表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/72

EP 34

英雄の帰還と甘い火花

「クリスタル・フォートレス」の残骸と、貴重な部位を回収した一行は、ラトル率いる自警団と共にルナキャロット村へ凱旋した。

時刻は深夜だが、村は松明の明かりで真昼のように明るかった。

「ユウタ様ー!」「キャルルちゃん、無事だったか!」「イグニス、よくやった!」

村の入り口で、割れんばかりの大歓声が出迎える。

「囁きの森」の異変解決は、村の死活問題だった。それを成し遂げた四人は、今や紛れもない英雄だ。

そんな感動の再会に、ひょっこりと「商売の匂い」が割り込んだ。

「いや~、こらまたえらいお祭り騒ぎですなぁ! ワテの鼻がピクピクする思たら、とんでもない『大金星』が転がり込んでまんがな!」

人垣をかき分けて現れたのは、猫耳と尻尾を揺らす行商人、ニャングルだ。

彼は勇太への挨拶もそこそこに、村人たちが運び込んでいる「水晶の甲羅」に目を釘付けにした。

「こ、これは……まさか、『魔封じの水晶』!? しかも、この純度と大きさ……」

ニャングルが震える手でルーペを取り出し、鑑定を始める。

「間違いない……伝説の魔物『クリスタル・タートル』の甲羅や! 王国の宮廷魔導師団が喉から手が出るほど欲しがる、対魔法装備の最高級素材! ……ユウタはん、これをアンタはんらが?」

「ああ。結構硬かったけどね」

勇太が事もなげに言うと、ニャングルの猫耳が垂直に立った。

「硬かったて……アンタはんねぇ! これは国家予算クラスの素材でっせ!? ちょ、ちょっとロップ村長! ラトル団長! 今すぐ商談室へ! ゴルド商会の全財産叩いても買い取らせてもらいますわ!」

興奮で尻尾を膨らませたニャングルは、村長たちを強引に連行していった。これで村の財政も安泰だろう。

「ふふ、相変わらず騒がしい人ね」

リーシャが可笑しそうに笑う。

その時、彼女の美しい瞳が、勇太の腕の一点に留まった。

「……っ! ユウタ、怪我をしてるじゃない!」

「え?」

勇太が見ると、腕に木の枝で擦ったような、うっすらとした赤い線があった。唾をつけておけば治るレベルだ。

だが、リーシャは血相を変えて勇太の手を取った。

「大変……! バイ菌が入ったらどうするの! 今すぐ私が『ヒール』をかけるわ。じっとしてて」

甘い香りが勇太を包む。リーシャの顔が近い。

すると、横から猛スピードで兎耳の少女が割り込んだ。

「だ、ダメですリーシャさん! 魔力の無駄遣いですっ!」

キャルルが勇太のもう片方の腕を抱きしめる。

「ユウタさんの体には、私の『月の癒やし』の方が相性がいいんです! 月が出てる今なら、お肌もツルツルになりますよ!」

「あらキャルル。エルフの治癒魔法の方が確実よ。それに、貴方は疲れているでしょう?」

「むぅ……疲れてません! ユウタさんのためなら百倍元気です!」

「「どっちが良いですか(良いかしら)!?」」

右に兎、左にエルフ。

上目遣いの美少女二人に迫られ、勇太はカチコチに固まった。

「え、あ、いや、二人とも……これ、ただのかすり傷……」

「ダメ! 傷は早めの処置が大事なの!」

「そうです! ユウタさんの綺麗なお肌に傷跡が残ったら大変です!」

密着する柔らかい感触と、必死な眼差し。

勇太の心拍数が限界突破しかけた、その時。

「……あー、盛り上がってるとこ悪ぃんだがよぉ」

背後の壁際から、地獄の底のような呻き声が聞こえた。

「俺様の方、見てくんねえ? ……全身打撲に肋骨骨折、おまけに熱線の余波で全身痺れてるんだが……?」

そこには、ボロボロになったイグニスが、誰にも介抱されずに転がっていた。

どう見ても、瀕死の重傷人は彼だ。

「あっ」

勇太、リーシャ、キャルルの三人が同時に声を上げた。

完全に忘れていた。

「ご、ごめんイグニス! そりゃそうだ! 君が一番頑張ったんだから!」

「す、すまないわイグニス! つい、ユウタの怪我が心配で……」

「てへへ、ごめんなさいイグニスさん!」

三人は慌ててイグニスに駆け寄り、総出で治療を始めた。

イグニスは「扱いが違いすぎだろ……」とボヤきつつも、仲間たちの手当てに安堵の表情を浮かべた。

騒がしくも温かい夜。

治療が一段落した頃、勇太は一人、夜空を見上げてボードを確認した。

所持ポイント、15,455P。

(……決めた)

勇太は、ずっと「お気に入り」に入れていた商品の購入ボタンに指をかけた。

この世界を旅するための、最高の相棒。

村人たちへの最後のサプライズであり、自分たちの新しい「家」。

(明日の朝、みんなを驚かせてやろう)

勇太はニヤリと笑い、購入ボタンをタップした。

【購入完了:大型探索車両エクスペディション・ビークル『ノマド・カスタム』】

【残高: 455 P】

勇太の異世界生活は、ここから「旅」へとシフトする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ