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『地球ショッピング』で異世界を快適に!~医学生、善行ポイントで現代物資を取り寄せ、兎の村を最強要塞に変える~  作者: 月神世一


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EP 26

月下の奇跡と癒しの宴

フォレスト・ゴーレムが崩れ落ち、ただの瓦礫の山へと還った後。

勇太たちは、泥と汗にまみれながら、その場にへたり込んでいた。

勝利の安堵と、極限の疲労。指一本動かせないほどの脱力感が、逆に心地よかった。

「おーい! 無事かーーッ!!」

そこへ、松明の列が近づいてきた。

ラトル率いる自警団の本隊だ。彼らはコボルトの死体と、巨人の残骸を見て絶句し、そして傷だらけで笑い合う勇太たちの姿を見て、歓声を上げて駆け寄った。

「ユウタ! キャルル! リーシャ! それにイグニスも! ……よくぞ、生きて戻った!」

ラトルが涙目で勇太の肩を抱く。

村人たちは手際よく事後処理を始めた。

ウルジ爺さんは、ゴーレムの核があった辺りから、砕けた緑色の結晶(魔石)と、鉄よりも硬い古木の破片を拾い上げ、「こいつは……とんでもねぇ素材だ。国宝級の武具が作れるぞ」と震える手で興奮している。

凱旋。

村の入り口では、老人や子供たちが総出で出迎えてくれた。

英雄を見る目。感謝の涙。

ルナキャロット村にとって、この夜は伝説として語り継ぐべき一夜となった。

そして、夜が更けた。

雨上がりの空には雲ひとつなく、見たこともないほど巨大な**「満月」**が昇っていた。

地球の月よりも青く、鋭く、神秘的な光。

それが村全体を静謐な青銀色ブルーシルバーに染め上げていく。

勝利の宴が再開されようとしていた時だった。

キャルルが、ふらりと広場の中央へと歩み出た。

「……キャルル?」

勇太が声をかけるが、彼女は聞こえていないようだった。

長い耳がピーンと立ち、月に向かってアンテナのように伸びている。

彼女の純白の髪と体毛が、月光を吸い込んだように、内側からボウッ……と淡い燐光を放ち始めた。

「ん……なんだろう。体が、熱いのに軽い……。月の声が、聞こえるみたい……」

キャルルは夢遊病のように、しかし恍惚とした表情で呟いた。

その瞳は、月と同じ黄金色に輝き、普段の愛くるしさとは違う、神々しい「巫女」のような雰囲気を漂わせている。

「みんな……。傷ついたの? 疲れてるの? ……私が、元気にしてあげる」

キャルルは月を見上げたまま、優雅にステップを踏んだ。

それは踊りだった。

月兎族ムーンラビットの遺伝子に刻まれた、月への感謝と祈りの舞。

彼女が指先を振るうたびに、キラキラとした銀色の光の粒子が、花粉のように舞い散った。

「な、なんだこりゃ……?」

その光を浴びたラトルが、自分の腕を見つめて驚愕した。

リザードマンとの戦いで負った切り傷が、見る見るうちに塞がっていく。いや、傷だけではない。

「肩の古傷が……痛まねえ!?」

「腰が! ずっと曲がらなかった腰が、嘘みたいに軽いぞ!」

「力が……体の奥から、温かい力が湧いてくる!」

光の粒子は、傷だけでなく、疲労、病魔、老いによる痛みさえも洗い流していく。

それは「治療」という医学的な行為を超えた、純粋な「生命力の供給」だった。

「すごい……。これが、月兎族の伝承にある『月光の加護』……」

リーシャが、その神秘的な光景に目を細めた。

「魔力じゃないわ。月光を直接『生命エネルギー』に変換して、周囲に分け与えているのね。……彼女の純粋な魂が、月の波長と完全に同調しているんだわ」

「へへっ、キャルルの嬢ちゃん、すげえな。戦場じゃ鬼神、宴じゃ女神かよ」

イグニスも、雑炊の入った椀を片手に、感心したように笑った。

「ありがとう、キャルルちゃん!」

「月の女神様だ……!」

村人たちは、踊るキャルルの周りに集まり、光の雨を浴びながら感謝の祈りを捧げた。

キャルルは照れることもなく、ただ無垢な笑顔で舞い続ける。

その姿は、この世の何よりも美しかった。

勇太がその幻想的な光景に見とれていると、目の前にボードが現れた。

【ピンポンパンポーン♪】

【パーティメンバー『キャルル・ルナ』が、広域回復ヒールを行いました】

【村人50名の健康状態が『絶好調』になりました】

【パーティ貢献ボーナスとして、善行ポイント 100 P が加算されました】

【現在所持ポイント: 6555 P】

(パーティメンバー……?)

勇太はハッとした。

これまでは「勇太個人の行動」しか評価されなかった。

だが、共に死線を潜り抜け、信頼し合ったことで、システムがキャルルたちを**「勇太の一部パーティ」**として認識したのだ。

つまり、これからは仲間の善行も、勇太のポイントになる。

(すごいことになったぞ……。これなら、もっと色々なことができる!)

満月の下、ルナキャロット村は、かつてない安らぎと希望の光に包まれていた。

そしてその中心には、月光のドレスを纏って踊る、一人の少女。

勇太は、そんな彼女が自分の最初の「仲間」であることを、心から誇りに思った。

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