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『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


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EP 23

竜の家主と大掃除

勇太から差し出された、秘伝のタレがたっぷり絡んだ極上の焼き肉。

アカメは最初は疑わしげにそれを口に運んだが、咀嚼した瞬間、その真紅の瞳を限界まで見開いた。

「う、うまい……! なんだこれは! 肉の旨味を何倍にも引き立てる……! 特に、このタレの香ばしさがたまらん……!」

先ほどまでの威厳はどこへやら。蒼き竜の青年は、人間体であることも忘れ、次々と肉をバクバクと貪り始めた。

「こ、こら! 俺の分まで食うんじゃねぇ!」

「ふん、我の庭で焼いた肉だ。我に優先権がある!」

自分の分まで食べられそうになったイグニスが肉の奪い合いに参戦し、巨大な肉食獣二匹による熾烈な早食い競争が勃発した。

「ふふ、二人とも子供みたいね。……で、これからどうするの、勇太?」

リーシャが、呆れながらも楽しそうに尋ねる。

「まずは帝都に戻って、ニャングルさんに金貨50枚を払おう。そうすれば、正式にこの家が僕たちのものになる」

「なるほど。その前に〜、せっかくですから家の中を見ましょうよ! どんなお部屋があるか気になります!」

キャルルの提案で、一行はついに洋館の中へと足を踏み入れた。

だが、重厚な木扉を開けた瞬間。

「ゴホッ、ゴホッ! うわっ、すごい埃……!」

「うげぇ……。こりゃひでえ。前の持ち主の騎士も、掃除くらいしとけよな」

中は広く造りも立派だが、長年放置されていたため、床もアンティーク家具も分厚い埃に覆われ、あちこちに蜘蛛の巣が張っていた。

顔をしかめるイグニスに対し、後ろからついてきたアカメが不思議そうに首を傾げた。

「『掃除』とは何だ? 巣穴など、雨風がしのげれば十分であろう?」

彼の純粋な問いに、三人は唖然とする。誇り高きドラゴンにとって、埃や汚れなど気にする概念すらないらしい。

「えぇ……。と、とにかく! 早くニャングルさんに会って、みんなでお掃除しなくちゃですね!」

勇太も頷き、一行(アカメは留守番)は再び帝都の中心、ゴルド商会本店へと向かった。

応接室に通されると、ニャングルが飛んできた。

「ユウタはん! ドラゴンはどうでした!? やはり討伐は難儀でしたか!?」

「いや、討伐はしてないよ」

「へ? ほな、どうやって追い出しましてん……」

「手懐けたんだ。ルームシェアすることになったから、もう魔物の心配はないよ。はい、約束の金貨50枚」

勇太がマジック・ポーチから金貨の入った重い袋をドンッと置くと、ニャングルは文字通り椅子から転げ落ちた。

「な、なな、何ぃぃぃ〜〜っ!? スカイドラゴンとルームシェアでっか!?」

「うん。すごく肉を食べる居候だけどね。これで、あの屋敷は正式に僕たちの物だね?」

「……た、確かに。いやはやユウタはん、あんたはワテの想像をいつも超えてきまんなぁ……。毎度あり! 権利書はすぐに!」

驚愕で白目を剥きかけるニャングルから権利書を受け取ると、勇太たちは意気揚々と自分たちの「城」へと帰還した。

玄関の扉を大きく開け放ち、勇太は腕まくりをして宣言した。

「さ〜て、みんな! ここが今日から僕たちの家だ! まずは徹底的に大掃除だ!」

勇太は「地球ショッピング」を起動し、ポイントを消費して次々と不思議な道具を取り出した。(合計300P)

コードレスの**『サイクロン式掃除機』。

先端から猛烈な水流を噴射する『高圧洗浄機』**。

そして、大量の雑巾やモップ、バケツと洗剤だ。

「よーし、やるぞー!」

「任せな! 俺の力を見せてやる!」

「イグニスは外の竜舎と外壁を、この『高圧洗浄機』で頼む! キャルルは掃除機を! リーシャは風魔法で室内の換気をお願い!」

勇太が的確に指示を飛ばし、埃っぽい屋敷に賑やかな駆動音が響き渡り始めた。

「うおおおっ!? なんだこの水鉄砲! こびりついた苔が消し飛んでいくぞ! すげぇ楽しいぜ!」

外からは、高圧洗浄機の威力にテンションが振り切れたイグニスの声。

「ユウタさん! この杖(掃除機)、ゴミをどんどん吸い込みます! 面白いです〜!」

中では、キャルルがウサギの俊敏さで部屋中の埃を吸い尽くしていく。

「……人間とは、奇妙な道具を作るものだな」

アカメは腕を組みながら、自走式の『お掃除ロボット(ルンバ)』が足元にコツンとぶつかるのを、興味深そうに見つめていた。

作業開始から数時間。

見違えるほど綺麗になった広間で、勇太は手を叩いた。

「よし、みんな! 一旦休憩にしよう!」

勇太がマジック・ポーチから取り出したのは、よく冷えた水と、小さな缶に入った**『コーヒーキャンディ』**だった。

埃っぽい作業の後は、口の中をスッキリさせつつ糖分を補給するのが一番だ。

「ほら、アカメも。舐めながらやってよ。コーヒーキャンディだ」

勇太から茶色い粒を渡され、アカメは恐る恐るそれを口に放り込んだ。

「……む? 苦い……いや、苦味の中に深いコクと甘みがある……。不思議な味だが、頭がすっきりするな」

アカメは赤い瞳を瞬かせ、キャンディをコロコロと舌の上で転がした。

「ふふっ、地球の食べ物は底知れないだろ?」

勇太が笑うと、仲間たちも一斉に笑い声を上げた。

夕暮れの光が差し込むピカピカの洋館。

ホープ・クローバーズの、そして一頭のドラゴンの新しい生活が、今、賑やかに幕を開けた。

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