表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/67

EP 6

二つのギルドと出世頭の猫

「ホープ・クローバーズ」として冒険者登録を済ませた勇太たちは、その足で中央商業区へと向かった。

冒険者として名を上げるのも大事だが、勇太には**「地球の商品を売る」**というもう一つの目的がある。

目指すは大陸最大の商業ギルド**『ダイヤクルージ』**のアウストラ本部。

大理石の柱が並ぶ神殿のような建物だ。冒険者ギルドの熱気とは違い、ここでは冷徹な計算と金貨の音が支配している。

「うわぁ……ピカピカです。床で顔が映ります」

キャルルが恐縮してつま先立ちで歩く。

「ケッ、金持ちの匂いがプンプンしやがるな」

イグニスが鼻を鳴らす。

受付カウンターには、スーツを着こなした巨大なゴリラ獣人が座っていた。

名札には**『支部長代理:コング』**とある。

「いらっしゃいませ。新規の商業登録ですね?」

見た目に反して、声は知的で穏やかだ。

「はい。ナカムラ・ユウタです。これ、紹介状です」

勇太が、ルナキャロット村で書いてもらった紹介状を渡す。

「ふむ……ゴルド商会のニャングル氏からの紹介ですか。……ほう? あの『天使の輪シャンプー』の開発者?」

コングの眼鏡の奥が光った。

彼は立ち上がり、勇太の手をガッチリと握った。

「お待ちしておりました! アナタがあの! 帝都の女性を熱狂させている商品の生みの親ですか! ぜひ我がギルドへ!」

対応が一変した。

手続きは瞬殺で完了し、勇太は**『ツリーランク(木)』**の商業証を手に入れた。

さらにコングは、窓の外に停めてある(実際には馬車預かり所だが)ノマド号の噂も耳にしていたらしい。

「あの『鉄の馬車』……あれもアナタの商品ですか? もしあれを量産できるなら、大陸の物流が変わりますよ」

「あれは……試作品でして。まだ売り物にはなりません」

勇太は苦笑してかわした。さすがに自動車の量産は無理だ。

商業ギルドを出て、大通りを歩いていると、向こうから黄色い歓声が聞こえてきた。

「キャーッ! ニャングル様よ!」

「ゴルド商会の若き天才!」

見れば、仕立ての良いシルクの服を着て、宝石をジャラジャラさせた猫人が、取り巻きを引き連れて歩いていた。

ニャングルだ。以前の行商人の姿とは別人のような、成金のオーラを放っている。

「いや~、帝都の空気は美味いですなぁ! 儲けの匂いがプンプンしまっせ~!」

「……ニャングルさん?」

勇太が声をかけると、ニャングルは振り返り、猫目を丸くした。

「ユ……ユウタはん!? まさか、帝都に来てはったんですか!?」

彼は取り巻きを押しのけ、駆け寄ってきた。

「見ましたで! 港に停まった黒い鉄の塊! あれ、ユウタはんの『ノマド号』でっしゃろ!? いやー、相変わらず派手なことしはりますなぁ!」

「久しぶりだね。……ずいぶん羽振りが良さそうだ」

「おかげさんで! ユウタはんのコスメと歯磨き粉、貴族の奥様方に飛ぶように売れてましてな! ワテ、この度**『帝都本店・統括マネージャー』**に昇進しましたんや!」

ニャングルは胸を張り、ピンと立った耳を揺らした。

勇太の商品力と、ニャングルの商才。この二つが組み合わさって、彼は帝都のドリームを掴んだのだ。

「へぇ、そいつはすげえな。……で、なんか美味いモン奢ってくれるんだろうな?」

イグニスがニヤリと笑う。

「もちろん! 今度、最高級のレストラン『海猫亭』にご招待しますわ! 商談も兼ねてね!」

ニャングルはウィンクし、名刺代わりの金貨を一枚、キャルルに握らせた。

「ほな、また後ほど! 商売敵に見つかると厄介なんで、今日はこれで!」

彼は嵐のように去っていった。

その背中は、以前よりもずっと大きく、頼もしく見えた。

「ふぅ……相変わらず騒がしい人ね」

リーシャが呆れつつも微笑む。

「でも、味方がいるのは心強いです! これなら帝都でもやっていけそうですね!」

キャルルが金貨を嬉しそうに眺める。

「よし、挨拶回りはこれで終了だ」

勇太は冒険者ギルドで受けた依頼書を取り出した。

【緊急依頼:帝都地下水道の異変調査】

【報酬:金貨10枚】

【推奨ランク:D以上(Eランク可だが危険)】

「ゴブリン退治もいいけど、こっちの方が面白そうだ。……帝都の地下で、何かが起きているらしい」

「地下水道か……。臭そうだが、化け物はいそうだな」

イグニスが戦斧を担ぐ。

「行きましょう。私たちの初仕事よ」

勇太たちは賑やかな大通りを抜け、帝都の暗部――地下水道の入り口へと向かった。

光あるところに影あり。

華やかな交易都市の地下には、深淵なる闇が口を開けて待っていた。

【クエスト開始:地下水道の清掃(という名の魔獣討伐)】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ