EP 13
夢のマイホームと稼ぐ決意
マジック・ポーチを手に入れ、意気揚々と宿屋「イージーブロンズ亭」に戻った勇太たち。
部屋に入るなり、イグニスとキャルルは新しいオモチャに夢中だ。
「すげぇ! 俺の戦斧も、予備の肉も丸ごと入りやがる!」
「私のトンファーも、着替えもポイポイ入っちゃいます!」
ポーチの性能は完璧だ。これで旅の荷物問題は解決した。
だが、勇太にはもう一つ、解決しなければならない**「住環境の問題」**があった。
「みんな、ちょっといいかな」
勇太が切り出すと、三人は顔を上げた。
「これからの活動方針なんだけど……。僕たち、帝都に**『家』**を買おうと思うんだ」
「えっ? 家ですか?」
キャルルがキョトンとする。
「私たちには『ノマド号』があるじゃないですか? あの車、すっごく快適ですし……」
「確かにノマド号は最高だ。でも、あれはあくまで『車』なんだ」
勇太は指を二本立てて説明した。
「一つ目の理由は、**『社会的信用』**だ。ニャングルさんと本格的に商売をするなら、『住所不定の旅人』じゃあ信用されない。店舗兼工房として使える『拠点』が必要なんだ」
「ふむ……。確かに、一理あるわね」
リーシャが頷く。
「魔法薬の研究や、新しい魔道具の開発をするにも、揺れる車内や狭い宿屋じゃ限界があるわ。……私専用の『研究室』が欲しいところね」
「二つ目は、**『駐車スペース』**の問題だ」
勇太が溜息をつく。
「ノマド号を預けている『高級馬車預かり所』……あそこ、一日金貨1枚も取るんだよ。一ヶ月で金貨30枚。バカにならない出費だ」
「なっ、そんなに取られてんのか!? 暴利じゃねえか!」
イグニスが目を剥く。
「だからこそ、広いガレージ付きの物件を買ってしまった方が、長期的にはお得なんだ。……それに、自分たちだけの城を持つって、ワクワクしないか?」
勇太の言葉に、三人の目の色が変わった。
「自分たちの……城……!」
イグニスがニヤリと笑う。
「いい響きだ。俺様専用の『トレーニングルーム』と、巨大な冷蔵庫があるキッチン……。最高じゃねえか!」
「私、広いお庭が欲しいです! そこで家庭菜園をして、新鮮なニンジンを育てたいです!」
キャルルが夢を膨らませる。
「私は静かな書斎と、防音完備の実験室ね。……フフ、楽しみになってきたわ」
リーシャも乗り気だ。
「よし、決まりだな! 目標は**『ガレージ&工房付きのマイホーム』**だ!」
勇太が拳を握ると、三人も力強く頷いた。
「でも、ユウタ。帝都の土地は高いわよ? 私たちの希望を満たす物件となると……」
「ああ。金貨50枚(ロックサウルスの報酬)だけじゃ足りないだろうな。……だから、稼ぐんだ」
勇太は、ギルドカードを取り出した。現在のランクはD。
Eランク時代とは比べ物にならないほど、高報酬の依頼が受けられるはずだ。
「明日からは、依頼を片っ端からこなして、お金とポイントを稼ぎまくるぞ! 全てはマイホームのために!」
「「「おーっ!!」」」
ホープ・クローバーズの新たな目標が決まった。
それは魔王討伐でも世界平和でもない。
**「帝都に一戸建てを買う」**という、極めて現実的で、しかし夢のある冒険だ。
翌日。
彼らは冒険者ギルド「ラックギオン」の扉を叩いた。
その目には、金貨への渇望(欲望)がギラギラと輝いていた。
「フォミナさん! 一番実入りがいい依頼をください! 危険度? 関係ありません! 金になるヤツをお願いします!」
「ひぇっ!? ゆ、ユウタさんたち、目が怖いです……!」
受付嬢フォミナがドン引きする中、勇太たちは掲示板の依頼書を次々と剥がしていく。
帝都アウストラでの「稼ぎ旅」が、今、幕を開けた。




