなると王族を護る近衛騎士は降嫁した王女を護る理由がなくなる。その後の護衛は降嫁した先の家の騎士が行うことになるのだ。

「とりあえず王女が結婚したらまとまった休みをもらえることになってる。その時にフィルディアに連れてってやるよ」

「……ほんと?」

 近衛騎士は休みが少ない。王族全員を毎日24時間体制で護衛しなければならないが、近衛騎士団には国軍の中でも実力・身分を鑑みた限られた者しか入れないため人数も少ない。そのためローテーションはきつめに組まれており、休みは二週間に一日あればいい方だ。


 そんな貴重な休みを私のために使ってもいいの?


「お前は気にしなくていい」

「へっ?」

「どうせ、せっかくの休みを自分のために使っていいのかとか思ってるんだろ。俺の休日の使い方は俺が決める。だから気にするな」


 どうして、彼には思っていることが分かるのだろう。


「自分では上手く隠せてるつもりになってるかもしれないが、お前は思ってることが顔に出やすいんだ」


 そんなこと、家族にも言われたことないのに。


「俺は騎士だぞ。人の表情を読む訓練くらいはしている。それに俺がどれだけお前と一緒にいたと思ってるんだ」


 あ、さっきの言葉、ちょっと嬉しいかも。


「とにかく王女が結婚するまでもう少し待て」

 これから王女の結婚の準備などで忙しくなる。もしクロードの結婚話があがるとしてもそれが落ち着いた後になるだろう。ならば、それまでもう少し、彼のそばにいてもいいだろうか。


「わかった」

 素直にそう言った私の頭をくしゃくしゃっと撫でるクロード。

 久々の感触に顔が赤くなる。

「ほら、帰るぞ」

 珍しく饒舌だったクロードの手にひかれて家への道を歩く。


 懐かしい。

 前ここに来た時も頭を撫でられて、帰る時には手をつないでくれた。


「もう、私子供じゃないのよ」

「手繋いでおかないと、どこ行くか分からないからな」


 文句を言っていても心の中ではこの状況を喜んでいるなんてこともクロードには分かっているのかしら。




 三か月後。

 王女ビフィタリア様が新たに侯爵位を授けられたハリス・オーガストに降嫁した。


 そして一週間の休日をもらった(正しくはもぎ取った)クロードと共に五日間フィルディアに滞在し、そこでクロードに結婚してほしいと言われたのは予想外すぎて……。

 混乱した私が再び彼から逃走してしまったのは良い思い出だ。

 まあ、五秒で捕まったけど。


 クロード曰く、彼も昔から私のことが好きだったそうだ。そして私が彼を慕っていたことも気付いていたらしい。

 私は彼の気持ちも、彼に私の想いが知られているということも全く気付いてなかったけど。

 だって彼は私に対しても無愛想だったから、なんとも思われてないのかと思ってたのに……。

彼の母親が言うには、

『あのクロードがあんなに話したり構ったりするのはティーナちゃんだけ』

 らしい。

 私の母が言うには、

『彼、昔からあなたに害虫が付かないように駆除を徹底してたわよ』

 ……それは本当ですか?

 彼の父親が言うには、

『君以外の女とは結婚しないって昔から宣言されてたからな』

 ……ほう。

 私の父が言うには、

『随分前からお前を嫁にくれって言われてたぞ。というか、お前がクロードの気持ちに気付いていなかったこと自体驚きだがな』

 …………。


 私は自分で思っているより彼のことを知らなかったようだ。




鈍感なのはティーナのほうでした、というお話。

ちょっとこのお話は不完全燃焼なので、王女のお話を書けたら書いてそこでこのお話の登場人物も盛り込みたいなと考えてます。書くとしたら連載になるでしょうか。

でも予定は未定です。

読んでくださってありがとうございました。


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