表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/69

EP 49

月下の誓いと勇者の眠り

「霧降りの谷」の主、ヒュドラを討伐した勇太たちは、その吉報を届けるため、一度ルナキャロット村へと凱旋した。

難敵を排除し、交易路を完全に開通させた英雄の帰還に、村は揺れた。

そしてその夜、村の広場で盛大な「祝勝会兼お別れ会」が開かれた。

広場の中央には、勇太の愛車「ノマド号」が鎮座し、そのキッチンから次々と地球の美食が運び出される。

極上の焼肉、冷えたビール、そして甘い果実酒。

宴は深夜まで続き、熱気は最高潮に達していた。

「んふふ~、このオレンジ色のお酒、甘くて美味しいですぅ~」

キャルルが、とろんとした瞳でグラスを傾ける。

勇太が出した**『完熟・濃厚杏酒ロック』**だ。

彼女の雪のように白い肌は桜色に染まり、長い兎耳がふにゃふにゃと揺れている。

「ユウタさぁん……」

キャルルがふらりと体を預けてきた。柔らかい感触と、杏の甘い香りが勇太を包む。

「本当に、ありがとうございます……。ユウタさんが来てくれて、村も、私も……夢みたいに幸せで……」

彼女は潤んだ瞳で見上げると、背伸びをして――勇太の頬に、ちゅっ、と唇を寄せた。

「えっ……!?」

小鳥がついばむような、愛らしいキス。

勇太が硬直する。心臓の鼓動が、ヒュドラ戦の時よりも早鐘を打つ。

「あらあら、キャルルったら。抜け駆けは感心しないわねぇ」

反対側から、妖艶なため息がかかった。

リーシャだ。彼女もすっかり出来上がっており、普段の知的な瞳を潤ませ、猫のようにしなだれかかってくる。

「こら、勇者様。私の方も見て? ……貴方のおかげで、退屈だった私の時間が、黄金色に輝き出したのよ……」

リーシャは勇太の肩に頭を乗せると、耳元で囁いた。

「料理も、道具も……そして貴方自身も。……ねぇ、私が一番魅力的でしょう?」

言い終わるが早いか、彼女はキャルルとは反対の頬に、吸い付くような熱い口づけを落とした。

チュッ……という生々しい音が、勇太の脳髄を痺れさせる。

「り、リーシャまで……!?」

右に天然の兎、左に誘惑のエルフ。

両手に花のフルコースに、勇太の思考回路はショート寸前だ。

「ケッ! やってらんねぇな! リア充爆発しろってんだ!」

少し離れた場所で、手酌酒を煽っていたイグニスが、呆れたように、しかし楽しげに笑った。

「おいユウタ! 男がそんなことで鼻の下伸ばしてんじゃねえぞ! ……ほらよ、気付け薬だ!」

イグニスは一升瓶(辛口の日本酒)を掴むと、勇太の口元にグイッと押し付けた。

「飲んでシャキッとしやがれ! 俺の弟分なら、これくらい飲み干してみろォッ!」

「むぐっ!? ちょ、イグニ……んぐっ、んぐぐぐっ!」

抵抗も虚しく、度数高めの日本酒が喉に流し込まれる。

甘いキスの余韻と、強烈なアルコール。そして幸福感のオーバーフロー。

カクン。

勇太の意識が飛んだ。

彼は白目を剥いて後ろへ倒れ――偶然にも、キャルルとリーシャの間に挟まる形で、二人の柔らかい肢体に受け止められた。

「「あ……」」

「……へっ、だらしねえ勇者だぜ」

イグニスがニカッと笑う。

それを見ていたラトルやウルジ、村人たちも、堪えきれずにドッと吹き出した。

広場は、温かく、幸せな笑い声に包まれた。

勇太がこの世界に転生してから、数ヶ月。

コボルトを倒し、村を豊かにし、病を癒やし、強敵を屠り、そして最高の仲間を得た。

彼の「地球ショッピング」という異能は、人々の笑顔を守るための力となった。

月光が、眠れる勇者と三人の仲間を優しく照らす。

彼らの旅は、まだ始まったばかり。

広大な世界、未知なるダンジョン、そして数多の出会いが彼らを待っている。

だが今夜だけは。

この温もりの中で、安らかな夢を。

―― 第一章 地球の勇者 完 ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ