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こちら魔法犯罪取締室〜最狂の窓際部隊が帝都を闇から守り抜く〜  作者: 尾田jerart


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第7話

「どっ、どういうことですか!!?軍関係者の私が薬物の購入をするんですか!?」

あまりの無茶ぶりにセレスは素っ頓狂な声を上げる。


「えぇ。ブローカーと接触できれば、私の方で大元まで繋げてみせます。あとはそいつを詰めてスペリドとの関係を洗い出すだけです」


「簡単に言うがな、ジン。そんな末端からの炙り出し、近衛の方でも当然やってるはずだろ?」


レグルスが鋭い視線を向ける。ジンは手元の端末に目を落としながら肩をすくめた。


「えぇ近衛が()()()()()していれば、近衛の方で検挙できた可能性は高いでしょう。」


「ということは近衛が正常に機能していないと?」

レグルスの瞳がジンを貫く。室内の空気が一段階、重く冷えたものに変わった。


「そうなります。先ほども述べたように近衛軍の中にスペリドに協力している可能性があるものがいます。」


「それが本当なら大問題だなぁこりゃ」

ソファで寝ていたレインが楽しげに口角をあげて笑う。


「実際近衛が検挙に動いた際のスペルド側の対応があまりに早すぎます。なので今まで近衛がスペリドの検挙に動いても重要証拠がみつからず証拠不十分となっています。おそらく内部から近衛の動きが伝わっていたのでしょう。」


「ほう。それでどこのどいつなんだ。裏切り者っていうのは」


「怪しいのは近衛軍第4大隊。スペリドの捜査を担当している部隊です。中でも、ミゲル・ボーンウィル小隊長が最も黒に近いかと」


「ミゲル・ボーンウィル?誰だそいつは。」

アイマスクをずらし、グレイが心底興味がなさそうに欠伸を噛み殺す。


「ボーンウィルってボーンウィル伯爵家の人ですか?」


ジンはセレスの質問に頷くと説明を始める。


「ボーンウィル伯爵家は皇帝の中央集権化政策によって落ちぶれてしまっている家系の一つです。そしてミゲルはボーンウィル家の次期当主であり、彼は以前から自家の復興のためにあくどいことに手を染めているという噂が立っています。故に彼が関わっている可能性がひとまず高いとみています。」


魔取のメンバー全員がジンの推測に耳を傾ける中、押収品を眺めていたマキナが冷静にツッコミを入れた。


「でも今の話を聞いた感じだとそいつが犯人だと確信できる証拠はなさそうよね」


「そうですね。あくまで状況判断からの推測に過ぎません。そもそも近衛軍の中に協力者が本当にいるのかも分かりません。ただもし近衛の内部に裏切り者がいる場合、その人物を早めに検挙しない限り、たとえスペリドを取り締まれたとしても第2、第3のスペリドが現れることになります。」


「なるほどな。状況はつかめた。」

レグルスが顎を撫で、思考をまとめるようにゆっくりと息を吐く。


「それでセレスが薬物売買の現場に赴くのが効果的な理由は何なんだ?今の話を聞くに近衛軍の調査を始めた方がいいと思ったんだが」


「もちろんです。そちらは私の方で行なう予定です。しかし物的証拠を押さえるにはやはり彼らが予想だにしない瞬間を狙って取引の現場、もしくは証拠を押さえる必要があります。そしてその証拠を集めるのに最も効果的な方法として実際の売買から芋づる式に情報を集めることが挙げられます。」


「ならあんたがその調査をやれば良いんじゃない?別にできなくはないでしょ?」


マキナの真っ当な疑問に、ジンは静かに首を振る。

「先ほども言ったように私は近衛の調査を行います。なので別の調査ができるかつ身元がばれていない可能性の高い人を選びたかったのです。」


「なるほどな。それでセレスに白羽の矢が立ったっていうわけか。」


「でも軍関係者が薬物の購入をするなんて、、、。さすがにまずいのでは?」


「実際に買う必要はありませんよ。買う素振りを見せて、情報を引き出すだけでいい。……それに、単独で行かせるわけじゃありませんしね」


ジンの視線が、椅子で深く背もたれに沈んでいる男へと向く。

グレイは、露骨に嫌そうな顔をして舌打ちをした。


「お断りだ。」

「そう言わないでくださいグレイ。あなたが適任です」

「レインかマキナに行かせろ。俺の出る幕じゃない」

「レインは遠距離特化ですし、マキナは押収品の解析で手が離せません。何より()()()()()()にセレスさんを無傷で連れ帰れるのは、おそらくあなたしかいない」

「だがな……」

「この議論はジンに分があるな」

レグルスの鶴の一声が、室内の空気を引き締めた。


「グレイ、お前がセレスの補佐につけ。セレスも、現場の立ち回りは全部こいつに教われ。大丈夫だ、万が一ドジを踏んでも、尻はグレイと俺が拭いてやる」


それを聞くと、グレイは深くため息を吐き、乱れた髪をガシガシと掻き毟った。

「……了解」


「セレス、お前も問題ないな?」

「はっ、はい! 頑張ります!」

セレスが背筋を伸ばして敬礼すると、レグルスは満足げに頷き、全員を見渡した。


「よし、作戦開始だ。標的はマフィア『スペリド』と、近衛の裏切り者。グレイとセレスは薬物取引の現場を押さえろ。ジンは近衛の身辺調査。俺は全体の指揮を執り、レインとマキナは適宜バックアップに入れ」


「「「「「了解」」」」」


レグルスはニヤリと、肉食獣のような笑みを浮かべた。

「よし。それではこれより犯罪組織及び近衛軍関係者の関与が疑われる薬物販売の調査を行なう。総員かかれ!」

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