表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/72

EP 22

竜の家主と驚きの提案

『……何だ、貴様らは。我が根城で勝手に騒ぎおって』

脳内に直接響くテレパシー。

蒼きスカイドラゴン――アカメの威圧感に、楽しいバーベキューの空気は一瞬で凍りついた。

「えっと……喋るんだ……」

勇太は呆然と呟く。

「ど、どうしましょう勇太さん……」

キャルルが震えて袖を掴む。

だが、最初に動いたのはイグニスだった。

彼は戦斧を構え、アカメを睨みつけた。

「へっ! 喋れるトカゲか! 上等だ、ここがてめぇの墓場に……」

「待ちなさい、イグニス!」

リーシャの鋭い声が制止した。

「このドラゴンからは殺気を感じないわ。あるのは怒りと……それ以上の『深い悲しみ』よ。むやみに刺激するのは得策じゃない」

『ほう……。話の分かる小娘がいるな』

「……小娘? やはり、今すぐ消し炭にしてあげようかしら」

リーシャの眉がピクリと跳ね、杖の先からバチバチと火花が散る。

「わーっ! ストップストップ!」

勇太は慌てて割って入った。

「えっと、失礼、ドラゴンさん。君はここの主だった飛龍騎士の相棒だよね? ……僕はユウタ。こっちは仲間たちだ」

『……我が名はアカメ。亡き友、エイベルンの魂と共にこの地を守る者だ』

アカメは鼻を鳴らした。

その赤い瞳は勇太たちを睨んでいる……ように見えて、実は**網の上で脂を滴らせている「特上カルビ」**に釘付けだった。

「あの~、アカメ。僕たちは君と戦うつもりはないんだ。……率直に言うと、この家に住みたいんだけど」

『……ここにか?』

「ああ。でも、主がいるなら話は別だ。……イグニス、片付けよう。帰るぞ」

勇太があっさりと撤退を指示すると、イグニスが噛みついた。

「ああん!? 冗談じゃねえぞユウタ! 主人がいねえなら、こいつはただの居座りトカゲだろ! 山へ追い返せばいいじゃねえか!」

『……ふざけるなよ、小僧』

ゴゴゴゴゴ……

アカメの喉奥から、地鳴りのような唸り声が響いた。

『この場所が、我とエイベルンの思い出がどれだけ詰まった場所か……貴様ら短命種に分かってたまるか! ここを捨てて山に帰れだと!?』

凄まじい竜気が放たれ、バーベキューの炭火が吹き飛びそうになる。

「ひゃうっ!」キャルルが悲鳴を上げる。

「イグニス! 失礼だろ!」

勇太が叱責し、アカメに向き直った。

「ごめん。悪気はないんだ。……行こう、みんな。ここは彼の家だ」

勇太が背を向けると、リーシャが静かに、しかし強い口調で言った。

「本当にいいの、勇太? ……私たちが去れば、いずれギルドの正規討伐隊が来るわ。主を失い、人里に居座るドラゴンは『危険生物』として処理される。……そんな結末でいいの?」

その言葉に、全員の足が止まった。

殺されるために、彼はここを守っているわけではない。

「……確かに。そんな結末は、寝覚めが悪いな」

勇太は立ち止まり、振り返った。

孤高のドラゴン。その瞳にある孤独。そして、チラチラと肉を見る切実な視線。

(……なんだ。要するに、寂しくて、腹が減ってるだけじゃないか)

勇太はニヤリと笑い、とんでもない提案を口にした。

「……よし! アカメ! 一緒に暮らさないか?」

『……何!?』

アカメの目が点になる。

「僕たちと一緒に、この家で暮らすんだ。君は『番竜ガード・ドラゴン』として家を守る。僕たちは君の家族になる。……どうだ?」

『家族……だと? 人間如きが、この我とか?』

「悪い話じゃないと思うぜ? ……もし一緒に暮らすなら、この『特製タレ漬け・A5ランク和牛』が、毎日食べ放題だ」

勇太がトングで肉を掴み、ひらひらと振った。

香ばしいニンニク醤油の香りが、ドラゴンの鼻腔を直撃する。

『ぬ、ぬぐ……ッ!』

アカメが喉をゴクリと鳴らした。

『……毎日、か? その、やたらと良い匂いのする肉を?』

「ああ。肉だけじゃない。新鮮な魚も、甘い果物もだ。……一人で思い出に浸るより、みんなで美味い飯を食ったほうが、亡くなったご主人も喜くんじゃないか?」

その言葉が、決定打だった。

アカメはしばらく黙っていたが、やがてフッと力を抜いた。

『……面白いことを言う男だ』

次の瞬間、ドラゴンの巨体が蒼い光に包まれた。

光が収縮し、人の形を成していく。

現れたのは、蒼い長髪と真紅の瞳を持つ、気品ある青年の姿だった。

ただし、その目は肉に釘付けだ。

「ええっ!? 人間になった!?」

キャルルが目を丸くする。

「……この姿の方が、食事には都合が良いだろう?」

人型のアカメ(全裸ではなく、魔力で生成された服を着ている)は、すまし顔で勇太の隣に座り込んだ。

「よかろう、ユウタと言ったな。その提案、乗ってやる。……だが、我を従わせるつもりなら、まずは誠意を示せ」

彼は箸を不器用に握り、網の上の肉を指した。

「我にも、それを食わせろ」

「ははっ! 交渉成立だ!」

勇太は笑いながら、焼き立ての極上肉をアカメの皿に乗せた。

アカメが肉を口に運ぶ。

噛み締めた瞬間、その美貌が驚愕に歪み、そして蕩けるような笑顔に変わった。

「……美味いッ!! なんだこれは!?」

こうして、「ホープ・クローバーズ」のマイホーム購入計画は、最強のドラゴンを「家族(兼・食いしん坊な居候)」として迎え入れることで、大団円を迎えたのだった。

【クエスト完了:訳アリ物件の契約と、竜の同居人】

【新たな仲間(?)アカメが加わりました】

【称号:『竜を餌付けし者』を獲得】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ